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大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(17)

『ロウアーミドルの衝撃』(17)

「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。

しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。

派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。

そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。

現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
 
 

規制緩和は主として金融、運輸、通信の三分野で大胆に行なわれた
ボーダーレス経済の根幹である人、モノ、カネの国境を越えた移動がこれによって促進され、生き残ったアメリカ企業は世界的にダントツの競争力を握った


レーガンは外交では「強いアメリカ」を説いて対ソ連強硬路線を強調する一方、内政では「小さな政府」を主張した。

社会福祉支出などの歳出を大幅にカットし、規制緩和や大幅減税を進めた。

いわゆる「レーガン革命」である。

規制緩和は主として金融、運輸、通信の三分野で大胆に行なわれた

ボーダーレス経済の根幹である人、モノ、カネの国境を越えた移動がこれによって促進され、生き残ったアメリカ企業は世界的にダントツの競争力を握った

また世界中からアメリカに投資が殺到し、納税者のカネではなく、他人のカネで反映するクリントン時代の「夢の8年間」の素地を作った。

この経済政策は、一部の学者が指摘するように、財政赤字と貿易赤字という「双子の赤字」を大きくしたが、その効果は90年代以降今日に至るまでのアメリカ経済の長期的な繁栄となって現れるのである。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 1 〈295〉                              



日本人には、そうした指示通りに拍手したり声を上げたりする人が極めて多いのだ


日本人は自分の考えや感情を持たない世界でも珍しい人たちで、私は「プロンプター人種」と呼んでいる。

たとえばテレビ番組の公開放送などで、集まった観客に対して「はい、みなさん。私がこの合図をしたら、拍手してください」といった指示を出す人のことをプロンプターという。

日本人には、そうした指示通りに拍手したり声を上げたりする人が極めて多いのだ

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈296〉                             
                                  
         







冷静に情報を分析を分析し、自分なりの判断を下すことを日本人はしようとしない。このことを私は1995年の東京都知事選挙で身をもって体験した


冷静に情報を分析を分析し、自分なりの判断を下すことを日本人はしようとしない。このことを私は1995年の東京都知事選挙で身をもって体験した

当時は、つぶれそうな二つの信用組合に資金援助をするかどうか、臨海副都心で行う予定だった世界都市博覧会を中止するかどうか、などが争点となっており、メディアももっぱらその是非ばかりを取り上げていた。 

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 3 〈297〉                                                                     



➳ 編集後記

ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。

🔷 1995年の東京都知事選挙で、大前氏は選挙活動を一切しなかった青島幸男氏に敗れました。

大前氏は、当時を回想していますが、青島氏は「大和言葉」を使い、お年寄りから大きな支持を得た、と語っています。

一方、大前氏は、経営コンサルタントでしたから「ロジック」で有権者に訴えました。これが「刺さらなかった」と語っています。大前氏が言おうとしたことは伝わらなかったのです。

日本では、「大和言葉」言い換えれば、情緒的な言葉でなければ、伝わらないということを「身をもって体験した」のです。

この「敗戦」を機に、「大前研一敗戦記」を出版しました。




⭐ 参考になるデータは下記のサイトでご確認ください。


元祖「平成維新」(4)-都知事選のこと 2013/02/04 13:00

この記事を読みますと、1995年の東京都知事選挙で大前氏が青島氏に負けた経緯がよくわかります。その中から一部を抜粋します。

「私は『2005年までに平成維新を実現しよう』と訴えてきた。2005年には日本の国民の平均年齢が50歳になる。どんな組織でも平均年齢が50歳を超えたら“変化”を嫌うようになり、改革などという言葉は出てこなくなる」

「2005年を超えたらこの国を変えることはできない。日本は永遠に変わることができない、という焦りがあった」

「『文藝春秋』に発表した政策は大きな反響があったが、それは各政党や都議会議員などのいわゆる政治のプロからで、結果的に言えばマスコミや一般の有権者にはほとんど省みられなかった」

「都知事選では都内1万8000キロを走破したが、私のプレゼンテーションに聴衆が足を止めて耳を傾けて、時に拍手が沸き起こったのは丸の内ぐらいものだった」

「政策よりも情緒。そのことに当時は気付かなかった。東京は広い。しょせん私は丸の内の坂本竜馬でしかなかった」

「私と正反対で、具体的な政策は何もないのだが、情緒に訴えるのが天才的に上手かったのが青島幸雄氏だ。『都知事になったらちゃぶ台をバーンと引っくり返す』という青島節に有権者は一票を投じた」

「『東京から隠し事をなくします』

この一言で都民の怒りに火をつけて、後は家で寝ているだけの選挙戦で青島氏は170万票を獲得した。

私が獲得したのは42万票。生涯はじめて味わった屈辱的大敗北だった」


⭐ 出典元: President Online 2013/02/04 13:00


大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-06-22 22:07:58)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。










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