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【DIT】結局DITとはなんなのか -2022.01-

はじめに


虎徹のタキです。

CMやMV、映画・ドラマの撮影現場の技術スタッフの一員である”DIT”。
僕はこのアルファベット3文字の謎の職業をだいたい10年くらいやっています。

DITとは一体なんなのでしょうか。

本項では、

- これからDITもしくは映像業界を目指す方
- DITってうっすら聞いたことあるけど結局なんだっけと思っておられる映像業界関係者
- すでにDITとして仕事をしているけどタキはどんな気持ちでどんな事やっているのという同業者
- 弊社社員

に対して、執筆時点での自分なりのDIT観を書いてみようとおもいます。
ここに書かれている事がDITの全てだとは思いませんし、ここに書かれている事が僕の仕事の全てではありません。

DITの仕事について詳細に書かれた読み物は、書籍にもネット上にもあまり多くはありません。これを読んだ方が、
「DITってよく知らなかったけどこんな仕事してたんだな。」
とか、
「いろんな可能性があるのでちょっと興味あるかも。」
とか思ってくれたらいいなとおもいます。


DITの成り立ち

DITとは、Digital Imaging Technician(デジタルイメージングテクニシャン)の略です。テクニシャン、て。

Wikipediaによると、

With the progression of the digitization ever more tasks concerning data management emerged: the position of the Digital Imaging Technician was introduced.
 Wikipedia  - D.I.T https://en.wikipedia.org/wiki/Digital_imaging_technician

撮影技術の、フィルムもしくは磁気テープからのデジタルデータ化に伴って、それらを管理するポジションが必要になった、というところです。

DITを担当するスタッフは、出自がVE(ビデオエンジニア)であったり、ポスプロやフィルムラボの技術者である事が多いかとおもいます。
2015年あたりからはDITのアシスタントからDITになられた生え抜きの方もいます。
また一部カメラアシスタントやカメラマンから転向されたり、兼務していらっしゃる方もおられます。

出自や下積みがどうであれ、他のスタッフにとって良い仕事ができればいいと思いますが、これからDITを目指す方は撮影助手のサードとライブなどのCAは経験しておいた方が現場での説得力があるかなと思います。
また編集やグレーディングの基礎知識は必須になります。

DITベース


DITの仕事

以前ソニーさんに取材していただいたこちらの記事にDITの仕事内容と自分なりのアティテュードは書いてあります。重複する部分は割愛したいとおもいますが、
- クオリティマネージメント
- データマネージメント
- カラーマネージメント
- 撮影現場インフラマネージメント
の4つのマネージメントであるということを念頭においてください。

今回はより具体的な仕事内容(しつこいようですが個人の見解によるものです)を列挙していきます。


1. データ管理

撮影メディアからHDD/SSDへのデータバックアップとオフライン編集用メディアへのトランスコード(リサイズ・コーデック変換)作業を行います。
DITの最も重要で、重い責務がのしかかる作業です。

自分の場合は、社内保管用のRAID 2式と納品物たるHDD or SSD を2式の合計4箇所に、

01_Original_Source
 → 撮影メディアからベリファイコピーされた撮影素材
02_Offline_Source
 → オフライン用素材, 現場フレームラインが1920*1080になるようにリサイズされたProRes422または422LT
03_LUT
 
→ モニタリングおよびトランスコードに使用した色変換データ
04_Report
 
→ 撮影素材全体の容量や総尺, 各クリップごとの設定(フレームレートやタイムコードなど)をリスト化したPDF
05_H264
 
→ カメラメタデータ(クリップに書き込まれたカメラ設定やレンズデータ)をBurn-in(テキストで映像の端に表示させること)したH264データ, 制作担当の方やVFXチームが視覚的にメタデータをチェックする為に生成
06_ALE
 
→ カメラメタデータが記述されたテキストデータ

を上記のようにフォルダ分けして格納します。
安全なデータ管理は当然のこと、ポスプロでのストレスができるだけ少なくする事が求められます。

僕の場合は、
Pomfort Silverstack XT
Assimilate SCRATCH
Davinci Resolve Studio
などを使用しています。

オフライン用に生成する素材に関しては、コーデックやサイズを事前に相談しておく事が望ましいです。
昨今では撮影素材が16:9ではない事が多い為、AVID = DNxHDという常識ももはや古いとおもいます。ProResかDNxHRのどちらかをオフラインエディターの方と相談することになります。

撮影データを管理する上で、
○ タイムコード / リール名
○ オフライン用データの音声トラック
の管理も重要になります。
タイムコードとリール名は各素材がオフライン→グレーディング→オンライン→MAとポスプロ作業を進んでいく上で不可欠なものになります。
複数台のカメラおよびオーディオレコーダーの間でタイムコードを同期すること、素材変換時にリール名を設定すること、オフライン編集に使用するオーディオデータをどこから持ってくるか(カメラに音戻しされていない場合, 録音部からWAVをもらって貼るとか)なども、撮影データ管理者としての仕事になります。

また、カメラ(特に安価なカメラやコンスーマ機材)によっては撮影素材自体のファイル名をリネームしておかないとスムーズな編集フローが組めない場合もあります。その点で、EDLやXMLといった編集データに関する知識も必要になってきます。

Assimilate SCRATCH


2. オンセットグレーディング/LUTの適用

撮影現場でカメラから出力された映像に対して、リアルタイムにコントラストや色味を調整してモニターに反映させるシステムや作業をオンセットグレーディング、または現場カラコレといいます。
これにはLogと呼ばれる低コントラスト・低彩度のカメラ出力を見た目に近い見え方に戻すカラーマネージメント的な役割と、現場で色をつくるクリエイティブな役割があります。

DITといえば「現場でカラコレとかしてくれる人だよね。」という印象は多くの人にあるかと思います。

前述の記事にも書いて頂いた通り、僕はそれがマストだとは思っていません。DP(日本でDPに会ったことは殆どないけど)・カメラマンや照明技師によっては多くの人が“709”と呼んでいるカメラ内のニュートラルなルックで撮影現場を進めたいという方は結構います。

現場グレーディングは仕上がりのイメージを共有することに加え、撮影に臨むスタッフの気分を高めるのに役立ちます。一方でニュートラルから極端に逸脱したコントラストや色を現場であてることは、撮影素材の破綻やスタッフの誤解を招く危険性があります。
具体的には、Rec709のようなガンマ/カラースペースに対して大幅な明るさの変更やコントラスト、色の変更は避けるべきだと考えます。

監督やカメラマン・照明技師とのイメージの共有、場合によってはセットデザイナーやスタイリストなどの色に関係する他部署の混乱を招かないような配慮が必要です。

それと同時に「こんなトーンはどう?かっこいいでしょ?ほら!」というクリエイティブなスキルも持ち合わせている事が重要です。また、セットデザイナーやスタイリストが狙った壁や衣装の色がカメラを通すと思ったものにならない、といった場合のアシストも必要です。
いわれた通りLUTを適用するだけではDITとはいえないでしょう。

自分の場合は、
○ハードウェア → FSI BoxIOIS-mini
○ソフトウェア → Pomfort Livegrade Studio
を使用しています。

Livegrade Studio


3. モニタリング環境のセットアップ

撮影現場のモニタリング環境を整備し、各モニターにどのような映像を送出するかをルーティング(配線)することもDITの仕事です。

事前に
○ カメラ出力の伝送方法
○ その撮影に必要なモニターの台数
○ モニターの設置方法や電源の取り方
○ 配線の方法や距離
○ 音声のモニタリングの方法

を確認・把握し、撮影現場では、
○ 各モニターの色や明るさの調整
○ 各モニターに必要なソースを送出できるようなシステムの構築
が必要になります。

例えば、”監督がベースでプレイバックチェックを行っている際に、カメラサイドでは次のアングルを決める為にカメラスルーを出して欲しい”とか”他の部屋でモニタリングしているクライアント用のモニターにも現場編集の画と音を送出したい”というニーズに柔軟に対応できるシステムを用意しておく事が求められます。

また送出先のレイテンシー(遅延)管理も重要です。
昨今のカメラはカメラ内部処理で遅延が発生していますが、本番中のモニターのレイテンシーは最小にすることが必須です。

撮影現場での撮影機材周りの電源管理もDITの仕事の一部です。
直接バッテリー運用できる機材は限られるので、現場の電源事情や各機材の消費電力と仕様を把握します。

ロケやライブ案件ではケーブルの敷設も事前に打ち合わせておく必要があります。コロナ禍で密を避ける為に、モニターが増えたり、遠くなったりしているので、状況によっては光ファイバーでの配線やリモートチェックを組み合わせた仕組みが必要になることもあります。

通常、僕の現場では、
○ DIT用マスターモニターBVM-F170 + 波形モニターLV5330
○ 17"〜25"モニター 5〜10式
→ 監督・カメラマン・照明技師・クライアント・スタッフ・出演者にそれぞれ用意
○ iPad mini  3式
→ 助監督・美術部が使用
○ 音声チェック用スピーカー および イヤモニ
を設置しています。

もちろん仕事の規模や撮影場所の条件に応じて、コーディネートします。

また最近では
○ フォーカスチェック用4Kモニタリングシステム
の運用を開始しました。
これに関してはまた別の記事でご紹介できればと思います。

4. プレイバックシステムの運用

多くのCM/MVなどの撮影では、撮影したものを即座に再生チェックする為に、カメラ内部のマスターデータとは別に、③でカメラから出力した映像(と音声)信号を収録機器でRECし、再生できるような機材を用意します。

過去にフィルム撮影のファインダーから分光して電気信号化する撮像管にビジコンを使用したことから、これらは慣例的に“ビジコン”と呼ばれています。

以前はビジコンの収録とプレイバックは制作部の仕事だったのですが、現在ではDITの仕事になっています。DITによってはそこは分業すべきという考え方もあるようです。

僕は撮影内容を理解すること、と現場のスピードやリズムを作る上で、DITが収録とプレイバックを担当する事が最適であると考えています。でも「勝手にプレイバックしなはれや」と思う日もあります。勝手なものです。

僕の使用機材は通常
○ QTAKE HD
ですが、コンパクトな撮影スタイルの場合にはモニター一体型のレコーダーを使用することもあります。

ビジコン収録を担当する場合、カットやテイクの把握すること、テイク間の変更点を理解することが求められます。【アングルチェック時のこのカットを観たい】というオーダーに対して、それってどれのことかな?なんて探し始めるスピード感では論外です。

QTAKE HD


5. 現場合成/システム機器の運用

3,4と重複する部分もありますが、撮影現場での
○ クロマキー合成
○ タイトルや商品パッケージ合成
○ マルチカメラの分割画面生成
○ 縦長や画面分割などのフレームガイド合成
○ ライティングや繋がりチェックの2画面生成
○ 同ポジ出しのミックス合成
などのオペレートを行います。

これらを実現するには、スイッチャーやマルチビューアーといった機器を予めシステムに組み込んでおく必要があります。
また3,4を効率よく運用する為に、SDIソース(映像信号)をルーティングする為のマトリックススイッチャーも配備することになるかと思います。

モーションコントロールカメラでの撮影時にはMoCoオペレーターと協力して、タイムコードや音声信号での同期システムを構築する事も求められます。

 Blackmagic ATEM TelevisionStudio Pro 4K
○ Blackmagic Studio Videohub 16x32
○ Decimator DMON-QUAD
などを使って上記を実現しています。

また機器によっては信号の種類が違うことで組み合わせられない機材構成があったりもします。ビデオシステム機器の扱いはVE時代の知識が役に立ちます。

6. QC(クオリティチェック)

DITはモニターや測定機器を使用して、
○ 撮影素材のノイズ, フリッカー
○ 露出, ライティングのつながり
○ フォーカス
○ バレもの / 映り / マイクシャドーなどのチェック
○ 美術や芝居の繋がり
○ 特機のスピードや揺れ
○ 合成の可否(人物と合成幕の関係, ターゲットの被りなど)
○ カメラ・ビジコン送り音声回線のレベル等のチェック
をチェックします。

上記の各項目はそれぞれに担当者がいるので、全てがDITの責任に依存する訳ではありませんが、ダブルチェック的に冷静にモニターを監視する事が大切です。

7. リモートプレビュー

2020年以降、感染症対策の一環として遠隔地でのインターネット越しのモニターチェックが多くなりました。
○ 低遅延ストリーミング
○ テレビ会議ソフトウェア
○ QTAKEを使ったリモートプレビュー
などの方法があります。

弊社では自社開発のストリーミングサービスを使用していますが、専門の業者にお願いする方やDITの範疇外と考える方もいるようです。
コロナ禍ももう2年になるので、個人的には流石にDITの必須スキルだと考えます。

僕の使用機材は、
○ Windows PC + OBS Studio
○ Teradek ハードウェアエンコーダー
です。
何を使うか、というより配信サービスやインターネット回線をどう確保するか、どのように途切れなく円滑に配信するかといったノウハウが重要になります。

kotetsu.live リモートプレビュー画面


8. 現場編集・合成(NLE) / 合成手法の提言

CMの撮影に関して、多くの場合にオフラインエディターが現場に参加して尺やアングルの繋がりを確認してくれます。
僕の現場では監督から現場オフラインも兼務するようオーダーがある場合、オフラインエディターが参加しない場合、もしくは自分が作品を理解する為に実際にタイムラインに並べてみる必要がある場合に編集を行なっています。
例えばTVCMの場合、カット1の最初とラストカットの最後の0.5秒間は無音状態になります。これをノンモンといいます。カメラワークがあるカット1では、出演者がセリフを言い始めるまでの0.5秒以上の尺をカメラが先行して動いている必要があります。DITはそれをチェックする必要があります。

リアルタイムにチェックできない高度な合成が必要な場合は、ビジコン収録データをNLE(ノンリニア編集ソフト)でキーイング・マスク処理やトラッキングを行い、合成のチェックを行います。

○ Adobe Premiere Pro / AfterEffects
○ Assimilate SCRATCH
などを使用します。

撮影にオンラインエディター・CGチーム・VFXチームが参加している場合は、各担当者と意見交換しながら手法や必要な素材を確認しながら撮影を進めます。この時にただ受動的に指示を受けるだけではなく、合成作業が行われるフローを具体的にイメージしながら対応する事が重要です。
ポスプロ担当者が撮影に参加できない場合には、DITはより全面的なテテクニカルディレクションを行う必要があります。

この時僕が意識していることは、
”自分だったらどう合成するか”
ということと、
”違う手法を選択するとしたら何があるか”
ということです。
例えばクロマキー合成の場合、人物の影を”活かす”のか”作る”のかで、撮影素材は変わってきます。自分なりのプライオリティを持たせつつ、コンポジターが2つ以上の手法から選べるように、限られた撮影時間の中で多くの選択肢をポスプロに渡す事が重要です。

9. デイリー / プロキシデータの共有

アングルチェックの収録データや長期案件のデイリー(各撮影日ごとのチェック用データ)を生成し、必要なスタッフに共有します。
カメラマンが前日のチェック時に決めたアングルを撮影部が再現したり、照明部が画に写る範囲を確認する、美術部が数日前に撮影した同セットの装飾を再現する、現場に参加できなかったスタッフに撮影内容を共有する、といったことに役立ちます。

弊社では、
○ Frame.io

もしくは、Google Driveを使用しています。

10. コミュニケーションラインの運用

特に小〜中規模ライブ案件やマルチカメラ案件では監督や撮影監督・スイッチャー・カメラマン・CA・特機オペレーター・DIT(VE)の間で通話する音声コミュニケーションラインを構成する必要があります。
○ ClearCom / YQ
○ トランシーバー
○ ワイヤレスマイク
アナログの電波を使用するときは録音部との干渉に気をつけねばなりません。ワイヤレス機器に関しては、それらの周波数帯を知っておくことは必須です。

余談ですが、現場がDITに何らかの操作の指示を出したい、という時のコミュニケーションラインをこちらで用意しなければならないのは何故だろうかと思う日もあります。

11. CGを使ったアプローチ

ここ数年で一気に加速したインカメラVFXの技術に関しては、おそらく専門のエンジニアが現場で運用を行ってくれるとおもいます。

DITという枠組みは曖昧であるが故、UnityやUnreal Engineを使ってリアルタイムに背景データを生成したり、BlenderやC4Dなどを使用してCG空間上でのアングルの確認(実際のカメラアングルでCGのセットがどの程度みえてくるか, 制限された中でのクレーンワークの検証など)を撮影現場でシミュレートしたりする事を取り入れる事ができます。
これにより、スタジオに組まれたセットの窓の外に広がる雲や夜景は、CGアセットやプラグインでその場で生成する事ができます。

12.ワークフローの把握とスーパーバイジング

撮影〜仕上げまで作業の流れ(ワークフロー)は、スーパーバイザー的な立ち位置のスタッフがいる事が望ましいです。映画案件に関しては凡そ、そのポジションの方がいます。
CMやMVにおいても、最終的に画を仕上げるオンラインエディター(もしくはその監督者)がその役割を担うのが正しいとおもいます。DITもそのワークフローを把握する事が必要で、それに応じて各部が必要なデータを用意したり、申し送りが必要になることもあります。

また案件によってはその役割をDITが担う事もあります。
自分はMV案件においてはグレーディングを担当する事も多いので、完パケに至るまでのワークフローを構築する事が多いです。
一方でCMに関しては仕上げに携わらない事がほとんどなので、ワークフローを指し示す事には個人的には若干迷いがあります。カラーマネージメントや各種コンフォーム作業、CGとグレーディングのタイミングなど、ワークフローを俯瞰からみて客観的にアドバイスするようにしています。

13. 機材選定と予算管理

企画と撮影内容が決まると、ほとんどの場合はカメラマンがその案件で使用するカメラを選定します。
DITはそれを受けて、技術的な観点からその案件でそのカメラ選定が正しいかどうか、また多くの場合はそれより低い予算で最適なカメラ選定を行うには何を選ぶべきかをアドバイスすることになります。
2〜13のどの機能が必要か、また撮影条件などと照らし合わせ、撮影助手とともに機材選定を進めます。

撮影機材にかけられる予算はピンキリです。
その中でDIT関連の人件費や機材費にかけられる予算も案件ごとに多少の開きがありますが、”この撮影を実現する為に、どのような機材選定が正しいか”という本来の考えに沿って考えたら、撮影機材費とDIT機材費は分けて考えるべきではないとおもいます。

14. 技術情報の収集 / 検証 / 研究

最新の機材や技術情報の収集、新規導入機材の検証を行います。
自分が必要になるから調べる事もあれば、人から質問を受ける事で調べて詳しくなる事もあります。隙あらば新しい撮影機材を調べている、という人もDITには多いかと思います。


DM(データマネージャー)とはなにか

「今回は予算の都合で、DITじゃなくDMでお願いします」
という制作部と撮影部のやりとりが、よくあります。
DITの定義も曖昧、DM(データマネージャー)の定義も曖昧なので、違いはギャランティだけなのか、とも思うところがありますが、弊社の定義するところでは、
DIT → 上記1〜13を担当
DM → 上記1,4を担当, スキルアップの為に余裕があれば他の項目も担当
といった感じかなと思います。本来は④もやらなくていい気がします。

まとめ

前半で4つのマネージメントについて触れましたが、今回はそれらを具体的な作業内容で説明してみました。

細かく書けば仕事内容が多くなる、のはどの仕事でも同じです。

DITの特色は、上記の仕事が同時に行われるということです。
データ管理とプレイバックとQCとオフラインとクロマキー合成を同時に滞りなく行わなければなりません。色々なソフトが立ち上がった状態のパソコンみたいな状態です。
それを効率よく最速で対応しようとすると、もしかすると他部署の方からは「あれデカくて邪魔だよねー」と思われているかもしれないDITベースがそれぞれのDITが作業しやすいようにカスタマイズされ、最適化される必要があるわけです。ここまでちゃんと読んでくださった方には、多くのことをひとりでサササとやろうとしたら、それなりの機材(と機材費)が必要だろうね、と感じていただけるかもしれません。

ですので現場では是非、DITの為ではなく、スタッフ全体の為にあのマシーンがあるのだという理解でスペースを分け与えてください。

DITベース(ロケ仕様)

黎明期からやっておられる先輩方や自分が、たくさんの失敗を経験しながらなんとか形にしてきたDITという職業ですが、10年たった今でも原因不明のエラーと戦いながら精神をすり減らす毎日です。

そんな日々の中でバージョンアップを遂げ、ひとつひとつやれる事・やるべき事・やりたい事を増やしてきた結果が上記の項目群です。
他のDITの方々の中には
○ もっとこんなこともやっているよ
○ そんなのはDITの仕事じゃないよ
○ こんなに色々やらないけど、ある項目に関して徹底的に突き詰めてるよ
というご意見もあると思います。
自分はそういう意見やそれぞれの専門性を知りたいし、底上げもしたいし、独自性も持っていきたいです。尊敬する先輩方は、大体なにか斗出した技術をもっておられます。自分は、優位性はつぶさに流出させて、次の優位性を身につけたいという考えです。

いつか最高峰をみつけたいのですが、その到達点がなかなか見えてこない。

ただその存在で如何にスタッフに安心感を与えられるか、円滑に撮影が進められるか、円滑にポスプロ作業が進められるか。
10000字近く書いたのですが、うまく言い表す事ができない仕事です。

DITとは一体なんなのでしょうか。


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