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【進撃の巨人】29巻を読み返した感想

進撃の巨人アニメファイナルシーズンpart2が始まるということで、進撃の巨人29巻「断罪」から読み返した感想メモです。

最終話までのネタバレがあるので、アニメ派の人はご注意ください


進撃の巨人29巻117話「断罪」

ライナーのエレンに対する発言「これ以上誰も苦しめなくていい、これ以上苦しまなくていい」は彼の気持ちでもある。

エレンを苦しみから救うために「終わりにしてあげよう」としていた。それはある意味自分も望むことでもあることが、過去のエレンとの対話からわかる。

エレンとライナーはお互いにわかり合う、通じあう。

マーレ奇襲でライナーが来たときに、エレンが受けて立つのもその一端。イェレナの意見を無視したエレンの行動に合理的・作戦的な理由はない。ライナーの気持ちを組んで、正面から向かっていったんだろうな(ライナーがこの場では死なないことも未来の記憶で見ていた安心もあったのかもしれないけど)

タイトルの断罪は、ポルコの攻撃的な「償わせてやる」がまず1つ。そして、ライナーからエレンに向けての、個人的な気持ちのこもったもの。


進撃の巨人29巻118話「騙し討ち」

サシャがいなくなってから、コニーの「ストレートな物言い」は読者の代弁として、必要不可欠。アルミン・ジャンは冷静だし、ミカサやリヴァイは寡黙。オニャンコポンは正しいポジション。
だからこそ、コニーが素直に、感情的に、当事者として裏切りや環境変化に向き合う存在。彼の抱える苦しさは見てて辛いけど、起きている流れの一側面として絶対に必要なものだ。


オニャンコポンの「子供は未来だ」は、強めに描かれていないけど、進撃の揺るがなかったテーマの一つ。サシャパパの森発言や、最後の子供リレー。ヒストリアの子供が寿命付きじゃないことや、安楽死計画の否定も。
世代継承の呪いはグリシャとジークの話で描かれていて、世代継承の祝ぎは物語の余韻として残っている。


ジャンの「エレンを妬んだ、かっこよかったから」「俺はまだやつに死んでほしくねぇ」発言も良い。本人に面と向かってはいえないけど、ずっと思ってきたこと。心の深いところで思っていたことを、この土壇場、エレンを失うかどうかという場面で、言葉にできたのだろう。こういうところがジャンというキャラクターの素敵なところ。


そしてこの回の白眉はなんといっても、ガビの変化。もうこのあたりの描写は本当にスゴい。詳しく語りたい。

ガビが無意識に敵であるナイルを信じるところがまず良い。コルトの「悪魔」発言に、パラディ島民を悪魔と決めつけた自分の影を見る。その思考の先に待つ悲劇を体験として知っているから、コルトを無意識に止める。心は行動に先んじる。通りかかったサシャパパの言葉で自覚の涙。

裏でも陰口を叩かず本心でガビたちを心配…というか今まで通り接しようとしてくれるサシャパパも聖人だった。

カヤの「ガビを許せない」発言は、ガビもパラディ島民に持っていた感情だから否定できないし、何より気持ちがわかってしまう。歪んでいた見方をしたのも、人を殺したのも自分。悪魔なんていないという気づき。

「ずっと同じことを繰り返す」という言葉も象徴的だ。ライナーとガビ、そして暴力と差別の歴史。進撃の巨人という世界全体も最終巻を見るとそうなんじゃないか、と思ってしまう。


自分で責任を受け止める姿勢。ガビは私が間違えていたと気づく。世界を呪わない。ファルコもあの日見たライナーのように「おれのせいで、みんなが死んだ」と責任を背負う。大きな流れのせいにしない。
そんな彼らだからこそ、他者を責めず、慈しむ関係を築けるのだ。

「長生きしてほしい」というのは愛の発露なんだな。エレンが104期生に語った言葉。ミカサに最後に言った言葉。ファルコがガビに告白するときの言葉。


特に好きなのはガビがファルコの腕章を外すシーン。

マーレの腕章に縛られていたガビの解放。
私はそれでもそばにいるよ、関係ないよ、という表現。
ファルコがしてくれたように、相手のことを思って出た衝動的な行動。

なんとかするから、という無根拠だけど愛に満ちたものなんだな。


やっぱり進撃の巨人はマーレ編あたりから、ドラマ性がグッと深くなり、過去の描写と相まって、ページに込められた情報量がとてつもなく多くなりますね。

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