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「成就した恋ほど語るに値しないものはない」

皆さんは以下の記事を目にしたことがあるだろうか。

京大で追加合格者が出たことは特にどうでもいいが、注目すべきは追加合格者のコメントである。

追加合格者の1人は本紙の取材に対し、追加合格の連絡が来るまで「二浪してもう一度京大理学部を受験するつもりだった」と話し、「成就した恋ほど語るに値しないものはない」と森見登美彦の小説の一節を引いて喜びをあらわにした。

https://www.kyoto-up.org/archives/8108

この「成就した恋ほど語るに値しないものはない」というコメントが個人的にグサグサ刺さったのでなんとしてでもnoteで共有したかった。

このセリフは森見登美彦の「四畳半神話大系」に出てくるセリフであり、もし今この記事を読んでいる方でをこの本を読んだことがない方は今すぐkindleで買って読んでみてほしい。
アニメ化もされているので文字を読む気力がない方はそれでも良い。
どちらも1/4ぐらい進んだ所でこのセリフが出てくる。

夜は短し〜と同じ人

読んだ(観た)方ならすぐにわかると思うが、「四畳半神話大系」は明らかに京大を舞台にしている。
そして、この「成就した恋ほど語るに値しないものはない」というセリフは捻くれまくった主人公がヒロインであり変わり者の明石さんといい感じの関係(付き合う一歩手前みたいな)になってその後を濁す場面で出てくる。
濁すという表現を使ったが、恋が成就したと堂々としているので濁しというより惚気の一種であり、捻くれているしデレデレである。

さて、追加合格者の話に戻るが、何より感心すべきなのが京大の追加合格の取材でこのコメントを出力できた当人の教養である。
受験を京大への恋と結びつけた上で、それにぴったりな京大を舞台にした小説の一節を引用できる所が非常にオシャレである。
こういうのが生成AIにできないことであるし、人間の文化の素晴らしさだと思う。

試しにchatGPTにコメントを考えさせてみた。
ある意味人間感あるが今回のコメントには到底及ばない。

chatGPTによるコメント


この追加合格者のコメントの裏には一浪してでも行きたかった、またコメントとしてすぐに出てくるほど京大を舞台にしたこの小説を意識していたという京大への執着、愛が感じられて非常に趣深い。
きっと「鴨川ホルモー」も読んでいたのだろう。

そんなわけで私の大学を舞台にした小説を調べてみたらそんなもの存在しなかった。
割と歴史ある方だと思うんだけどな。

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