見出し画像

布団(ランダムワード小説)

憂鬱な月曜日、それでも重たい身体を起こし、眠た目で身支度を済ませ、男は家を出た。駅までの途方に暮れる坂道を上る。ちょうど半分を過ぎ、ようやく坂道の一番高いところまでたどり着いたとき、道端にかけ布団が落ちている。昨日の夜の風でここまで吹き飛んだのかなと男は興味津々に布団をめくった(男は割と道端のものを拾うタイプらしい)。すると、布団の下に猫のように中年の男が丸まっていた。布団が突然剥がされて、余計に丸まっている。驚いて、男はつい呟いた。冬の朝か!と。クリスマスまで一週間。冬の朝である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?