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堀 紘一 名言集 『リーダーシップの本質』(26)

『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』(26)

 『リーダーシップの本質』(初版 2003年6月26日 ダイヤモンド社)は、堀 紘一氏が満を持して上梓した優れたビジネス書です。

 略歴は著者紹介に譲るとして、堀 紘一氏はボストンコンサルティンググループ日本法人代表、ドリームインキュベータ創業者となり東京証券取引所に上場させた、単なる経営コンサルタントではありません。
 優れたビジネス書を数多く執筆しています。


日本とはまったく反対のやり方をしているのはユダヤ人の社会である。ユダヤ人社会では、評決に際して全員一致という結果が出た場合、議案は否決される

  
 日本とはまったく反対のやり方をしているのはユダヤ人の社会である。ユダヤ人社会では、評決に際して全員一致という結果が出た場合、議案は否決される。賛成多数は可決、反対多数は否決で、これは日本と変わらない。全員が賛成しているのになぜ否決になってしまうのか。
 これは不可思議なやり方のようで、集団がまちがいを起こさないための実に周到な知恵なのである。
 と言うのも、全員一致で認められたことには大きな危険が潜んでいるからだ。一番怖いのは、反対意見が出ないことである。

『リーダーシップの本質』 堀 紘一の名言 1 <76>                  


道を間違える可能性が大きいということで全員一致を否決にしたのがユダヤ人の知恵である

 
 全員賛成は、採用しようとしている案の長所の裏にある短所を誰も考えていない。他の案の持つよさを誰も考えていない。そうした危うさをはらみ、道を間違える可能性が大きいということで全員一致を否決にしたのがユダヤ人の知恵である

『リーダーシップの本質』 堀 紘一の名言 2 <77>                  


意思決定は、入学試験のように、問題作成者によってあらかじめ決められた解答に答えるようなことでは決してない。全員一致の会議は、あらかじめ決められた解答を指示通り書こうとするようなものである

 
 日本的なやり方、全員一致主義で日本は正しい道を選んできたのかと言えば、決してそんなことはない。ちっとも正しくないことがたくさんあったと私は思う。それどころか、むしろ少数意見のほうが結果的には正しいということが人間社会では往々にして起こるのである。太平洋戦争への突入にしろ日米安保条約締結にしろ、時の少数意見のほうが圧倒的に正しくても朝日新聞をはじめマスコミは、少数意見に光を当てようとはしてこなかった。
 意思決定は、入学試験のように、問題作成者によってあらかじめ決められた解答に答えるようなことでは決してない。全員一致の会議は、あらかじめ決められた解答を指示通り書こうとするようなものである

『リーダーシップの本質』 堀 紘一の名言 3 <78>                  


✔ 出典元

『リーダーシップの本質 真のリーダーシップとは何か』
2003年6月26日 第1刷発行 ダイヤモンド社


✍ 編集後記

🔶  『リーダーシップの本質』は堀氏の経歴に違わない内容の本です。重要な点は「本質」です。すぐに廃れてしまうハウツーものとは根本的に違います。

私たちは新奇さに目を奪われることなく、常に「本質」とは何かに着目する姿勢を貫きたいですね。

勉強は一生続けることが大切です。世の中は常に進歩しているのですから。劇的な変化にも予兆はあります。感度の良いアンテナを張り、見逃し、聞き逃ししないようにしましょう!

何歳でも、何歳からでも勉強はできます。書籍を手許に置いておけば、いつでも何度でも参照することができます。

「この本は良書だ」と思ったらその1冊の本を何度も読み返すことが重要です。
一度読んだくらいですぐに理解できたという著書は、中身は大したことはないと判断するべきでしょう。「韋編三絶」という言葉がありますね。


🔷 「意思決定は、入学試験のように、問題作成者によってあらかじめ決められた解答に答えるようなことでは決してない。全員一致の会議は、あらかじめ決められた解答を指示通り書こうとするようなものである」

全員一致は、実際には反対の意思を持っていても自分だけ反対すると村八分にされる恐れがあると感じ、仕方なく賛成するということではないか、と私は思っています。

日本では異質な考え方や意見を排除する雰囲気が支配しています。
最近では、その雰囲気が変わりつつあるのかも知れませんが。
他人と同じでは、自分の存在理由(レーゾン・デートル)はないと思います。

その場の「空気を読む」ことができることが処世術と考える人たちが今でもいますが、「空気を読む」必要はないと考えます。

今ではほとんど見聞きしなくなりましたが、KY(空気が読めない)という言葉が流行したことがありました。ナンセンスです。

和を以て貴しと為す」(何事をやるにも、みんなが仲良くやり、いさかいを起こさないのが良いということ)という言葉の影響が残っているからでしょうか?

「和を乱す」ということが嫌われます。
しかし、面従腹背はいけません。

⭐ 参考になるウェブサイトをご紹介します。

意思決定について、大前研一氏が詳細に述べています。

経営者は自ら動きビジネスをつかめ

このインタビュー記事の中で、大前氏は次のように述べています。
「―これまで多くの経営者の方と会われてきたと思いますが、成功する経営者にある共通点や必要条件があれば教えてください。

大前:明確な意思決定ができる人ですね。その時々で中途半端なことを言わず、部下への指示もはっきりしている。漠然とした言葉ではなく、いかに細部まで指示を出せるか。出てきたものに対していかに意志決定ができるか。
(中略)
つまり、経営者は従業員全員を自分の子どものように思い、行動しなくてはいけません

経営者は意思決定するだけでなく、自ら行動しなくてはいけないと断言しています。


✒ 堀 紘一氏の略歴

ドリームインキュベータ代表取締役社長。
1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業。ハーバード大学大学院経営学修士(MBA with High Distinction)。読売新聞、三菱商事、ボストンコンサルティンググループ(BCG)社長を経て、2000年にドリームインキュベータ(DI)創業。
BCG時代には、金融、ハイテク、消費財、Eコマース、中期戦略など数多くの戦略策定及び実行を支援。
『知恵は金なり』『強い会社はこうしてつくれ』『成功する頭の使い方』(PHP研究所)、『人と違うことをやれ!』『どんな「壁」でも突破できる』(三笠書房)、『挑戦! 夢があるからビジネスだ』『脱皮できない蛇は死ぬ』(プレジデント社)、『できることから始めよう!』(ダイヤモンド社)、『ホワイトカラー改造計画』『21世紀の企業システム』(朝日出版社)など著書多数。
(『リーダーシップの本質』の著者紹介から)


✒ 堀 紘一氏の略歴補足

2020年に堀氏はDIの取締役を退任し、DIは電通の傘下となりました。
近況は下記をご覧ください。
「セカンドライフ」を謳歌しているようです。


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