感覚の鋭い友人の話。

 こんばんは、多喜です。
 今日は、以前配信でお話をしたことがある僕の友人、「しょうくん」のことを書きたいと思います。
 皆さんの周りに、「不思議だなあ」と思う友人や知人はいますか?僕は変な友人に恵まれる機会が多く、特にその中でも未だに交友のある彼の話を書きたいと思います。もし本人がこの記事を偶然にも見かけてしまったときのためにあらかじめ謝っておきます。しょうくん、わりぃ。

 その友人「しょうくん」と僕は、中学高校が同じで半ば腐れ縁のような関係を持っている友人です。しょうくんといえば、何よりも感覚的なことが非常に優れていて、いたずらで自転車のサドルを数ミリ下げただけでも必ず気が付くし、机の中の教科書を入れ替えれも気が付く。そんな触感(?)的な感覚が非常に優れていた人物でした。
 いつも気が付くかどうかで微妙なラインを攻めたいたずらをしては、ほぼ確実に気が付かれる毎日でした。ただ一つ、自信をもって僕が勝ったといえるいたずらとしては、しょうくんのお姉ちゃんとしょうくんの制服のバッヂを入れ替えたことに気が付かれなかった、ということ。ちなみにどっちも気が付いてないし、ワクワクしながら待っている中、僕は飽きてネタバラシなどをせずに過ごしたので、実質あれはドローだったのかなと今になって思います。

 そんなしょうくんと僕は変わらず高校を卒業した後も付き合いがあり、よくほかの同級生も交えて遊ぶような仲を続けていました。
 そんな中、免許を取った後の始めて訪れた夏、僕たちは深夜という時間も相まって、誰から始まったわけでもなく「心霊スポットにいこう!」という流れになりました。(心霊スポットというワードが出ても全く怖い話にはなりません。)
 なんだかんだと各自のスマホで心霊スポットを調べ、地元の近くにある心霊スポットがあることに気が付き、拙い運転で車を走らせ無我夢中で向かいます。道中、「ほんとうに出たらどうするよ?」と僕がしょうくんに言葉をかけると、「まずは目つぶしした後に、すぐその辺に落ちてる石で攻撃するかな。」と、あまりにも実践的な戦闘方法が返ってきたことに笑った記憶があります。若い男たちの胆力で「霊を倒す!」という、半ば狂気じみた雰囲気をまとった汗臭い車が、あの時国道を走り抜けていたと思うと、逆に怖さすら今にして思えば感じてきますね。

 そして目的地の心霊スポット、インターネットでは〇〇邸と書かれた廃墟に着き、男たちは意気揚々と車を降り、心霊スポットに立ち入っていきます。割と人の入った形跡が見受けられ、足跡の付き方から見るに、なんなら僕たちと入れ違いで人が来ていたのかな、と僕は下を見ながら先頭を進んでいました。奥にあった和室に入り周りを見渡していると、急に背後から「うわあ!なんか、なんか肩が重い!!」というしょうくんの叫びが聞こえてきました。
 その瞬間、僕を含めほかの友人も顔を青ざめさせながらその場に立ち止まりました。そして、恐る恐るしょうくんの方に振り替えると僕は衝撃の光景を目の当たりにします。
 そう、乗っているのです。
 
 しょうくんの肩に蜘蛛の糸で絡まり合ったこぶし大の埃が。
 その瞬間、僕たちは笑いを堪えながら俯き、ほかの友人たちと目を合わせ示し合いをしました。さすが感覚の鋭い男。と全員が目の奥でほくそえんでるのがわかります。
 僕はしょうくんを諭すように「しょうくん、落ち着いて。俺に任せれば大丈夫。」と声をかけながら、あたかもそこに何かがいるかのようにしょうくんの右肩に目を向けながら近寄っていきます。しょうくんは無言で何度か首を小さく縦に振ります。
 「しょうくん、俺小さいころからさ、結構そういうのと付き合いあるから俺に任せてくれればいいから。」と、笑いを堪えながらしょうくんの右肩に手を伸ばします。そして、そっと埃を手に握ると、今落ちてきたんだろうなという戸棚に向かって埃を投げ返しました。そして「自分の居場所に帰れ!」と叫び、笑いを堪えきれなくなった僕はすぐに走り出し、車に戻りました。しょうくん以外の全員は軽めのジョギングで戻ってきていましたが、しょうくんだけは必死。目を真っ赤にし、今にも泣きだしそうな顔です。
 なので僕たちは、何もそのあと言葉を発さず、集合場所だったコンビニへ帰っていき、その後も特に心霊スポットで起きた出来事には触れずにいたので、今でもしょうくんの中で僕は霊能力者として生きていると思います。

 と、そんなしょうくんですが、今でも普通に付き合いがあり夜通し遊んだりしている関係なのですが、僕が自分の車でしょうくんを家まで迎えに行き、しょうくんはお酒を飲まないので、僕が出先でお酒を飲んで帰りはしょうくんが運転し、しょうくんの家に帰って寝て朝帰る。というのがよくある流れでした。
 去年の夏、僕は車をハイエースからエルグランドに乗り換えて、車を変えたことを何も言わずしょうくんを迎えに行きました。
 するとしょうくんは「ういー、おつかれ。」と何も言わずに乗り込んでくるのです。最初は「なるほど、後からツッコんでくる感じだな。」と思いスルーしていました。そしてなんだかんだと時間が過ぎ、帰り道にしょうくんが僕の車の運転席に何も言わずに乗り込むのです。あの敏感男が、何も言わずに新車の運転席に。「フリが長いなぁ。」と思いながらしょうくんを見ていましたが、一向に何も言ってくる気配がないのです。
 そしてしばらく車を走らせたあと、しょうくんが頭に?を浮かべながら小刻みにハンドルを切っているのです。どうしたんだろうと思いしょうくんを見ていると、ゆっくりとこっちを向き「タイヤ変えた?」と。
 
 その次の瞬間、社内には無意識で僕が繰り出したビンタの音が響き渡りました。

 というお話です。
 今日は見てくださりありがとうございました。少しずつ活字の書き方を思い出していこうと思いますので、僕の駄文にぜひ良ければ感想等頂けましたらうれしいです。

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