ユーザーインタビューをもっと深くする5つの細かなテクニック
この記事は2018年4月20日に作成された記事です。
こんにちは。UXデザイナーの八尾です。
先週4/12に、「THE GUILD勉強会 〜ユーザーインタビュー設計〜」が開催されましたね。
(行きたかった。。。。)
イベントにはクラウドワークスのデザイナーも一名参加しており、内容を軽く共有してもらったところ、似たところや違うやり方をしているところが多々あり色々な気づきがありました。
そこで今回は、クラウドワークスでユーザーインタビューをやってきて工夫していることや、大事だと思っていることをまとめてみます。
準備や分析の部分はまた別の機会で書くとして、今回は特にインタビュー実施中に意識していることにフォーカスしたいと思います。
(ちなみにクラウドワークスでは、2017年3月から本格的にユーザーインタビューなどの定性調査を実施し始め、1年間で約90人のユーザーさんの話を聞いてきました。)
ユーザーインタビューの設計や、実施の際に参考になれば幸いです。
ラポール形成について
ラポールとは信頼関係を意味する言葉で、ユーザーインタビューではアイスブレイクに近い意味を持つことが多いです。
ラポールを結ぶことでユーザーさんが話しやすい雰囲気を作り、インタビューを円滑に進めることができます。
1. インタビュアー側がラフな雰囲気を出す
クラウドワークスのインタビューは謝礼としてお金をお支払いし、社内にきてもらって実施します。
この時のユーザーさんの不安は、
「何を聞かれるのだろうか」
よりもむしろ、
「自分は本当に役に立つのか(謝礼に見合うようなことが言えるのだろうか)」
であることが多いです。
この不安をまず最初に取り除くことを意識しています。そのために、
「インタビューという体裁でお越しいただいていますが、雑談だと思ってください!」
「多くの方のお話を聞いていますが、みなさん楽しかったとおっしゃって帰られます」
などという言葉をかけ、ラフな雰囲気を出すようにしています。
(もちろんラフすぎにならないためのケアは必須なので注意が必要です。)
2. サービスについてではなく、ユーザーさんについての質問をする
クラウドワークスでユーザーインタビューを行う時には、1回90分で実施することがほとんどです。
そしてその前半30分をかけてラポール形成をしています。(サービスの話はほぼしません)
この30分では主に、ユーザーさん自身のことについて聞きます。
「今のお仕事について教えていただけますか」
「今の職業に就こうと思ったきっかけはなんでしたか」
「休みの日は何をしているのですか」
などです。こういったユーザーさん自身の話を聞いて一通り盛り上がるのがまず最初にインタビューで行うことです。
もちろん、人によっては自分のプライベートな部分を話したがらない人もいるのでそこは様子を見ながら入り込んでいきます。
ユーザーさん自身について聞くことによるメリット
ユーザーさんのことを聞くのは、ラポールを結べるだけでなく、大きなメリットがもう一つあります。
それは、どういう価値観を持っているのか、どういう指向を持った人なのかということを明らかにできるということです。
どういう人がユーザーさんなのか分かると、ペルソナがリアルになりますし、ユーザーさんへの共感が非常にしやすくなります。
3. 2対1のインタビューではなく3人の座談会にする
クラウドワークスのユーザーインタビューでは、社員が2人に対してユーザーさん1人という形で実施することが多いです。
インタビュールームに3人の人を存在させることで、インタビューっぽさを消しています。
例えば、ユーザーさんの趣味がゲームだった際に、
インタビュアーA「(インタビュアーB)さんもゲームよくやってますよね〜」
インタビュアーB「帰ったらずっとやってる!」
インタビュアーA「(インタビュアーB)さんはやりすぎですよ〜〜!」
インタビュアーB「そうだよねー、ちなみに(ユーザー)さんは最近何してますか?」
ユーザーさん「最近はこういうのやってますよ〜〜!」
というような会話を意図的に起こします。
ここでのポイントは、インタビュアー同士の会話があることです。
このインタビュアー同士の会話があることで、2対1という構図を、3人で話しているという構図に変化させられます。
うまくこのインタビュアー同士の会話を混ぜられると、「サービスについてのインタビュー」から「サービスについて語る会」に変化させることができます。
ヒソヒソとインタビュアー同士で話してしまうと、ユーザーさんを不安にさせるだけなのでそうならないよう注意することは必要です。
質問の仕方について
1. なるべく多くの「エピソード」を引き出す
ラポール形成後、サービスについての話を聞いていくときに意識していることは、エピソードを引き出すことです。
ここには、
・ユーザーさんが答えやすくなる
・ユーザーさんの解釈ではなく事実を集められる
という二つの意味があります。
ユーザーさんが答えやすくなる
ユーザーさんは、質問をされても、どのくらい具体的に話した方がいいのかということのイメージがついていないことが多いです。
そこで、
「一番最近クラウドワークスをご利用いただいた時のシチュエーションを教えてもらえますか?」
と質問することで、答える内容が明確になり、スムーズに答えてもらいやすいです。
ユーザーさんの解釈ではなく事実を集められる
普通の質問だとどうしても、ユーザーさんの解釈や思っていること発言に含まれます。そういった内容を聞きたい時にはもちろんいいのですが、ユーザーさんがどういう行動をしているのかを知りたい時にはエピソードを聞くことが有効です。
エピソードを聞く質問だとユーザーさんは当時のことを思い出しながら順番に話を進めてくれます。
2. ユーザーさんに合わせて質問方法を変える
エピソードの引き出し方は、具体的に聞くということが一番効果的ですが、ユーザーさんのタイプによって聞き方を変えることでより柔軟にインタビューをコントロールすることができます。
ユーザーさんのタイプとは、例えば、
・一つ質問をすれば多くのエピソードを話してくれる
・比較的寡黙で質問に対して最低限しか答えてくれない
などです。
そういったユーザーさんの話し方に合わせた質問をすると、ユーザーさんも話しやすく、知りたい情報も聞きやすくなります。
具体的には、
・どの抽象度の質問をするのがいいのか?
多く話をしてくれるユーザーには抽象的な質問をした方が広い範囲の情報を得られる可能性があります。(あえて抽象的な質問をするのもタイプによってはありかもしれません)
寡黙なユーザーには何を答えればいいか明確な質問(具体例など)の方が話をしてくれる深さは深くなる可能性があります。答え方のフォーマットを揃えた質問をすることもあります。(例えば、「最近、いつ、どこで、何をしようと思ってクラウドワークスを利用しましたか?」など)
・ユーザーさんにできるだけ自由に話をしてもらった方がいいのかそれともこちらから質問を挟んでいく形がいいのか?
一つの質問に多く話してくれるユーザーさんは脱線もしやすい可能性があります。その場合にはインタビュアーの方から質問を間に挟むことで話が広がりすぎることを防ぐことができます。
上記のようなことを意識してインタビューしています。
最後に
いかがでしたか?
クラウドワークスでユーザーインタビューをする際に意識していることの一部をご紹介しました。(本当はもっと色々書きたかったのですが長くなってしまうのでこの辺にしときます)
ユーザーインタビューは本当に奥が深いと日々実感しているのでぜひ語り合いましょう
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