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新庄剛志を獲得せよ

みなさん、こんにちは
たこベースボールです。

2019年末、新庄剛志氏がプロ野球復帰に挑戦することを表明しました。

そして、昨日4/28、日本に帰国し本格的にトレーニングを始動することが報道されました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200428-24270546-nksports-base

なぜ、慌ててnoteを書き始めたかというと、この報道がされる前日にツイートをしていたからです。そして、まあまあ反響があったからです。

ということで今回はコロナ期間中に新庄剛志という男について考え、自分なりに出した結論のnoteです。よろしくお願いします。


ファイターズは新庄から何を学んだのか?という疑問から始まった

北海道日本ハムファイターズはデータを駆使した球団経営で有名である。
2005年にGM補佐に就任し、現在はGMを務める吉村浩氏がメジャーリーグの職務経験を生かし、BOSという分析ツールを使っていち早くメジャー式の球団運営を取り入れたチームがファイターズである。

そんなチームが何故、新庄の獲得に動いたのか?
そして、ファイターズは彼を獲得することでどんな利益を得たのか?何を学んだのか?

そういったことを考察していくうちに球団経営や選手育成に関する色々なヒントを得た。
そして、最終的に新庄剛志を獲得するのはアリという結論に至ったのである。

以下から私なりの考察を述べていこう。

①球団人気の上昇


新庄が加入した2004年はファイターズが北海道に移転したばかりの年。今まで野球に縁もゆかりもなかった地に不人気、弱小球団がやってきたのである。
そのような状況で北海道という地にいかにして野球を根付かせるか?
それがファイターズの最大の課題であった。
地域密着を掲げる球団経営の中で球団人気に火をつける1つの起爆剤として獲得したのが新庄剛志だった。

実際、これは大成功だった。肌感覚として皆さんも分かると思うが、一応動画を貼っておく。見れば分かる。

https://youtu.be/PshWDJ34NPM

https://youtu.be/WegUg4bU4wg


最終的にはこれだけの多くのお客さんが総立ちで1人の選手に歓声を浴びせているのだ。これはすごいことである。

野球、そして北海道日本ハムファイターズはしっかりと北海道に根づいたのだ。

さらに付け加えるとチーム成績も上向き、弱小球団は新庄を中心にまとまりを見せていき日本一になるまでに成長するのである。

さらに、そのビックマウス的な言動、試合前やオールスターでのパフォーマンスなどで当時球界再編問題などに揺れるほど人気がなかったパリーグ全体を盛り上げることにまでも一躍を買ったのである。

パリーグの球場が満員になるという光景は今では当たり前のように扱われているがこれは新庄剛志がいなかったら実現していなかったことだろう。

1人の男が今のファイターズの道民人気ひいてはパリーグ人気の礎を築いたのである。

ここまで読んで、皆さんはこう思ったかもしれない。

そんなことは知ってるよ!

確かにそうであろう。しかし、ここからが重要な点である。2点上げる。

日ハム式球団経営の確立


動画にもあるように球団人気の上昇と共にチームも強くなっている。そこに導いたのは新庄の存在が大きいだろう。

これがデータではわからない部分なのだろう。俗に言う団結力、勝者のメンタリティというやつだ。

もしかしたらファイターズはここを重視したのかもしれない。

チームの強化というのはデータを駆使すればある程度できてしまうとは思う。しかし、球団人気や球場を満員にすること、そしてそこから生まれるチームの和や勝者のメンタリティなどはフロント側の力だけではどうにもできない。しかし、勝つためには不可欠な要素だ。

やはり、新庄という個性のある現場の人間の力がデータで表すことができない勝つための要素をファイターズに根付かせたと言える。

もし、あえてデータに現れない部分を重視した球団経営、補強戦略をファイターズがしていたら?

いきなり勝つための策を講じるのではなく、ファンを大事にし、球団の特色や雰囲気作りから生まれるデータでは決して見えない勝つための要素から始め、それから徐々にデータを使った勝てるチームづくりを行う。

結果的にこうなっただけかもしれないがこの流れは一つの策といえるだろう。

つまり、日ハム式球団経営とは球団人気とファンや勝者のメンタリティといったデータでは表せない部分の先に本質的な勝利があるということを体現している非常に、参考になる経営方法なのである。


似通った球団経営をした横浜DeNAベイスターズ

新庄の獲得と活躍は日ハム式球団経営(勝手に妙名してます)が球界に根付いた瞬間でもある。

実際、新庄がファイターズに所属していた頃にGMを務めていた高田繁氏はのちに横浜DeNAベイスターズのGMに就任し、新庄剛志獲得に似た動きを取る。

そう、中畑清を監督に就任させたのだ。

工藤公康に監督要請を出していたが断られるなどのいきさつもあるが、高田繁氏がGM就任をしたその会見で工藤公康監督就任断念が発表されているので、元から高田繁GMの中には中畑清監督というアイデアがあり、それを球団が買ってのGM就任だったように思える。

結果はどうなったか。
順位こそBクラスに甘んじたものの、その明るい性格とユニークな言動で注目を集め、ガラガラだった横浜スタジアムを徐々に満員にしていき、球団人気の上昇と地域密着に貢献。
一生赤字という風潮をはねのけ、2016年にはついに黒字化に成功した。

以下はベイスターズの球団経営について詳しく書かれたインタビュー記事だ

https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/syounenb01

記事にもある通り、現在のベイスターズの球団人気は言わずもがなだがそこに中畑清の存在は欠かせないだろう。

さらには今まで負けが込んでいたチームに少しずつではあるが勝てるんだという自信、いわゆる勝者のメンタリティをももたらした。そして、その姿勢がファンに今年は何か違うぞという意識を芽生えさせた。

この流れは新庄がファイターズを北海道に根付かせた流れと非常に似ている。仕掛け人が高田繁氏ということも考えれば間違いなくファイターズ時代を意識したものと言えるだろう。

他球団はどうか?

近年はデータの普及が野球界でも急速に広まっており、ファンも気軽にデータを入手し、日々野球に関する議論に花を咲かせている。

しかし、あまりにデータデータしすぎているのではないだろうか?というのはデータの普及と共に一部有識者の間で叫ばれている課題だ。

これは他の球団にも言えることではないだろうか?
例えば、数年前に中日のGMに就任した落合氏はその勝利主義の手法ゆえにファンは置いてきぼりにされてしまった。勝てれば良かったが勝つこともできなかった。

某IT企業が運営する球団もその気色は強い気がする。やってることは確かにデータ的に見れば理解できるし、勝つ上でも正しいのかもしれない。

しかし、ファンは若干置いてきぼり気味である。さらには勝者のメンタリティや選手たちの和はどうだろうか?一定の補強は必要だが毎年のように新しい選手が大量に入ってきては出ていきというチーム状況はそのような要素を排除してしまっている。

巨人のように大金をはたいて選手を獲得するのは他球団にはできない手法ゆえに有効ではあるがやはり疑問に思うこともある。巨人は歴史があるがそれを他球団は真似できるのだろうか?

ゆえに粘り強さというか面白さというかうまく表現できないが何かが足りないといつも感じてしまう。これでは永続的に勝てる組織はできないと思う。

このチームは親会社がIT企業であるがゆえにわりと早い段階からデータを活用したり、野村克也氏を監督に据えるなど勝つための手法をあの手、この手で遂行しているがイマイチ結果に繋がっていない。(常勝軍団にはなれていないということ)
そのあたりはやはりファイターズとの球団経営の差が出ているのではないだろうか。

やはり、いきなり勝つための策を講じるのではなく、ファンを大事にし、球団の特色や雰囲気作りなどのデータでは決して見えない部分から始め、それから徐々にデータを使った勝てるチームづくりを行うのが正しい手順なのだろう。

ファイターズがあえて新庄剛志を選んだかは分からないし、たまたまかもしれないが新庄剛志という男は1つの球団経営の方式を生んだ男でもあるのだ。


②育成法にも影響か?

新庄剛志のプレースタイルは走攻守揃った万能アスリート型である。
しかし、こういったタイプはかえって育成が難しい。皆さんも感覚的に分かるのではないだろうか。
足は速い、肩もいい、当たれば飛ぶ。
しかし、当たらない。
それまで万能ゆえに感覚でやってきたために急にプロで球が速くなり、変化球が鋭くなったときに対応するために頭を使うことを知らないのである。プロになってコーチなどから教わるなどして知ったとしても頭を使ってやったことがないから自分への還元の仕方が分からない。結局三振製造機になってしまうのである。

新庄も阪神時代はそういう選手だったように思う。(打撃成績の表と映像を見ただけですが)
以下が新庄の打撃成績だ。

http://npb.jp/bis/players/01903881.html

正直なところ、良い数字とは言えない。
特に四球が少なく、三振が多い点はセイバーメトリクスを知っている私たちにとっては気が引ける選手という感じだ。

しかし、ファイターズは彼を獲得した。そして、移籍1年目は3割近い打率を残し、さらには復帰後は毎年、20本の本塁打も放っている。

おそらくメジャーの経験が生きたのだろう。これは後で詳しく説明するがここで述べたいのはファイターズがこのアスリート型の新庄から何を学んだかということである。

結論から言えば、育成が難しい走攻守揃ったアスリート型の参考モデルとしてその後登場した糸井や陽岱鋼、ひいては大谷翔平などのアスリート型選手の育成に大いに役に立ったではないかということだ。

アスリート型の選手こそ真のコアプレーヤーになれる。
例えば、現在のプロ野球でいえばソフトバンクの柳田悠岐、広島カープの鈴木誠也、巨人の坂本勇人などがアスリート型の選手だろう。

しかし、この選手たちの若い頃の2軍成績などを見ると良い数値は出ていない。

以下のサイトで各選手の二軍成績も含め、確認できるので一度見てほしい

柳田→http://www.baseball-lab.jp/player/detail/1000128

鈴木誠也→ http://www.baseball-lab.jp/player/detail/1200069

坂本→ http://www.baseball-lab.jp/player/detail/700003


柳田は三振が多いし、鈴木も坂本も四球が少ないゆえに出塁率が低い。
データのみを見ていれば彼らは低評価ということになってしまう。実際、私も当時は彼らを評価していなかった身だ。

しかし、どうだろう。彼らは球界を代表する名選手となった。ましてや、四球も100個近く選んでいる。

残念ながら、これが現実なのである。
指標的にはそこまで良くないし、選球眼も悪いはずなのに一軍に定着したら四球選べるようになったり、安定して打率3割打てるような選手がいるのが現実だ。
むしろ、そういう選手の方がMVP級のスーパースターになる。
そういう選手の作り方をファイターズは新庄から学んだのではないだろうか。


データだけ見ていたら真のコアプレーヤーは一生獲得できないだろう。
アストロボールには直感も大事と書いてあったがまさにその部分を新庄から学んだのだと思う。

ここでまた他球団の話になるが落合中日が失敗した理由はこの辺りにあるのではないか。
某IT企業球団もそうである。
もっと言えばマネーボールは二刀流をしたのかという話である。
データだけを見ていたら二刀流などはしないし、陽岱鋼も糸井も獲得はなかっただろう。そういった選手の獲得に新庄という存在がもたらした影響はきっとあるはずだ。

過去にテレビ番組で新庄は大谷らの名前をあげて

「俺がいなかったら彼らは入団していない」

という発言をしていたが
あながち間違ってはいないだろう

修正するとすれば

「俺がいなかったらファイターズは彼らを獲得していない」

であろう

③成績を向上させ、日本一に導く

先程述べたようにファイターズ復帰後は阪神時代と比べて成績を向上させている。

このあたりはメジャーリーグでの経験が生きているのだと思う。

あるテレビ番組では足と守備と頭でレギュラーを獲ったなどと語っていたり、
引退後ではあるが日本シリーズの丸の守備について評論したりと意外と理論派なところがある。https://youtu.be/wyg4KGfq28A


このあたりはメジャーで色んな知識を吸収したことが分かる。

以下のインスタグラムでの投稿では打撃論を語るなどその知識の幅を伺える。


メジャー帰りの選手が知識をチームにもたらし、彼自身も成績を向上させる。
特に選手というのはコーチよりも同じ選手から影響を受けやすい。このあたりもファイターズにかなりプラスに働いたように思える。

以上が新庄剛志が日本ハムにもたらした利益である。

獲得せよ!

今、新庄を獲得すれば当時ほどの影響力はあるかはわからないが、

①球団人気の活性化に繋がる、新たな球団経営手法の開拓に繋がる可能性
②真のコアプレーヤー育成のヒントを得ることができる
③メジャーの知識をもたらす

に加えてさらには今回の場合は
④引退後の復帰という新しい補強ルートを開拓できる可能性
⑤勝者のメンタリティをもたらす
⑥値段はそこそこ安く済む

という利点も付いてくる。
④に関してはチームは前例のないことを身をもって経験できるのだから他の球団と差をつけられることになる
⑤当時の日本ハムを見ていれば分かるが新庄を中心にまとまったチームになっている。さらには日本ハムでは日本一を経験しているので若手主体のチームにとってはリーダー的な役割としてチーム全体に勝者のメンタリティをもたらしてくれるだろう。
⑥年齢的な面を見れば値段も安く済むはずだ、枠を割くのが嫌なのであれば育成契約でもいいかもしれない

加えて話すとこれは選手として復帰するから意味がある。コーチや監督として復帰する意味もあるかもしれないが②や⑤の利点を得ることはできないだろう。先程も述べたが選手はコーチよりも同じ選手に影響を受けやすいものだからだ。

選手、新庄剛志に意味と価値がある。

少し、新庄を神聖化しすぎかもしれないがあくまで可能性の話だ。
新庄剛志獲得はこれだけ良いメリットをもたらす可能性があるという仮説程度に思っていただきたい。

獲得すべき球団とは?


ここからは実際にどういった球団がフィットするのかを述べていこう。

基本はセリーグだろう。今はパリーグが押せ押せの時代、実力のパ、人気のセから実力も人気もパという風潮になっている。かつてパリーグを盛り上げたようにセリーグに新たな旋風を巻き起こして再度盛り上げてほしい。

1阪神
矢野監督が必死になってチームを盛り上げているがチーム全体に勢いがないように思える。中谷や江越、陽川など新庄に似たアスリートタイプの苦しんでいる選手もいるので彼らのヒントにもなるだろう。ただ、獲得はなさそう。

2中日
こちらも阪神同様、勢いは感じられない。8年連続でBクラスであり、勝者のメンタリティも形成できていないだろうからピッタリかもしれない。

3DeNA
ここ4年でAクラス3回とセリーグで1番勢いと自信、勝者のメンタリティ的なものを感じるチーム。
しかし、そこに至るまでに渾身的な働きをしたのは中畑清監督であったため、日本ハムのように真のコアプレーヤーの育成のヒントを得ることができなかった。実際、三拍子揃ったコアプレーヤーはここ数年出てきていない。梶谷も育てきれなかった。こういった面での獲得を検討しても良さそうだ。外野は広くないので守備でも貢献できるかもしれない。

4巨人
原監督は意外にもこういうのに飛びつくイメージがある。獲りそう感がある。

5楽天
先述した通り。オコエは真のコアプレーヤーとして私も期待しているので新庄からヒントを得てほしい。

西武はどうか


最後に私自身の推し球団、埼玉西武ライオンズの獲得を検討してみたい

アリだろう。勝者のメンタリティや勢いは2年連続優勝しているので、現在球界で1番あるチームといえる一方で球団としてメジャーリーグ的な知識は不足しているので若手の指南役になってほしい。

似たようなタイプだと木村文紀にヒントを与えてほしい。木村はああいう選手にすぐに影響を受けそうな気がするので相性も良いんじゃないかと思う。

終わりに


先ほども述べたがここに記されているのはあくまですべて大きな仮説だ。
しかし、常識を覆すという意味ではこの挑戦は面白いし、ここまで直感が語りかけてくる選手も珍しい。それほど新庄という人を見ていると何かを起こしそうな感じがするのだ。
言語化できない何かが語りかけているのだ。
きっと、その答えを新庄剛志という男はすぐに出してくれるだろう。

私も彼の挑戦にかなり刺激を貰っているし、ぜひ成功させてほしい。


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