校正:固有名詞

校正者をちょっとやりたいなと思っている海老郎です。こんにちは、こんばんは。

校正についての記事シリーズ、今回は「固有名詞」について取り上げます。特にフィクションの小説についてです。

ファンタジー小説では多くの固有名詞がカタカナになっているので、僕はカタカナの単語を抜き出してリストを作り登場回数をカウントしつつ本文の記述を確認したりしています。一般的なカタカナの表記ゆれも一緒に確認します。一太郎やワードにも表記ゆれチェックはついていますので活用するといいんじゃないでしょうか。

固有名詞の誤字、ミスにはいくつかパターンがあります。今回はそれをざっと紹介します。

1. 単純な入力ミス

キーボードのIMEの入力間違いです。その単語が一回限りで出てくる場合は要注意です。似た名称が他の場所で出てきていないか探すといいです。しかし「指運」といって手癖になっていて同じように複数回間違えることもあるので2回以上出でくる単語でも確認は必要になります。

2. 記憶違い

例えば「アリアル」が「アレアル」になってしまっている場合です。特に間隔を開けて再登場する場合に名前が記憶違いでそれ以降ずっと違うということが、往々にして起こります。問題なのは変化して後の方が登場回数が多かったりして校正者には「どちらが正しいか見分けがつかない」ということが頻繁に起きます。

3. 取り違い

厄介なのが、複数の人物名を取り違えて、Aさんが既存のBさんになってしまっている時です。単純な固有名詞の検索確認では問題なく読めるのでスルーされがちです。しっかり文意を含む通読確認などが必要です。

4. 書く途中で名称を変更したときの修正漏れ

登場人物名、地名などなんとなく書いてから変更したくなることがよくあります。そして変更、修正するのですが、よく修正漏れがある人がいます。エディタの置換、検索機能を活用しましょう。

5. 似た文字によるミス

「べドリル」の「ベ」がひらがな、「涼輔」と「凉輔」の混在、「ニケ」が「二ケ」(ニが漢数字)、「竜馬」と「龍馬」の混在と、字が似ていたり新旧の字形が混ざっていたりというパターンもそれなりにあります。

濁点、半濁点が混ざったりしているパターンもよく見られます。

6. 表記ゆれ

「バンパイア」「バンパイヤ」「ヴァンパイア」「ヴァンパイヤ」のように元々表記ゆれがあり、固有名詞の表記も混在しているようなパターンもあります。

7. 実在の固有名詞の場合の表記が違う

ファンタジー小説ではあまり関係ないかもしれません。新聞、雑誌、エッセイ、現代ものの小説など、5. に似ていますが「大阪」と「大坂」、「太郎」と「太朗」など実在の人物名の場合は細かい表記の差があります。「滝沢」「滝澤」「瀧沢」「瀧澤」といった具合です。新聞では人物名であっても「滝沢」に統一するルールなどもあり、確認は大変です。地名、施設名なども細かい違いがあります。「ロープウェイ」「ロープウエイ」「ロープウェー」みたいに表記ゆれもあり、施設によってどの表記が正しいか違います。

日本語の固有名詞はチェックが大変です。しかし強力な味方もいます。一太郎です。一太郎の校正機能では、固有名詞は未登録単語としてピックアップされます。必要な単語は登録して使うことをある程度前提にしているようです。そうすると変な単語は発見しやすくなります。もちろん完璧とは行きませんがないのとあるのとではだいぶ違うと思います。

一太郎の、ステマみたいになっていますが、筆者は一太郎2019の体験版を試用中です。一太郎2020が発売されたので購入を検討中というところです。

校正の道は一歩間違うと沼が深く、とても厳しいです。これはこれで楽しいので、頑張っていきたいです。

#校正 #エッセイ #誤字

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