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現役編集者が、「 #ウェブの面白い文章 」を50日かけて5本選んでみた。−1−

はじめまして(の人にも読まれたら嬉しいです)、編集者の滝啓輔と申します。普段は講談社のウェブメディア「現代ビジネス」「マネー現代」の編集をしています。

出だし、丁寧にはじめましたが、情報量が多くなりそうな予感がするので、あとはテンポよくいければと思います。

僕の「 #1000日チャレンジ 」の内容

このnoteは僕の「 #1000日チャレンジ 」の一環で書いています。その試みについては、以下のさとなおさんのnoteが詳しいです。

さとなおさんが主宰する「さとなおラボ」10期生の僕は、この動きにのっかり、自分でも1000日かけてやってみたいことを決めました。

それが<独断と偏見で「 #ウェブの面白い文章 」を1日1つシェアする>こと。最初は面白い「ツイート」まで視野に入れてたのですが、このnoteを書いている時点で70日近くがすぎた今も、毎日まとまった字数の文章を選べているので、「ツイート」は除外する方向で考えています。

*記念すべき?1回めのツイート。まだ(ツイートも含む)とあります

#ウェブの面白い文章 」の定義と選ぶときのルール

言うまでもないですが、この定義自体、自己流です。なので、他の方の思う「面白い」が当てはまらない場合もあるでしょう。あくまで滝が文章を選ぶときの基準、くらいの意味です。

・くすっと、あるいは声を出して笑えるものはもちろん「面白い」
・自分が想像もつかなかった事実、考え方を教えてくれるのも「面白い」
・本来の面白いと外れていても、どうしても読んでほしい文章も「面白い」

まあ、一言で言えば、「その日見つけた、いちばん他の人にも読んでほしい文章」ということになるでしょうか(これまでの傾向で言うと、1番目の「面白い」文章はあまり選んでおりません)。

選ぶときのルールは、正確に言えば「こういう文章は選ばない」というルールです。

・自分、あるいは自分の所属する編集部が関わった文章は選ばない
・自分の担当した書き手、近しい人の書いた文章も、極力選ばない

1つめについては、「現代ビジネス」にせよ「マネー現代」にせよ「FRaU」にせよ、1日に1本は面白い文章を公開している、だから自分たちが関わっている文章を選ぶだけで1000日なんてすぐに達しちゃうよ、的な思いがあって、選ぶまいと決めました。ぜひ、各サイトをご覧いただければと思います。

2つめについては、1つめと似ていると言えば似ているのですが、付け加えると、自分が知っている人が書いていることで、ヘンに判断が甘くなったり、逆に厳しくなったり(後者のほうが多いと思います)というのが嫌なんです。融通がきかなくて、すみません。

ただ、「極力」と書いたように、やっぱり、この文章は「面白い」と言わざるを得ない、と思うこともしばしばあって、さとなおさんはもちろん、担当したことがある高井さんの文章も選んでたりします。

最後に、言い訳中の言い訳ですが、どんなに定義やらルールを語ったところで、この「面白い」は僕にとっての「面白い」です。「The 独断と偏見」以外の何物でもないわけです。これから選ぶ5本が1本もハマらない方もいると思います。そうなったら、すみません。

ただ、もしその中の1本でも「面白い!」と思った方は、引き続き、僕のツイッターなどでこのチャレンジを見守っていただければ幸いです。

何より、この「 #ウェブの面白い文章 」というハッシュタグを使って、みなさんそれぞれが面白い文章をシェアしてくれたら、ウェブメディア編集者として、とても嬉しいです。僕はもともと紙の本の編集者でしたが、今の仕事につき、「ウェブにも面白い文章がたくさんあるじゃん!」と思えたことが、今回のチャレンジの初期衝動だったりもするので。

あ、あと書き忘れたのですが、ニュースサイトから個人のブログ、noteまでなるべく幅広くチェックするようにしていますが、もちろん限度はあります。ちょっとずつ巡回先を増やしていますが…、ウェブという大海のごくごく一部しか見られてないのも、先に謝っておきます。

で、ここまでが前置き…、深夜にこれ書いてるんですけど、さすがに疲れたので、いったんおやすみなさいませ(次回からはこの説明を過去記事のリンクで省けるはずなので、多少気がラクです)。

2019年7月3日〜8月21日までの「  #ウェブの面白い文章 」5本

いやあ、選ぶの大変だった。正直、選ぶ日が違えば、違うラインナップになりそうです。ちなみに、50本選んだあとにnote書く時間をなかなか持てず、少し間があいております。今後もそこは、ゆっくりめかなと。

では、独断と偏見で選んだ5本を。

①「いまはクロアチア人」日本から消えた石井慧、波乱万丈の10年

この記事は正直、「 #1000日チャレンジ 」初日に読んだから、という思い入れがあります。一方で、初日にこの記事と出合ったからこそ、1000日続けられるかもと思ったんですよね。僕は昔柔道をやっていて、当然、オリンピックや総合デビューのときは、石井さんのことを注目してました。でも最近はちょっと「過去の人」だったんです。

そこにきて、いきなりの「いまはクロアチア人」というタイトル。「え、何、何、どうなってんの?」という驚きで、一気読みしました。書き手の方もインタビュー中に知ったことのようで、とにかくこの事実が強い、面白いなと。

②経営者の孤独/ポプラ社・千葉均「宗教を持たない私たちは『哲学の徒』として生きる」

こちらの記事はもしかしたら、「面白い」より「熱い」記事といったほうが適当かもしれません。最初、正直、業界研究的な意味で流し読みしてたのですが、千葉社長の「誰かの苦しみの上に自分たちの仕事が成り立っていることを、どうして出版社の人たちは何とも思わないんだろう」という言葉から、真剣に読み出しました。

インタビューはその人の一面を切り取るものなので、例えばポプラ社で働いている人がこの記事を読んだら、いろいろ言いたいことがあったりするのかもしれません。でも、今の時代に、こういう(やさしい)正論を堂々と口にできる経営者がいるのは面白いなと思いました。

③一時間かけてブラジャーを試着したら、黄泉の国から戦士たちが戻ってきた

こちらについては、もう僕がいまさら選ばなくても、と思うくらい読まれています。まあド直球で「面白い」ですよね。私見というか偏見というか、やっぱり「関西の文章」だと思うんです。僕は東京の田舎産まれですが、こんなふうに隙あらば(しかも多分ナチュラルに)人を笑わせようという一文を差し込んでくる文章は、東京人にはなかなか書けそうにありません。

ちなみに、うちの編集部にも岸田さんのファンが多く、こちらの記事を転載させていただいたようです(1時間かけてブラジャーを試着したら、胸に奇跡が起こった)。うちの編集部関係の記事は選ばないと書きましたが、こちらは元記事に先に出合っていたため、例外で。

④8月15日「だからこそ」戦争の記事を出してもいいのではないか。ネットメディアの現場から見えること

普通の「面白い」には当てはまりませんが、自分の今の仕事と重なることもあり、やはり読んでほしいなと。抽象的な言い方になっちゃうんですけど、ウェブメディアの仕事をし出してから「きれいなものを届けるために、多少の手の汚れは気にしない」みたいな感覚を持つようになったんです(伝わりづらいかもですが)。

8月は現代ビジネスも戦争関連記事を多く出しました。この時期だから読まれる、というのももちろん理由。でも、この時期に読まれることで、言葉をつなぐという意義もきっとあるはずなので。

⑤瀧本さんとの14年

こちらも「面白い」と形容すべきではない文章でしょうが、やはり選ばせてください。いろいろな方に読んでほしい、その一心です。

僕も面識のあるオトバンク社長の久保田さんによる、先月亡くなられた瀧本哲史さんへの餞の言葉。こういう文章って、一生に何度も書けるものではない。「書かないで済むのなら、済ませたい」文章でしょうが、お二人の14年が凝縮されていて、名文だと思いました。

ここ数年、自分とほぼ年齢が変わらない人が何人か亡くなりました。そのたび、自分は何ができたのかを考えてしまうのですが、一つ、少なくともできるのは、全力でその人との思い出を記録する、なのかなと思います。せっかくなので、自分が書いた、ある人との思い出もここに。

以上の5本のうち、1本でも読みたいなと思えるものがあれば幸いです。

なお、最後に自分が普段「 #1000日チャレンジ 」を記録しているスプレッドシートもリンクしておきます。

大体、深夜に更新しているので、日付がズレている日が多いですが、ご容赦を。1000日やるからにはあと19回この「まとめ」をするのですが、その間、少しでも「 #ウェブの面白い文章 」が話題になればと思っております。

*2019/10/11追記

2回め(次の50本)書きました!

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