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【書評・感想】不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか

■書籍タイトル
不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか


■Amazonの商品説明から引用
メディア掲載レビューほか
日本軍の真実
12月8日は日米開戦があった日。沖縄をはじめ全国に米軍の基地や施設があり、不平等な日米地位協定や航空管制など、“戦後"はまだ続いている。76年前に無謀な戦争をしなければ、そして、その前に愚劣な中国侵略を始めていなければ、こんなことにはならなかっただろうに。

戦争の始め方もばかげていたが、終わり方も悲惨だった。面目にこだわった軍部は負けを受け入れようとせず、一般国民はひどい目にあった。

日本軍の戦術でもっとも愚劣なものが特攻だろう。飛行機だけでなく操縦者の生命も失われる。日本軍が人命を軽視したことを象徴している。

だが、出撃しても生きて帰ってきた特攻兵がいた。それも9回も。昨年の2月、92歳で亡くなった佐々木友次氏がその人である。鴻上尚史の『不死身の特攻兵』は、佐々木氏や特攻について調べたこと、佐々木氏へのインタビュー、そして、それらからこの劇作家が考えたことの三つの要素からなる。

なるほどと思ったのは、特攻は兵士の誇りを傷つける作戦だったという話。体当たりせよという命令は、それまで訓練してきた急降下爆撃などの技術を否定するものだ。だから佐々木氏らは、命令に逆らって米軍の戦艦に爆弾を投下して帰還した。

だが、軍は生還した兵士をねぎらうどころか冷遇する。早く再出撃して、こんどこそ死ねと迫る。体当たりして戦果を上げたと、天皇にも報告してしまったのだから、というのが軍幹部のいいぶんだ。しかも命令した上官は、米軍が迫ると台湾に逃げ出す始末。これが戦争の現実、日本軍の真実だ。
評者:永江朗(週刊朝日 掲載)

内容(「BOOK」データベースより)
1944年11月の第一回の特攻作戦から、9回の出撃。陸軍参謀に「必ず死んでこい!」と言われながら、命令に背き、生還を果たした特攻兵がいた。


■おすすめ度
★★★★☆

特攻隊というの知っていましたが、その実情を深くは知りませんでした。
当時の日本を取り巻く空気感を知っておくことは、学びが深かったです。

調べたら漫画で連載されているようです。7巻まで発売中。(2020年5月現在)にもなっているようですので、よろしければこちらも参考にしてください。


■読んだきっかけ

メルカリで衝撃的なタイトルに惹かれ、購入しました。

■内容まとめ

文頭のレビューにほとんど記載してありますね・・・。

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自分の命を賭して、敵を攻撃することを命じられた佐々木氏が、9回の出撃をしても生きて帰ってきたという実話です。
帰還することを前提としない飛行機でどのように帰ってくることができたのか、当時の異様な空気感と、周囲の人々の反応の変化も含めて、初めて知った内容が多かったです。
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■こんな人におすすめしたい
・戦争についての多面的な考えを知りたい方
・当時の空気感を理解したい方


■あとがき
何気なく読み進めた本ですが、感じることが多い本でした。マーケティングやPRを勉強していると、「空気感」という言葉を使うことがあります。当時の日本軍・日本を取り巻いていた空気感は想像するのも難しいくらい特殊な状態だったんだと改めて感じました。

戦略や組織という面でも気になる点がありました。
一度出撃した佐々木氏が帰還した際に、「すでに上には特攻したと報告しているから早く死んでほしい。」というような場面があります。
勝つための戦略ではなく組織が優先されるいびつな構造があったのだと思いました。

また、戦力として有望な、スキルのあるパイロットから特攻させた点、実際の戦果よりも誇張に宣伝されていた(これはマスコミが部数を稼ぐために煽っていたとも書かれていた)点なども不思議な現象だと思いました。

何をどう書こうと、解釈しようと、戦争は悲惨なもので、繰り返されるべきことでは無いというのは、今後も自分の変わらない意見として持っていると思います。そのうえで、歴史から学ぶことはたくさんあるはずだとも思いました。



おしまいです。それでは、また。



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