国立大学の学部増設の形態 その9
国立大学の学部増設の形態について、述べています。
前回は
学部の研究室等を基礎として学部に昇格させた事例が、一例のみあります。
特異な歯学部の設立経緯
国立大学の歯学部は、元々旧制歯学専門学校を母体としている東京医科歯科大学以外は、全て医学部の歯科・口腔外科などに関する研究室等(診療科)を母体として設立されています。具体的には、北海道大学、東北大学、新潟大学、大阪大学、岡山大学、広島大学、徳島大学、九州大学、長崎大学、鹿児島大学の各歯学部です。
薬学が医学部の中では早くから薬学科として独立して、その後学部の設立に至っているケースが多いのに対して、歯学は医学部の診療科でもある歯科・口腔外科等から、いきなり学部に昇格しています。
医学・歯学・薬学の分野に関しては厚生労働省の管轄なので、独立学部となる経緯は、厚生労働省の意向が強く働いているものだと思います。
医学と歯学と薬学の関係
医師と歯科医師は相互に峻別されています。医師業務は医師のみに、歯科医師業務は歯科医師のみに認められ、その人体での関与する範囲まで厳しく定められています。医学部内の歯学科では、峻別する意味からしてその線引きが難しくなるのでしょう。
ただ、現在は医学・歯学・薬学の相互の連関も高くなっていますし、薬学部が6年制の学部となった事で、厚生行政に関連した資格職種が横並びになっている事もあります。折しも、ワクチン接種の関連で、医師や看護師を補佐する職種として歯科医師が、特例的に医師業務に乗り入れて、接種業務を行なっています。
今回のパンデミックの経験からも、医学・歯学・薬学での基礎教育における範囲の拡大などで、将来的にはこの3学部を統合した学部なども構想されても良いのではないかと思います。因みに大学院レベルでは医歯薬学総合研究科が長崎大学などで存在しています。
次回以降は、特異なケースであるので、今回敢えて取り上げなかった大学の学部増設について、個別に述べていきたいと思います。
次回は、
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