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短編小説:男女逆転世界

俺はある日、起きたら違う世界へ来ていた。
異世界転移なのか、精神だけ乗り移ったのか。
それとも世界が一晩のうちに変化してしまったのか。
とにかく、元の世界とは明らかに違うこの世界だ。

といっても生活に困ることは何もない。

ただあることが男女逆転しているのだ。
男女逆転というとなにやらエッチいことを思う人もいるようだけど、そういう意味ではない。

朝起きて、朝ご飯を食べて、高校にいく。
自転車通学だ。
なるほど、足がスースーして、なんだか変な感じがする。

学校に着くと、男女の生徒たちがすでに来ていた。
男子はセーラー服にミニスカート。
女子の上はセーラー服だけど下は水兵さんみたいなズボンだ。

いやはや、今は夏で涼しくてよいな。
逆に冬は寒そうだ。
男子はミニスカートにするために、スネ毛を剃ってツルツルにするのに余念がない。

そうなのだ。男子がスカート、女子がズボン、そんな異世界だった。
単純に、ただそれだけが違う。

すごく不思議だけど、他には特に違いがない。

異世界転移、最初の日。制服を出そうとして、ハンガーに掛かっていたのがスカートだったので、びっくりした。
家の中で、父親もスーツのスカートを履いていたので、事情を察した。
すぐには受け入られなかったけど、我慢してスカートを履いて学校に行ったのだ。
最初は、すごく恥ずかしく感じた。

なんで、こんな変な世界になったのか。

しかしこういう世界だと思えば、別に変でも、なんでもないような気もしてくる。
そう、別にイギリスの伝統衣装と一緒だ。
男子がスカート、女子がズボン。

実際、男女とも、どちらを履いてもいい学校が台湾にできたらしい。

こうして、世界でただ俺だけ、変な感じに思って、今日も、学校へスカートを履いていく。

この学校でも、男女平等で男子でもズボンが普通になる、その日まで。

しかし世間のほとんどは、男子がスカートが普通、という常識なので、見込みはあまりない。

なに、ちょっと恥ずかしいだけだ。ふふん。

#短編小説 #短編 #小説 #男女逆転

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