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1.セイ君
セイ君は活発な男の子。
走るのが大好き。裸足になっていつも走り回ってます。
セイ君が生まれた所は沖縄県にある小さな島。毎日が常夏です。ギラギラな太陽が肌をジリジリ焦がしてきます。
でもそんなのセイ君には関係ありません。迸る汗を無視してセイ君は友達と思い切り遊びます。そんなセイ君の肌は日に焼けて真っ黒でした。
セイ君は小学6年生になって転校をします。島の中でも一番大きな学校です。
教室に30人もの生徒がいることにまず驚きます。あまりの人の多さにセイ君はとっても緊張しました。
それもそうです。
以前、セイ君がいた学校はとっても小さな学校でした。
全校生徒は28名。同級生はセイ君を含めて6名。教室は広々としていました。
それが今度の学校になると当たり前だと思っていた光景はガラリと変わります。前の学校の全校生徒より多い人数の生徒が教室にギチギチに詰まっているわけです。そりゃあ緊張します。
それにセイ君、元々がシャイな性格です。人前がとても苦手です。前の学校でも同級生が5名だけにも関わらず前に立つとモジモジしてたぐらいです。セイ君は顔に汗をダラダラさせながら緊張の自己紹介をしました。
転校したセイ君、シャイな性格なのにも関わらず幸運にも友達はすぐにできました。変わらず迸る汗を無視して思いっきり遊びます。汗の事なんて気にしてません。むしろ、爽やかだなんて女子からは言われてます。
転校生のセイ君、女子から人気がありました。
実はセイ君、なかなかの美形だったのです。美形の男子が転校してくるわけですから、それはそれは目立ちます。その上、いつも走ってばかりいたセイ君は運動神経もなかなかのものです。体育の授業では目立っていました。さらに勉強もできました。テストは大体が100点を取ります。
「クラスのカッコイイ男ランキング」では1位になります。
学級委員長に選ばれます。
陸上大会、駅伝大会では学校代表として選ばれます。
初めて入ったバスケ部では未経験ながらスタートメンバーにも選出されます。
『パーフェクトボーイ』略して『パボ』
これがセイ君のあだ名でした。
そんな華やかな小学校生活をセイ君は送っていきました。
中学に上がったセイ君。
恐い不良の先輩にびくびくしながらも、小学校の時と変わらずわんぱくな友達と思いっきり遊びます。
部活は転々とします。最初は野球部でしたが先輩のいびりが嫌でバスケットボール部に移ります。でも、ここでも先輩のいびりが嫌で辞めてしまいます。結局は先輩のいなくなったタイミングでハンドボール部に所属する事になります。
成績は変わらず優秀でした。
中2の模試では学年で3位になる程です。
そんなセイ君、恋愛のチャンスが度々と訪れてきます。
女子からの告白です。
放課後や林間学校と何度か告白される機会に巡り合います。
でも思春期の遅いセイ君、中味は小学生のままです。好きっていう感情が分かりません。
さらにセイ君、女子とは全く喋れませんでした。女子と喋るとなると何を話していいのかさっぱりです。いつも隣にいるのは慣れ親しんだ男友達ばかりです。女子には近づこうとすらしませんでした。
女子といるより男といる方が楽しいや。
そんな考えに至ります。結局セイ君はせっかくの恋愛のチャンスを断っていきます。
そうして中学3年になった頃、ようやくセイ君にも思春期がやってきます。
周りの目をかなり気にするようになりました。
家族で外食に出掛けるのも気恥ずかしくなり、着ている服を意識するようになり、クラスのヒエラルキーも意識するようになります。悪ぶって煙草なんかに手を出したりもします。
でもシャイな性格は相変わらずです。思春期も相まってさらに引っ込み思案になっていきます。
そんなセイ君に、ある一人のクラスメイトが近寄ってきます。
名前はヨシ君。
やんちゃで人を笑わすのが大好きです。騒いでばかりのヨシ君はクラスで一番目立つ存在です。
そのヨシ君がセイ君にした何気ない言動。
それが、後のセイ君の長きに渡るコンプレックスへの旅路へと案内させてくれるのです。
つづき
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