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「はばはずして」

老人ホームでの楽しい出来事を綴っています。

長崎に来たからには長崎弁を喋りたいものです。
長崎弁の一つの特徴として 「〜〜」=「〜〜」と言うんだな
という事が分かりました。
例えば「靴履いてください」は「靴履かんね」
「塗り絵してください」は「塗り絵してくれんね」
などです。
食事の後、口腔ケアの時間になると職員が「はばはずして」と何回も言っているのを聞きました。
「入れ歯を外してください」
という意味なんですが、私は聞いてはいましたが、入居者様に実際に言うのがちょっと恥ずかしくて中々口にだせないでいました。

いつも下を向いていて、声を掛けると
「”え〜っやかましいわ”」
とすぐ怒るばあちゃんが居ります。
その方に恐る恐る
「あの〜すいません。入れ歯を外してもらえますか?」
と、声掛けすると案の定、一瞬顔を上げ、
「うるさい、やかましいわ」
と、怒鳴られてしまいました。
口腔ケアは必須なのでその後も続けて
「お願いですから入れ歯外してください」
「どうか歯を取ってください」
と、拝み倒してみるものの頑として外そうとしてくれません。
そこで困った私は勇気を出して
「はばはずして」
と、とうとう口に出して言ってみました。
すると、何ということでしょう。すんなりと入れ歯を外してくださったではありませんか。

長崎弁第一歩!
「はばはずして」
は、魔法の言葉でした。
「はばはずしてば魔法の言葉たい」




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