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ウィーン・ピーさん

この地域は雪が降る。降雪量はそこまでではないと思っているが、ここは馬鹿みたいに風が強い。馬鹿みたいに吹き溜まるのだ。

そんな朝はウィーン・ピーさんが起こしに来る。ウィーンウィーンピーピーゴゴゴゴゴ―。あまり良くない目覚め。

漁師も朝が早くていつ仕事なのかわからない。ウィーンさんもそうだ。朝、雪が溜まっているとウィーン。僕らと同じで、ある程度天気予報で予測はできるんだろうけど、ウィーンさんは朝起きて雪具合を確認しなきゃいけない。よく知らないから、僕は大変だろうなぁなんて簡単に想像してしまう。

そんなウィーンさん、色々文句なんかも言われるそう。ガチガチの雪の塊を置いていきやがって!とか、へたくそ!とか。僕も口には出さないが、そう思うことがある。よく知らないから。でも本当は皆きっと感謝しているよね。

大雪の時、ウィーンさんがまだ来る前。例えば沖に行く時。まず家の前の雪をどうにかしなきゃいけない。少なくとも軽トラが出れるくらいは。この後、作業場の前の雪も船の雪も待っている。家の前の雪をわっさわさと掻いていると、どこからともなくウィーンウィーンと聞こえてくる。道路の雪をウィーンしてくれるだけでありがたいのに、僕の家の雪まで器用にウィーンいていくウィーンさん。

僕はウィーンさんとウィーン契約していない。

その間僕は眺めているだけで何もできない。感謝の気持ちを伝えようにもウィーンが終わったらそのままは立ち去るウィーンさん。かっこよすぎる。眺めていて、毎度しびれる。ウィーンさんは僕が漁師と知っていて、わっさわさの困った光景をみて駆けつけてくれたのだ。

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ウィーンさんの足跡

朝会わなくても勝手にウィーンして行くこともある。ウィーンさんは複数人いて、僕は足跡をみたらどのウィーンさんが朝来ていたのか大体わかる。その時、直接感謝の気持ちを伝えられないのが残念だが、本人はきっとそんなにそれを望んでいなかったりするんだろうな。僕もそれでいいと思っている。

そんなウィーンさんの話。



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