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今年の、いちばん。2015年/転がって、ぶつかって、それでも前に進んできた。

2015年、最後の日。「今週の、いちばん」を1年分ざざっと見返し、「今年の、いちばん。」な話を書きたいと思います。

年末になると「今年の漢字」」なるものが発表されますが(今年は「安」だとか)、僕にとっては「転」の1年でした。
1年で2回の転職を経験。個人事業主としての活動もスタートした、転機の年。自分の運命が、まるで転がるようにどんどん変化していって。

3月に、最後の担当作を作って、日本実業出版社を退職しました。
最後の本のテーマに「好きを仕事にすること」を選んだのは、僕のエゴで、そのあとの仕事人生のマニフェストがわりのつもりでした。

けれど、4月から所属したBOLBOPでの半年間は、なかなかヘビーでした。
「物はなくても、夢だけはある。」会社
で、自分自身は何を夢見てどう形にするのか、考えも足りなかったし、経験も能力も足りなかった。主張も、コミュニケーションも、きっと足りなかった。
他にも、いろいろ足りないものがあって。

一方で、自分はいかに出版業界や出版社の仕組みに助けられて仕事をしてきたかわかりました。
多くの人はその仕組みが弱ってきたことについてネガティブにとらえているでしょうが、そもそも「仕組み」自体をつくらないといけないベンチャーの世界では、それがあるということが、どれだけありがたいか。
まずは、「編集者」として、もう一度地力をつけること。「仕組みの外」でも稼ぐ力を少しずつでもつけること。
そんな目標を胸に、僕は出版業界に軸足を戻しました。

そして、個人事業主として縁ができたサンクチュアリ出版に、10月に入社しました。
僕はまだこの会社のことをよく知りません。でも「どうせやるなら、面白くやる。」という空気だけはひしひし感じています。
仕事が忙しくなると、ときに面白がる余裕もなくなったりしがちですが、サンクチュアリの社員でいる以上、この点だけは守りたいなと。
ゆるくて、ポジティブで、(流行に対しては)へそまがりで、全力でバカをやる会社。
日本実業とは正反対の会社ですが、むしろ、その両極を経験しているのが、僕の今後の強みになるんじゃないかと予感しています。

この1年、転がって、転がって、あちらこちらぶつかって、たくさん傷ついて(あるいは誰かを傷つけて)、生まれてからいちばん回り道をした年だったかもしれません。
けれど、その余分な道中で、他の編集者が見なかっただろうものをたくさん見られたし、聞かなかっただろう言葉をたくさん聞けたと思います。

もしも人生が「原稿」のようなものだとしたら、ずっと同じ会社で同じ仕事をしているほうが、スムーズには伝わるでしょう。
でも、ときにテーマとは無関係の「コラム」のほうが読後の印象に残るように、僕が今年かさねた雑多な経験は、滝啓輔という人間をもっと味わい深くしてくれるはずです。
転がって、ぶつかって、それでも前に進んできた。
2015年は、ほんとうに、忘れがたい1年でした。

来年は、今年の経験を使い倒すくらい生かせますように。そしてみなさん、よいお年を。

*「今週の、いちばん。」は、その1週間で僕がいちばん、心が動かされたことをふりかえる連載です今回は年末の特別編です

*2015年分を欠かさず読みたい方は、以下のマガジンを。2014年分はこちらのリンクで一気読みを。2016年に更新したら、またマガジンを作ります

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