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芭蕉の俳句によるプロジェクション(湯浅譲二)

ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。


さて、"本日のオススメ"は、湯浅譲二作曲の『芭蕉の俳句によるプロジェクション』です。(数字は24-434・名曲解説全集第24巻-P433)


湯浅譲二先生、1929年から、現在92歳でご存命中!!!!!の、福島出身の作曲家ですね。

とうとうご存命中の先生がご登場になりました!!

黛敏郎先生、矢代秋雄先生と同じ年の生まれで、翌年に武満徹先生が生まれている、そんな時期の方です。


福島県は郡山市に、開業医の家庭に生まれました。

音楽を愛好していた父の影響で、先生自身も幼少期より音楽を愛好しており、父が留学時に購入したレコードを聴き、トランペットやピアノに親しみ、簡単な曲を楽譜に書いていたりしていました。

大学受験で東京に出てきてからは、日本人作曲家の作品も聞き始めましたが、学びとしては慶應義塾の医学部に進学し、音楽は趣味でやっていくつもりだったそうです。

大学に入ってからも作曲は続けていましたが、現代音楽の状況を知るうちに、自分でもできると思ったそうです。父に相談したところ、「それならやれ、10年間は面倒みてやるから」と。んー、スゴイですね。

実験工房(詩人の瀧口修造を中心に集まった若手芸術家で結成された総合芸術グループ)に入り、活動を始めました。この実験工房、音楽系ではピアニストの園田高弘先生や、作曲家の武満徹先生も所属をしていました。映像、音楽、美術、文学、演劇など、各領域を超えたインターメディアな活動が特徴のグループでした。

ジャンルとしては、オーケストラ、室内楽、合唱、劇場用音楽、インターメディア、電子音楽、コンピュータ音楽など、幅広い作曲活動を行っています。

カリフォルニア大学サンディエゴ校の教授(その後名誉教授)、日本大学藝術学部客員教授、東京音楽大学客員教授、桐朋学園大学特任教授などを歴任しています。


そんな先生が書いた歌曲が、本日の曲『芭蕉の俳句によるプロジェクション』です。

先生は、音楽の根源的なあり方を、人間同士のコミュニケーションのための発声の仕方に求めています。発声の際の抑揚、音程、強弱が「言葉」になり、「音楽」にもなると考えており、言語が音楽になる過程を、本日の曲までに踏んできているとのことです。

芭蕉の俳句10句で構成されています。特に、下記が意図されているそうです。
・言葉の発声に必然的に伴う音声の音楽的運動
・日本語を日本語として存在させること
・日本語の言語的感性

各句が内包する、動的な世界と静的な世界を意図的に配置し、先生自身が【動】と【静】を各句のあとに記載しています。

第1曲:野ざらしを心に風のしむ身哉【動】

第2曲:いのちふたつのなかに生たる桜かな【動】

第3曲:夜竊(ひそか)に虫は月下の栗を穿(うが)つ【静】

第4曲:海くれて鴨の声ほのかに白し【静】

第5曲:山も庭もうごきいるるや夏座敷【動】

第6曲:あかあかと日は難面(つれなく)もあきの風【静】

第7曲:月はやし梢は雨を持ちながら【動】

第8曲:枯朶(かれえだ)に鳥のとまりけり秋の暮れ【動】

第9曲:冬の日や馬上に氷る影法師【静】

第10曲:旅に病で夢は枯野をかけ廻る【動】


全然音源見つからず、唯一、第8曲の一部があったので、コチラを共有です。

バリバリの現代音楽ですね。

松尾芭蕉先生も、驚いていることでしょう。

ただ、聞き方を変えると、日本語の言語的なものを音楽化すると、このようになる、という事だとすると、面白い取り組みのように思います。


音源、ほぼ聞けずなんで残念です。。

楽譜は売っているみたいです。

もし共有できる音源ありましたら、ぜひURLを共有いただければ幸いです。



本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。

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