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考える技術2「考える」のゴールを決める


ときに思考の迷路に迷い込むことがありますよね。

理由はゴールがはっきりしていないからじゃないでしょうか。
すべての思考には「目的」=「ゴール」が必要です。

たとえば「悩み」の多くはゴールがわからなくなることで起きています。悩んでいる時間は、はっきり言ってムダな時間。            

1日は平等に24時間ありますが、その質は人によってまったく違います。1日が実質16時間くらいの人もいれば、1日の濃さが25時間にも30時間にもなっている人もいます。


その差を生む原因のひとつが「悩み」です。悩んでいる時間は、あなたの人生の時間を奪っていきます。


悩みは、不安という感情に支配され、頭の中がモヤモヤした状態です。頭はクリアだけど、うじうじ悩んでいるなんて状態はないですよね。


モヤモヤというのは、霧の中を車で走るみたいなもの。進むべき方向が見えない状態です。 

でも、悩みにゴールを設定できると、霧は一気に晴れます


たとえば、「Aさんに嫌われているんじゃないか」という悩み。ゴールを「Aさんから嫌われないこと」にするのか、「Aさんとは距離を置くこと」にするのか、ゴールをどちらに設定するか。ゴール次第で取るべき策は全く変わります。

ゴール設定ができた段階で、悩みの半分は解決したようなものです。

編集の仕事をしていると、さまざまな分野の専門家に会います。これは、お金の専門家から聞いた話です。


「お金の不安を持っている人がすごく多いんです。将来への不安です。じゃあ、その不安を払拭するためにどうしているかというと、この超低金利時代に貯金しかしてない。もちろん貯金をすることが悪いんじゃないですが、それだといつまでたってもお金の不安を解決できないのに、それしかしてないんです。解決策を見いだせないままなんですよね」


たとえば、「老後資金2000万円が必要」というニュースを見て、将来のお金が不安だから、毎月3万円の貯金をしている」という43歳の人がいます。貯金で貯まるお金は1年で36万円です。70歳まで働くとして、これから27年貯めると金利ほぼ0%で考えると、972万円です。これはわかりきっていることですが、2000万円が必要という目的を達成できていません。退職金や相続がないと考えると、貯金金額は倍の6万円が必要になります。

思考の現場でもこれと同じことがよく起きています。

仕事の打ち合わせや会議で、意見が合わず感情的なぶつかり合いになっているシーンをみたことはないでしょうか。これはゴールを忘れて、思い込みで激論が起きているケースがほとんどです。そのうちに何の議論をしているかもわからなくなってしまうことさえあるのです。


ゴールを打ち合わせメンバーで共有できていれば、ケンカのような議論にはなりません。ゴールに向かった前向きな議論ができるようになります。仕事で起きるトラブルの多くは「ゴールを握れていない」ために起きるのです。迷ったときはいつも「そもそも」に戻る。つまり設定したゴールに戻ることです。

ゴールとプロセスが入れ替わってしまい、「手段の目的化」が起きてしまうこともよくあります。常識というものも疑わないと、「手段の目的化」が常識になっていることが多々あります。

教育改革で有名になっている千代田区立麹町中学のの工藤勇一校長は教育の現場に横行している「手段が目的化されてしまっていること」をストップさせて、学校改革を行っています。工藤校長の著書「学校の『当たり前』をやめた。」にはその事例が多数紹介されています。

なんと、宿題、中間・期末テスト、固定担任制などをやめてしまったわけです。                                

その考えのベースは「そもそも学校は何のためにあるのか?」ということ。そこから思考をスタートさせたとき、手段だったはずの宿題や中間・学期末テストが目的に変わってしまっていて、学校の本来の目的である「社会の中でよりよく生きていけるようになる場所」という部分が忘れ去られてしまっていることが、いまの学校の最大の課題だと気づいたそうです。

これは何も学校に限った話ではなく、会社でも、家庭でも、日常生活の中でも、普通に起きていることですし、何かを考えるときにも頻発している問題でもあります。

ゴールを決めるとは、そもそもから始めることです。

「ゴールを決める」。迷ったら途中で「ゴール=そもそもに戻ること」。 それによって、寄り道することなく、迷路に迷うことなく、考えていくことができるようになるのです。


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