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女子バスケ日本代表ヘッドコーチが求める「常識」

大学のチームが切り替わるタイミングに、「原点」としたいことの書いてある記事を上げておきたいと思います。
「怒らないコーチング」を日本のスポーツの常識に…女子バスケ代表・恩塚亨HCが掲げる「五輪で金」だけじゃない野望(Number Web日々是バスケ)

バレー学会で講師の1人を務められてて話を伺いましたが、この方やっぱり凄いですね。

怒らないコーチング:
『怒るのは悪意をもってよくないことをしたときだと思う。志を持って、やり方もちゃんと理解して、自分自身を持とうとしてやっているんだったら、怒る必要ないよね
『怒らないと頑張らないって、相手を馬鹿にしていませんか?」
『ワクワクが最強』

「怒らないコーチング」に焦点が当てられているようですが、この方が「常識」にしたいのは「怒らない」とかいう次元の話ではなく、もっと重要な意味が込められていると思います。

東京オリンピックで銀メダルを取った前任のホーバス監督との「戦略」の違いを質問されて、次のように答えています。
トムさんはナンバープレーが多かったんですけれど、僕は、原則を軸にして、選手がその状況に即応していく軽やかな速さを武器にします
前監督の時は、選手たちが「覚えるのが大変だった」と口々に言うくらい、フォーメーションが多かった(100以上)そうですね。

では、原則を軸にして、選手がその状況に即応していく軽やかな速さとはどんなことでしょうか?
『例えばですけれど、原則の設定のレギュラー的な切り口が3つ、4つあって、それに対応されたときのカウンタープレーを次から次へと展開していくという戦略ですね。選手の判断力を高めて、その判断力にチームがシンクロできるようにして、相手につかまらない、相手をつかまえる戦いをすることです』
常識あるバスケット人が、場面に応じて最適解を選択し、最適解はみんな常識として理解しているので、ほかの選手もシンクロしていくっていう、規律と即興と躍動感に繋がっていくことを強みにしていきたいと思っています』

【最適解はみんな常識として理解している】というのが鍵ですね。
どんな場面でも、1人1人がそれぞれの場面でベストの行動を選択し実行するので、「味方はこうするはずだ」というのが分かっていて、全員がシンクロできるんだと思います。

【“常識”とは、試合をする上での基本原則や共通認識。それを理解し、その先は場面に応じて判断を下せるような選手を育てていきたい】
ここでもう一つ重要なことが出てきましたが、それは「その先は場面に応じて(各自が)判断を下せる」ということです。
「最適解」は「この場面ではこうしろ」と決められているものではなく、各自が自分で状況判断し、選択するわけですね。そして、基本原則や共通認識があるからこそ「選択」ができる

バレーで言えば、「アタッカー全員が助走できるようなパスを出し、アタッカーは全員が全力で助走する」という基本原則や共通認識があり、全員がそれをやろうとするから、アタッカーは迷いなく助走の準備をすることができ、セッターの選択肢が常に確保され、セッターもアタッカーも相手の状況に応じた選択ができる、といったところでしょうか。
味方が余裕のある状況を作ってくれてこそ、よりよい選択ができるわけで、そのためにやるべきことをサボらずやるという「規律」が「即興(場面に応じた選択)」を支え、「躍動感」を生み出していくんですね。

バレー学会のシンポジウムでは『高いアジリティで強みを発揮し続ける(機会損失をしない)』ということを仰っていましたが、これは日本のバレーボールが最も大切にしなければならないことだと思います。
「攻撃機会」を最大化するために守るべき規律(基本原則と共通認識)は何なのか?その答えを探していきたいですね。
バレーボールの方が「ネットを挟んで、3回以内で攻撃する」という制約があるので、遙かにシンプルにこの戦略を実現できると思います。

そして、
自分で決められるっていうのは、僕、自己肯定感の一番の根源だと思っているんですよ。自分の考えでプレーを選択できる。人生も同じじゃないですか。私で私の人生を選択できる。同じように自分でプレーを選択できるんだということで、セルフイメージも高まって、パフォーマンスも上げていくっていう裏の狙いもあります』
そもそも、この「自分で決められる」こそスポーツをする価値ですよね。

チームとして「何を最大化しようとする」のか?
そのためにどんな「基本原則・共通認識」をもつのか?
チームの方針を決める上で最も重要なところだと思います。

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