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【0043】 命日

今日は母親の命日だ。

13年前に52歳で亡くなった。

最期はがんが身体のあちこちに転移してしまい、戦いに疲れてしまって、終末医療を選んだのだった。

若くして病気を患ったため、各種の保険に加入できない身体になってしまった母。

老後の蓄えとして貯めてきたお金を取り崩しての約3年の闘病生活というのは、心中いかばかりだったであろう。

がんという病気と戦うだけでも身体的苦痛や精神的苦痛があるだろうに、そこへきて蓄えを毀損しながらの闘病というのは、経済的苦痛と、追い討ちをかけるような精神的苦痛があったことと思う。

「俺はまだ働けるから、金のことは心配せずに、戦えるだけ戦おう」と背中を押した父の優しさも立派なことだと思う。

6つも歳上で、家のことなどなにひとつわからない、典型的な昭和のサラリーマンだ。どう考えても自分が先に逝くという前提で生きてきたらしいが、事実は小説を軽く超えてくる。

人生には3つの坂が、、、なんて結婚式でよく聞くが、「まさか」は必ずといっていいほど、起こる。僕は我が家に起こった「こんなはずじゃなかった、、、」という思いを、感じ家庭が世の中から少しでも少なくなればいいと願う。

その力になりたいと思って、2020年3月に、僕は生命保険会社に転職した。ちょうどコロナという「まさか」が地球を覆ったタイミングだ。

僕や弟の結婚や、孫を抱くなど、叶わなかった夢があるままこの世を去った母。不思議なもので、離れて暮らしていたときよりも、亡くなってからのほうが身近に感じることがある。母の命日に、改めて、ひとりでも多くの人の夢を現実のものとできるよう、誓いを新たにする。そのように人様のお役に立つことが、きっと父母から受け継いだ、ご先祖から脈々と受け継がれた宿命なのだと思う。




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