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盛田昭夫 『21世紀へ』(012)

盛田昭夫 『21世紀へ』(012)

他でも書いていることですが、進学校・渋谷教育学園の教育方針の「自調自考」(自分で調べ、自分で考える)に、私は「自働」(自ら働く、自ら周囲の人たちに働きかける)を加えて「自調自考自働」を提唱しています。

学校では「自調自考」でも構いません。
ですが、社会に出ると、それだけでは済みません。

他人から指図されてから動くのではなく、自ら働かなければなりません。結果を出さなければなりません。指示待ち族ではいけません。

そのためには、「自信が要求される」のです。自信を持って行動することが、周囲へも好影響を与えます。

ただ、盛田さんが指摘しているように、自信過剰はいただけません。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということでしょう。

「ブレーク・スルー」に不可欠な要素は2つある、と思っています。

「アイディア」と「地道な努力」です。
アイディアが良くても、地道な努力を欠いては、目に見えない壁を「突破」することはできません。

一方、「地道な努力」を続けていても、その目標に向かって進む、明確な考え方がなければ、突破することは、同様にできないでしょう。

つい最近、理化学研究所の研究員、小保方晴子さん(リケジョ)が、STAP細胞という万能細胞の作製に成功したという、ニュースが世界を駆け巡りました(その後、論文に添付された画像が改ざんされていた等の疑義が提出され、英科学雑誌『ネイチャー』は近日中に論文を取り下げる決定をしました)。

小保方さんよりも早く、iPS細胞という万能細胞の作製に成功した、京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授が体験したエピソードが『iPS細胞とはなにか』(朝日新聞大阪本社 科学医療グループ 講談社ブルーバックス)に書かれていました。

山中さんがカリフォルニア大学サンフランシスコ校へ留学した際に、同校のグラッドストーン研究所の所長から教わったことです。

まず、「研究で成功するためには、VWが必要だ」と教わった。VWといっても、自動車メーカーのフォルクスワーゲンのことではない。

ビジョン(Vision)とハードワーク(Hard Work)だった。

アメリカ人はハードワークは苦手でも、ビジョンが素晴らしい。素晴らしい仮説をたて、こういう実験をすればいいと考える人は多い。一方、日本人にはハードワークが得意な人が多い。

山中さんはそう感じていた。

「ハードワークだけではダメ。ビジョンが必要だ」と山中さんは思った。

『iPS細胞とはなにか』
p.33


あなたもチャレンジし続けてください!
私も自分の目標に向かって、チャレンジし続けます!



『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック

目次

はじめに

第1章 経営の原則

第2章 人材の条件

第3章 マーケットの創造

第4章 国際化への試練

第5章 経済活性化の原理

第6章 日米関係への提言

第7章 変革への勇気

第8章 日本国家への期待

第9章 新世界経済秩序の構築

あとがき



第2章 人材の条件

「こんな社員は願い下げだ」(1966年)から


会社が持つ使命には、生きがいとか、生きる意味を支えるための精神的環境の理想へ歩み続けることも含まれている

 7人で発足したソニーが5000人の会社に発展したのも、簡単にいえば“欲”の成果である。

 むろん、“欲”といっても、金銭欲がすべてではない 。会社が持つ使命には、生きがいとか、生きる意味を支えるための精神的環境の理想へ歩み続けることも含まれている。この歩みにモチベーション(刺激)を与えるのが“欲”といえる。そしてこの歩みをはかどらせるのが、社長以下全社員であることはいうまでもない。

21世紀へ 盛田昭夫 034 p p.67-8         


自分が働かないかぎり何事も動きはしない。頼りになるのは自分の力だけだ。そこでまず自信が要求される

 自分が働かないかぎり何事も動きはしない。頼りになるのは自分の力だけだ。そこでまず自信が要求される。私は、自信のない人間は願い下げにしたい。だが困るのは、この自信が下手をすると、とんでもない方向に発展しかねない。
「おれには、これこれの能力がある」
 こう思い込まれるのはいっこうに差つかえないが、その評価を金額だけで換算したがる。それではあまりにも近視眼的すぎる。アメリカでさえも、人間の能力プロパーを正確に査定する基準はない。

21世紀へ 盛田昭夫 035  p.68         


いろいろな障害を押しのけてブレーク・スルーしか生きる道はない。そんなとき、ネガティブな面だけにとらわれていては脱落するに決まっている

 アメリカのビジネスマンは「ブレーク・スルー」という言葉を好んで使う。「突破する」というような意味の言葉である。競争の時代にあって、とにかく儲けるためには、平坦な道をパイプをくゆらせながら一人で闊歩するようなわけにはいかない。いろいろな障害を押しのけてブレーク・スルーしか生きる道はない。そんなとき、ネガティブな面だけにとらわれていては脱落するに決まっている。

21世紀へ 盛田昭夫 036  p.69         




盛田昭夫公式ウェブサイト



➳ 編集後記

『21世紀へ』を読み返して感じたこと

『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田さんが、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという悲痛な気持ちが伝わってくる本です。

盛田さんの「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。

この警世の書に書かれていることの多くが当たっています。
盛田さんの慧眼は本当に素晴らしいと思いました。

アマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。

その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられるでしょう。


🔴「いろいろな障害を押しのけてブレーク・スルーしか生きる道はない。そんなとき、ネガティブな面だけにとらわれていては脱落するに決まっている」

ブレーク・スルー(突破する)という言葉は力を与えてくれる言葉です。

目の前に高くそびえ立つ壁があっても、その壁を乗り越えていくか、あるいは風穴を開けるかして「突破」することで次の段階に進むことができると考えています。

その壁を突破すると、次の壁が出現します。その壁も突破する……。その繰り返しです。

その壁が目に見えない心理的な壁であっても打ち破るためには、「自分が働かないかぎり何事も動きはしない。頼りになるのは自分の力だけだ」ということです。

行動を起こすには「自信が要求される」という言葉は心に響きます。



盛田さんは、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンでもありました。表現がダサい? 古い?



⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)


ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。
さらに、ここ数十年で業態を変えてきましたね。
ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。

極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。
ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。
スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。


⭐『21世紀へ』について

『21世紀へ』に関するこのブログを最初に投稿したのは、アメブロで9年前(2014-07-08 22:44:39)のことでした。

note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。

『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。

本書は、井深大と並ぶソニー株式会社のファウンダー(創業者)盛田昭夫によって、1960年代から90年代にかけて執筆された論文の集大成である。

21世紀へ 盛田昭夫 p.1  



ソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。



✑ 盛田昭夫氏の略歴

巻末の「著者紹介」から

盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。


⭐出典元



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