いい音の基準
絶賛学園祭シーズンです。
今年もいくつかの大学にお邪魔しています。
毎年、たくさんのバンドやサークル、団体、実行委員の企画などが詰まっているステージなのですが、その進行に関してはなかなか苦労も多く、毎年ちゃんと引継ぎされていない部分も多いので毎回説明が大変です。
音響機材は割とバンド演奏に対応する仕様でプランを組んでいるのですが、実行委員はバンドマンではありません。
なので、タイムテーブルがなかなか鬼畜なことになっています。
10:00-10:20 バンドA
10:30-11:00 実行委員企画(ステージ上なにもない状態)
オープニングトーク
1組目ダンス (1曲)
2組目バンド演奏 (1曲)
3組目ダンス (1曲)
4組目バンド演奏 (1曲)
11:00-11:20 ゴスペル(30人)
最初バンドのセッティングの状態から、10分で全部の機材をステージから降ろして、回線もバラシて、実行委員会企画に備えます。
ところが、バンドが終わってすぐ実行委員企画の担当者が打ち合わせしたいとPAブースにやってきます。
・・いやいや、先にバラさないと次に進まないから!
で、オープニングトークをしたら最初はダンス、
終わったらすぐ2組目の登場です!バンドで○○を演奏してくれます。それではどうぞー!
・・いやいや、まずドラムを組んで、アンプをステージ上げて、マイクの回線を作って、モニタースピーカーを乗せて、音の確認をしてから各楽器の音出しをしてもらって、からのスタートです。。
そういった転換の段取りがうまく伝わってなかったりするんですよね。
そもそも10分で全バラシもかなり厳しいのに、そのあと再度セッティングしなおすとか、無理ゲーです。
普通、こういう流れならバンド機材はバラさずに後ろに下げるとかスペース作ってダンスを対応してもらって、とか、なるべくスムーズに進行する方法はいろいろ提案できるのですが、窓口になっている学生と、実行委員企画の担当者が違ったりすると、その伝達がうまくいってなかったり。
バンド経験がない人は一瞬でセッティングできると思ってる人も多いので、そういう説明もきちんとしないといけないのですが(窓口の学生にはかなり詳しく説明しているのに)、なかなか各担当者レベルまで伝わっていないのが毎年の問題です。
それでも、10年くらいかけて、バンドの団体は極力続けて行うようにしたり、芸人とかミスコンとか、準備が必要な出し物の前後はセッティングが比較的簡単な団体を1つ挟んで、機材の入れ替えを極力減らすとか、少しずつやり方を改善してきて、スムーズに進行するようにはなってきてるんですよ。
最初なんか、バンド→アカペラ→バンド→ダンス→バンド→ミスコン みたいに、毎回機材の出し入れが必要になるプログラムで、そりゃ激押しは当然です。音作りもできないし。
徐々に良くはなってきているけど、基本1,2年生が中心の実行委員会なので、毎年リセットされてしまうのが問題ですね。去年も同じこと説明したよなーとか多々あるし。
まぁ、それでもいいステージにしたい気持ちは同じなので、対応できる部分は対応するし、極力スムーズに進行するように先手先手で準備はしますが。
バンドも、入れ替え&セッティング&サウンドチェック&本番込で30分なので、実際転換10分弱で全てをチェックしなければいけません。
なので、編成やアンプの位置などは予め資料もらってないと、メンバー来てから移動ではその分ロスするし、急な変更は時間の無駄です。
基本的に、転換時は中音のバランスを整えるのを最優先にしているので、各楽器の音は準備段階でレベル取ってしまうし、演奏するジャンルに合わせてある程度音作りは済ませます(メタル系はキック固めとか、ポップス系のリバーブ具合とか)
中のバランスが決まらないと、外音も作れないので。
というか、バランスよければそのままあげれば基本そこまで悪くはなりません。
ところが、毎年現れる、サウンドチェック中に「もっとアンプ音量上げた方がいいよ」先輩。
モニターの音量とか、楽器全体のバランスをとっている段階で、外から余計なアドバイスをする人が毎年いるんですね。
で、素直にあげてしまう後輩ギタリスト。せっかくいいバランスだったのに、極端にデカいJCのジャキジャキサウンドとか、もう最悪です。
PA側で、楽器の音は上げれますが、デカい音を下げることはできません。
トータルで出せる音量のMAXも決まっています。
ボーカルに被りまくって全然聞こえない、つられて他のアンプも上げてステージ内はもうカオス。ボーカルはもっとモニターに自分の音をを下さい。でもそれにもギターが重なって上げても聞こえない。
持ち時間がもっとたくさんある公演なら、1曲目終わったくらいでちょっと調整しに走ったりもできますが、みんな持ち時間ギリギリにセットリストを組んでくるのでそんな時間もない。
もうお手上げです。
学祭の音響だし、それほど期待してないから自分たちでやりたいという気持ちはあるのかもしれないですが、こっちだってやるからにはバランスのいい音で聴かせたいという気持ちでやってるので、そこはお互い協力しましょうよ、って思うんですけどね。
そりゃ、「普段ライブで聞いてる音と違う、もっといい音に俺だったら作れる」、って強気なサークル部員もいると思いますよ。
1組だけ時間無視して集中して作るならそれもいいと思いますけど、前後のプログラムや全体のタイムテーブルを考えて、時間内で作れるベストを目指すのが大事だと思うので、こだわりを出すのは部室のライブとか、ワンマンとかでやってください。それか予算追加してください。
今の予算じゃ、オペレーターとアシスタント1人が精一杯です。
そんな愚痴もありますが、スムーズにやり取りできているバンドとは、たぶんやりやすい環境になっていると思うし、外音も聴きやすい感じには仕上げてるつもりです。あの規模の割にはいい感じじゃないですかね。フェス規模と比べても仕方ないし。
バランスいいなーと思うバンドはやっぱり演奏もしっかりしてるし、自己中オナニーバンドマンがいると全体のバランスはグチャグチャになる傾向があります。
サークル以外でも活動しているバンドマンは、比較的理解が早くて、その環境に合わせたバンド内の音量バランスとかも気にしてくれたりするのでとてもスムーズですが、やはりサークルの中だけでしか活動してない人は固定観念が強くて頭が固い気がします。「いつもと違う」に対してすごく毛嫌いするというか。
いわゆる「プロ」のミュージシャンは、会場のキャパや環境に合わせてセッティングは調整しますし、その場でのベストを判断するスキルが高いですね。爆音といわれるバンドも、中音は意外と小さかったりするし。バランスがいいから、外音も迫力あるサウンドで出せるという。
何事も経験は大事だなと、改めて思います。
自分もまだまだ勉強が足りないし、もっと経験したいと思います。
さて、今シーズンも残り僅か。
頑張っていきましょう。
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