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「多様性を尊重する」の意図を”少数派を尊重しよう”とすると間違える

多様性を尊重しましょう

そんな考え方が市民権を得つつありますし、僕も多様性を尊重するという考え方は賛成です。

そして、号令をかけて旗を振ると一斉にそっちに流れていくのが日本人ですので、一気にそういう考え方が浸透して行っていることも良い事だと思いますが、多様性を尊重するというのが、少数派を尊重することだという考え方のまま押し進んでいるのなら、それには個人的にはモヤモヤしています。


思うんです。

多様性を受け容れよう!と一斉に号令をかけることは、果たして本当に多様性を受け容れることに向かっているのだろうか?と。

それはむしろ、違ったマイノリティを排除しようとする動きなのではないだろうか?


例えば、「マイノリティを受け容れていては社会がバラバラになる」という意見があったとして、それを否定する反論が溢れたとします。

これは間違っているということです。

多様性というのは、いかなる意見も尊重するということであり、見方を変えると、他人の考えや意見には基本的に無関心を貫くという側面を持った考え方のはずです。


それを踏まえた上で多様性を受け容れましょうという画一性を持ったメッセージを発することには違和感しかないです。

マイノリティに関して思うこと

あるニュース記事であったセクシャルマイノリティ議論

先日、セクシャルマイノリティを公言しているスポーツ選手の記事がありました。

その記事にはコメントがつけられていて、そのコメントはおおむねセクシャルマイノリティが堂々と生きられる世の中になればいいよねって意見が多いのですが、中にはそれを良しとしない意見もあるわけです。

「なぜ多数派が少数派にそこまで気を遣わなければいけなんだ!?」みたいな。

それに対して、少数派を尊重することが大切だろ!多様性を尊重しなくちゃ!!という反論も起き、やや議論が巻き起こっていたのでどうなるのか観察していました。

結果、何も決着はしませんでした。
互いに主張を通しただけです。

セクシャルマイノリティが許せない人はやっぱり許せないのです。

多様性は少数派を尊重するという考え方の抱える矛盾

「セクシャルマイノリティが許せない」という文字だけを見ると、時代遅れ感があり、人として狭量な感じもします。

でも、多様性を求めるなら、そのような反論意見を排除するというアクションはどうなんだろう?ってことになります。


各々がどう思おうが、世間的にはマイノリティが生きやすい社会を作ろうとして動いていて、その考えが多数派の世の中になりつつあります。

マイノリティを軽視する考え方は少数派です。

ここでこんな事が起きます。

  • ”マイノリティを軽視する考え方”はマイノリティ(少数派)

  • 少数派を尊重するのが多様性

  • だからマイノリティを軽視する考えも尊重しよう

といった、自身を否定する意見を受け容れることが多様性なのだとなりますから、いかなる意見であってもそれを排除するという動きは間違っているということです。

ここが多様性を尊重するという考え方を土台にした議論の構造的な欠点だと思います。

多様性を尊重するは少数派を守るのが目的じゃない

多様性を尊重しようとするなら、反対意見も暴論も認めなくちゃいけないはずです。

色々な意見があっていいし、色々な生き方があってもいいよね。
多様性を尊重するというのはそういう事なのですから、自分と考えが違うという理由で反論するのは多様性を尊重してないと言われかねない行為です。

昨今ちょっとだけブームな”論破”なんて行為は、多様性を尊重するという価値観の反対側にある行為かもしれません。


さらにいえば、多様性は分断を生むことを良しとする考え方です。
日本人は分断を嫌い、一体感を好みますから、必ずその部分で違和感や嫌悪感を感じるはずです。

でも実際に世界では分断を歓迎する考えもあり、国家という括りそのものを否定する考え方も賛同者を増やしつつあります。

要するに”今ある分類の仕方でこれからも分類していこう”という考え方を否定するという事なのだと思います。

分類を再定義しましょう、再分類しましょう。

それを受け入れるための価値観が”多様性を尊重しよう”だと思うのです。

そんなわけで

”多様性を尊重するという”という言葉がどんどん市民権を得つつありますが、その言葉をマイノリティ側の見方をみんなでしていこうという意味で解釈しているのではないだろうか?という違和感が絶えないということをつらつらと書かせてもらいました。

少数派を守るということは、いかなる少数派意見も尊重すべきとなりますし、それは、マイノリティを尊重しなくていいという少数派意見も尊重しなくちゃいけないということです。

すごく矛盾していると言いますか、あちらを立てるとこちらが立たないという構造を受け容れようというムーブメントなので、問題が常に絶えない考え方なんじゃないかな?と思います。


僕の解釈では、多様性を尊重するというのは、”分類を再定義して分類し直そうよ”という考え方なのだと思っています。

男と女という2種類の性別にこだわる分類方法を再定義しようよというのが、セクシャルマイノリティに対する多様性の尊重なのだと思います。

じゃあ、どういう分類にしていくといいのかな?が社会的に現在進行形なんじゃないかな?と思います。

そう捉えていくと、意見の衝突も少ないし、多様性を尊重するという意味も意図も理解しやすくなると思います。

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