【宅建観測】2050年。誰でも広いお家に住めるかも。
2024年(令和6年)9月11日(水)の新聞朝刊各紙は「デブリ取り出し」で盛り上がってましたね。
デブリ880トン 最初の3グラム 試験取り出し
当日に買った読売新聞の記事です。
みなさんにも読んでもらおうと思って記事はこちらとしましたが「有料」だ。
なので、HHKとか。
ご参照ください。
ちなみに「デブリ」とは、記事によりますと〈高熱で核燃料が溶け落ち、コンクリートなど原子炉内の様々な構造物と混ざって冷え固まった〉もので、〈人が近づけば数分で死に至るほど強い放射線を放ち続けて〉いるというヤバさ。
これが880トンくらいあるみたいだけど、880トンってどれくらいのボリュームなのかピンとこないっすよね。
で、どんなもんかなとググってみたら、京都タワーが800トンくらいでした。ちなみに、新宿に林立している超高層ビルのひとつ、三井ビルは「1800トン」らしく、デブリはそこまでないみたいで一安心ですね。
とりあえず3グラム、まずはここからだ。
政府と東京電力は2051年までに廃炉とする計画だそうで、となると「耳かき一杯3グラム」での掻き出しだとまったく話にならず(当たり前っすね・笑)、一日あたり80キロ以上を回収しなければならぬそうです。
たいへんだ。
そんでね、回収したデブリをどうするか。
記事によりますと〈最終的な処分先は決まっておらず、一時的に敷地内に保管する〉とのこと。
取り出してはみたものの、みたいな。
〈人が近づけば数分で死に至るほど強い放射線を放ち続けて〉というデブリ。廃炉にするため掻き出してはみたものの「さて、このデブリどーする問題」は残るということだから、もうこうなったら、ロケットを開発して宇宙空間に捨てにいくしかないかも。
行こう、宇宙へ。
最後のフロンティア。
空を超えて ららら 星のかなた
行くぞ アトム ジェットのかぎり♪
でっかいロケットを作って、京都タワーくらいの巨大な塊を宇宙空間にもって行って、どーんと廃棄だ。
きゃほーーー♪
一気に解決。
たぶん、めっちゃものすごい断捨離したときのたまらん爽快感でエクスタシーを感じることでしょう。
2050年。
楽しみです。
実際、2050年はどうなっているか?
ちょっと前ですけど、タイトルに惹かれて読んでみました。
2014年ごろの発刊ですから、いまから10年以上前に書かれた本です。
「大量老年難民」の時代を前に、思い通りにならない人生を後悔しない、潔い生き方とは?
という案内文にも惹かれ、なるほどなと。
でね。
こちらの書籍に記されていたのですが、著者は「2050年」という小説を2014年1月号の小説新潮で発表したとのこと。
読んでみたいと思いまして、たぶん単行本や文庫本のどれかに収録されているかと探してみたんですけど、どうも、ない。
なんでだろ。
しかたがないので、もはや稀少本(雑誌ですからね)となっているであろう当該書籍を買ってみました。
下知識として、国は2050年をどうとらえているのか。
あえて古めの2017年ごろの国土交通白書から一部引用抜粋してみます。
経済産業省はこんな感じでした。長くなるので箇条書きです。
2050年頃には、100歳以上の高齢者が50万人を超える見通し。
単身世帯は2040年に39.3%まで拡大し、最大の世帯類型に。
出生数65万人
さて小説では。
ちなみにですが、ワタクシ、ホラー作品も好きだったりしますので、たとえばですが、『新感染 ファイナル・エクスプレス』みたいな「ホラー小説」仕立てになっているのかとの期待もちょこっと。
でもね、もちろんそうではありませんでした。
そこまで高齢者がゾンビ化して暴れている世の中でもなかった。
話を戻しまして、まぁほらワタクシも宅建受験講座の噺家としてナリワイをたててますものですから、この小説を「宅建的な視点」で読んでみようかと。
「ざっくりストーリー」です。
2040年くらいから日本の人口は激減。
2043年くらいに1億人を割ってしまい、若者の比率は、老人1人に対して、たったの1.4人となり、若者世代の鬱屈、不満は頂点に。
社会主義的な方向になっている。
人口減のいい面として、都会が空き家だらけになり、結果、誰しもが広い家に住めるようになる。
不動産登記とか権利関係とか、誰も気にしなくなる。
2014年の小説発表当時も「空き家問題」が議論されていたけど、あれから10年たった2024年現在のいま、「空き家問題」は解決の方向に動いておらず、その議論を阻むのが「私的所有権がどうのこうの」というアレで、これがある種の「言い訳的なネタ」になってますので、それに寄りかかっての先送り体質が続くだろうから、果たして26年後の2050年、いかに。
そんでもうちょい「ざっくりストーリー」です。
人口減の社会だから、つまり金があったとしてもその金で動く人自体がいなくなるのだから。そもそも論として「資産価値どうのこうの」という議論がなりたたず、結果、不動産もただそこにある「物」となる。
歩けなくなりつつある高齢者は高台(現在の高級住宅地)に住めなくなる。
人口減少のため街の足となっていたバス便廃止。歩けない高齢者は困窮。
金を持っている特権階級はそれでも豪華な戸建てに住むが、年がら年中強盗に襲われる。
警備会社もあるが、通報があっても駆けつけない(働く若者がいない)。
110番通報をしてもパトカーが来る確率は低い(人手不足)
このあたりの展開も「まぁそうなるよね」という感じがするでしょ。
なのでリアリティーたっぷりです。
ドキドキしちゃう。
そんでね、笑っちゃうのが、ここ。
犬を飼って強盗を防ごうという裕福層もいるが、こんどはその犬を食うために連れ去る輩が現れる。
この小説、上述のとおりいまから10年前の2014年1月号で発表されたものですけど、なんと、つい最近、令和6年9月11日のトランプさんとハリスさんの一騎打ちというノリで盛り上がった「米大統領選 テレビ討論会」で、トランプさんがおんなじようなことをしゃべって、顰蹙を買ってましたね。
あっはっは。
笑ったわー。
サイコーです。
そんでね、「高齢化社会にしたのは誰の責任だ」という議論も巻き起こり、政治や行政、医療関係者らが責任のなすりあいもあって、たしかに2050年、どーなってんだ、みたいな。
高齢者は死なないんだけど、医療従事者が少なくなるから、かわいそうなことに乳幼児の死亡率は上がっちゃうのよ。
・・・ということで、いうなれば身も蓋もない話(←逆に「はっきり書いてある」ので痛快です)だから、ほら、いまどきの多くの若い衆(粋な感じで「わけーし」と読んでね)が読んじゃうと、ますます少子化が進むおそれあり。
そんなこともあって、単行本にも文庫本にも収録せずに、発禁本みたいな状況になっているのかも。
それゆえ、毒満載でめっちゃおもしろいので、機会があれば読んでみてね。
あと26年だから。
もしかしたら首都直下地震も南海トラフ地震もこないうちに2050年を迎えられるかも。
こればっかりはわかんないけどね。
首都直下地震で首都圏が壊滅したあとの復興には「28年」という予測もあるらしいから、もしそうなったら小説の世界とはまたちょっと様相が変わってくるかも。
あとはやはり宅建講師をナリワイとしてる身だからこその個人的な興味なのだが。
バンバン建てちゃっている定期借地権マンション(タワマンだったりする)は、ほんとに借地権期間満了で取り壊せるのか。
地主に更地返還となるのだろうか。
その最終回を、見たい。
長年、しゃべり続けてきた定期借地権での分譲マンションの最後。
実際どうなるのか、これもいまだとわからないからこそ、それを見てから、オレは死にたい。
ということで、今回は26年後の2050年をテーマにしてみました。
たぶんきりがいいからなのか「2050年」を題材とした話題が世の中で飛び交ってますので、その流行に便乗して記してみました。
最後までおつきあいくださいましてありがとうございます。
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