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春の嵐

2021年3月2日。

東京は春の嵐。

僕は曽我部恵一の「春の嵐」を聴いている(バスに揺られて家路を急ぐ)。

春が来る予感と、風がごうごうと街路樹を揺らす様子に、言いようもない小さな興奮を覚える。

そっと心を沈めるように、目を瞑ってみる。

最近の自分は、以前よりも注意深く物事を見るようになった。家にいる時間が増えた分、目がいく先は外よりも内。

特に自分の内面を見ようとしている。

「本当に大切なものは目には見えない」とは、『星の王子さま』に出てくるキツネの言葉だ。

確かに内面を「見る」と言っても、目で見ているわけじゃない。

心の中で、時に砂利をふるいにかけるように、大切なものを選り分ける。

誰もが欲しくなる光る石もあれば、誰も見向きもしないただの石もあるけど、僕にとって何が大切かは「誰か」にはわからない。

ただの石も形や色が好きだったり、理由はわからないけど、印象的だったりするからだ。

生命は砂でできた城。

こうしている今も風にさらされて、いつか消える日に向かっている。

願わくば大切な石をちゃんと選り分ける心の目と、視線を注ぐだけの余白を。

たとえ嵐のような日にも持ち合わせていたい(春がきて嬉しい)。

ありがとうございます!好きな本を買うか、旅に出ます。