沢海 嵐川

北陸に住んでいる大学1年生。旅をしながら現代短歌を詠むことが趣味。書き物もちょっとやっ…

沢海 嵐川

北陸に住んでいる大学1年生。旅をしながら現代短歌を詠むことが趣味。書き物もちょっとやってる人。

最近の記事

【連載】未来に吹く風 ~君と短歌と一年間~

第3章 ~沢海 簿財の述懐 文月の傷~ 君を待つカフェでの虚無とコーヒーと刻(とき)をうめてくエリック・サティ  終業式の後、長岡駅のシャモニーで彼女と夏休みの予定を立てようって話したんだ。まがいなりにもお互い就活生でしょ?でもうまく時間を見つけて何とか遊びたかったんだね。座席はいつも決まって突き当りを右に行ったところの入り口から見えない席。前に入り口から見える席に2人でいるところを同級生に見られてね、あんな目はもうこりごりだもの。僕はコールドコーヒーを彼女はアイステ

    • 【連載】未来に吹く風 ~君と短歌と一年間~ 第2章

      ~長野 鈴の述懐 水無月の時~ すれ違い追いかけ時に逃げながら 過ぎ去ってゆく夏よ、とまって 暑いの苦手なんですよ。寒いのもなんだけど。あの夏はもう一回やり直していいよって言われたら、どうするかなぁ、やり直したい気もするし、うん、やっぱりいらないかな(笑)あの夏はね、沢海君は簿記の研究と就職試験で私は吹部と公務員試験、お互い忙しかった時期だったね。彼はかまってもらえなくて拗ねてたかもだけど、私としてもやっぱり面と向かって接する機会が減るのは寂しいと感じてた。でも、きっ

      • 【連載】未来に吹く風 ~君と短歌と一年間~ 第1章

        ~沢海 簿財の述懐 水無月の雨~ 夕焼けの色を模写したまるい花 梅雨が忘れていった紫陽花 短い、いつになく短い梅雨明けを経てね、少しばかり湿っぽい夏が来たんだよ。僕は9月に就職試験を控えていてね、そのちょっと前にも学会があったりして結構ハードなスケジュールをこなさなければいけない夏が来てたんだ。そうだね、完全に鈴(れい)のことはほったらかしてたよ(笑)彼女も彼女で公務員試験受けるんで僕になんかかまってる暇なかったかもなあ。 高校までは片道1時間とちょっとの道のりで通っ

      【連載】未来に吹く風 ~君と短歌と一年間~