トイレが広くなったよ!

 自宅のトイレをリフォームした話ではない。夢の中に登場するトイレが広くなったのだ。

 夢の中でトイレに行くことがよくある。
 私はいつも自宅以外のどこかにいて尿意を感じ続けていて、やっとトイレに辿り着く。公共のトイレの入り口。

 「もうすぐにこの尿意とはおさらばだ」と思いながらトイレ入り口のドアをあける。その先には個室がいくつか並んでいる筈だ。しかし、ドアの向こうにある光景が目に入った瞬間、尿意を感じながらいつも愕然とし、すこし漏らしそうになってしまう。

 目の前に便器がずらっと並んでいる。個室のドアや仕切りがない。便器はあっちを向いたりこっちを向いたり、不規則にところ狭しと配置されている。周りには見知らぬ人たちがちらほら居る。でももうこれ以上は我慢はできない。

 便座に至っては奥行きが通常のものの3分の1程度しかなく、座ることができない。そして便座の位置が高い。私の腰ぐらいの位置だ。男ならまだこのような状況にも柔軟に対応できそうだが、私は女だ。いつもつま先立ちになって、かろうじて便器の中にちょろちょろと入るかなという感じで用を足すことになる。周りに人がいるということもあって、ちょろちょろとしか出てこない。

 こんなトイレでこんな用の足し方なんて、
夢占いをしたらきっと最悪の精神状態の表れなのだろう。

 夢の中に登場するトイレは毎回異なる。学校のような建物のこともあるし、宿泊施設のトイレのこともある。だがいつも個室なんてものとは程遠く、きまって便器がギチギチと敷き詰められている。よくあるパターンは、個室ではなくトイレの中にいくつかのドアのない空間があって、ひとつの空間の中に便器が5つくらいあるパターンだ。

 それがここ2回連続、ギチギチではなく広々としたトイレが登場したのだ。縦長で、富裕層の家にあるらしいウォークインクローゼットくらいの広さがあった。その中央に和式の便器が設えられていた。ああ、今日はつま先立ちで用を足さなくてもいいんだ、と安堵した。

 だが、完全な個室ではなかった。囲いがあるのは2面のみ、両隣りのトイレとの仕切りだけ。ドアは無く、奥には仕切りも壁もなかった。でも、便器同士でぎちぎちになっていないこのトイレを見た瞬間の安堵感と言ったら。

 奥にも仕切りがあって、ドアもあって、と完全な個室になっているトイレで安心して用が足せる日がいつかやって来るかもしれないと思えた。

まあ、夢の中でのことだけどね。

追記
 この記事を書いてから1ヶ月半後に登場したトイレは完全な個室で、しかも普通よりやや広かった。
 けれど、そこにはいろいろな方向を向いた和式の便座が3つ配置されていた。ギチギチではなく、3人が同時に用を足せるくらいのスペースはあったが、三歩進んで二歩下がるくらいのペースでしか完全個室に向かっていないようでがっかりした。

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