見出し画像

2021年読書日記その5

『信長の棺』 by加藤 廣

2020〜21の歴史モノといったら、間違いなく「麒麟がくる!」ーー明智光秀であることには誰も異論がないはず。平均視聴率が18.4%。昔ならともかく現代のドラマで20%近い数字を叩き出すのは相当話題作だったということ。関連本もたくさん出ているし、Webメディアでも大にぎわいでした。

明智光秀が歴史に現れるのは相当に遅く、いまでいうシニアになってから。ハイライトを浴びる本能寺の変も謎だらけだからフィクション的な要素も盛り込みやすく、小説でも格好の題材となる人物です。この本もその一翼を担っているといっていいでしょう。フォーカスしているのは本能寺の変の一方の主役である信長の最期についてであり、発売当時は大胆な仮説で話題になりました。

本書の主人公は信長の歴伝を綴った「信長公記」作者の太田牛一。彼のいわば執筆活動を通じて信長は何をしたかったのか、光秀との関係はどのようなものだったのか、秀吉は何をたくらんだのか、などなど小説であることを最大限に活かして大胆な仮説でグイグイ攻め込んできます。作者はこれがデビュー作というから驚き。前職は中小企業金融公庫京都支店長や山一証券の経済研究所顧問だったといから、さらにビックリ。相当の筆力ですが、それ以前に本能寺の変の真実を探りたいという想いがそこかしこに表れているところに感銘を受けます。姉妹書としてあと2冊続くのですが、それはそれぞれの書評で。

https://amzn.to/3aj41Lh


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?