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メルマガ 大前研一 ニュースの視点 有益な情報を得て、発想に結びつける No.002




メルマガ 大前研一 ニュースの視点 有益な情報を得て、発想に結びつける No.002

はじめに

私は30年ほど前から大前研一氏の著作を読み始め、読み続けています。
大前氏の著作や動画等から非常に有益な情報を得るだけでなく、考え方・発想法などを学んでいます。

大前氏のメルマガ購読を10年ほど前に開始し、今日も続けています。
ただし、すべての記事にきちんと目を通したとは言えません。
そこで、メルマガ購読の登録を開始した当時に遡って、読み直すことにしました。
そうすることで書籍との関連性によってより深く理解できたり、10年にわたる大前氏の考え方の変遷を感じ取ることができると考えました。

大前氏が頭脳明晰であることは異論がないと思います。
他にも頭が良い人たちは数多いますが、その人たちと大前氏が異なる点があります。

それは、大前氏は自分の考え方や発言に間違いがあった場合には、すぐに認め、訂正することです。他の頭が良いと言われる人たちは、プライドが高く、自分の間違いを認めたがらないだけではなく、訂正しようともしません。


🔶お知らせ

大前氏は私より年齢が一回り上です。大前氏は今年80歳になられました。
事情ははっきりしませんが、2023年6月29日に、BBT(ビジネス・ブレークスルー)の代表取締役を退任されました。

ビジネス・ブレークスルー大学の学長職に専念されるということです。社会人教育に対して情熱を注ぎ続ける姿に頭が下がります。
日本を再興するためには、社会人教育が不可欠であるという信念を持ち、今日でも社会人教育に励んでいます。

私は、他のところでも何度も書いていますが、30代の頃から大前氏に私淑しています。これからも変わりません。


KON457【中小企業支援と産業競争力会議~既存の枠にとらわれない発想の重要性】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013年3月15日(金) 8:26

🔴メルマガ全文


┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『中小企業支援と産業競争力会議~既存の枠にとらわれない発想の重要性』
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

 中小企業支援
 中小企業金融円滑化法 再延長せず
 産業競争力会議
 産業の新陳代謝へ議論

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 ▼ 新たな受け皿は、サラ金業者
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 政府・与党は7日、3月末で期限切れとなる中小企業金融円滑化法を
 再延長しないことを決めました。

 中小企業団体などはさらなる延長を求めていましたが、
 安倍政権は再延長せず、中小企業の経営支援強化に
 軸足を移す考えとのことです。

 連立を組んでいる公明党は反対だったにも関わらず、
 自民党が「再延長しない」という決断をしたのは
 評価できると思います。

 しかし残念ながら、本質的な問題は何一つ解決されていません。

 数十万社ある中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)適用企業
 の中で、経営状態が特に危険視されている企業は5万社~6万社あると
 言われています。

 現在の倒産件数の推移を見ると、40件/月というペースですから、
 モラトリアム法を再延長しない場合、倒産件数は
 一気に増加することが予想されます。

 このとき厳しい状況に追い込まれるのは、信用金庫や信用組合です。

 不良債権比率を見ると、1%~2%の都市銀行に対して、
 信用金庫や信用組合は5%~8%もあります。

 おそらく4月以降になると10%を超えてくると思います。

 今金融庁が密かに考えていることは、この銀行が抱える不良債権を
 別のどこかへ「飛ばして」しまうことだと思います。

 まさに住専の時と同じ対応です。

 また、資金繰りに窮した中小企業の消費者金融「サラ金」への
 需要も高まると言われています。

 法律改正によって景気が悪い消費者金融業界が、
 モラトリアム法の終了後、一気に活性化する見込みです。

 今、関連企業の株価が上昇している理由です。

 モラトリアム法の期限が切れると、参議院選挙前に一気に
 倒産企業が増加すると言われていましたが、これによって「徐々に」
 倒産企業が増えるという流れになると思います。

 このような対応をしたところで、結局のところ100兆円規模のお金を
 正常化するためには、住専の対応と同様に最低でも
 10年近い年月が必要となります。

 倒産企業数が5万社~6万社と想定される一方、
 日本では新しい企業や産業が出てきてないことが、
 根本的な問題として非常に重要だと私は思います。

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 ▼ 新しい産業を起こすためには、規制撤廃と失業の山が前提
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 政府の産業競争力会議は6日、産業の新陳代謝を促し、
 成長産業に人材を移す対策の議論を始めました。

 民間議員が解雇ルールを法律で明確にするよう求めたのに対し、
 田村厚生労働相は、日本は解雇が容易な米国と雇用形態が異なるなど
 として慎重な姿勢を示したとのことです。

 産業競争力会議は、起業家、経営者、学者など
 あまりに発想が異なる人が集まっているので意見がまとまるとは
 考えられません。

 そして、自民党や役人の多くは基本的にTPPですら拒否する姿勢を
 示していますから、本気で「競争力のある産業を作ろう」と
 固く決意している人はいないのだと思います。

 私としては、なぜ三木谷氏や新浪氏が協力しているのかと、
 疑問に感じてしまいます。

 政治家や役人が、競争力のある新しい産業を
 作ろうとしないのは当然なのです。

 というのは、新しい産業を起こすためには「規制撤廃」が
 必須だからです。

 悩ましいことに「規制撤廃」をすると、それまで規制に
 守られていた産業は確実に潰れます。

 すなわち、新しい産業が生まれる前に、
 大量の失業が発生します。

 その後、10年~15年経って、ようやく新しい産業が
 根付いてくるのです。

 今でこそ米国レーガン元大統領は偉大な大統領と言われていますが、
 その評価を受けたのは、通信・金融・航空・運輸などの産業において
 規制撤廃を行い失業の山を生み出した当時から約15年経ってからでした。

 日本に目を向けてみて、15年後の将来のために今目の前で
 失業者が溢れるような施策を、政治家や役人が選択できるでしょうか?

 産業競争力会議のメンバーに、それほど時間軸に対して
 許容力のある人はどれほどいるでしょうか?

 「規制撤廃をするなら、まず先に失業の手当てが必要」
 などと考えていては、絶対に上手くいかないでしょう。

 むしろ若者に自由を与えて、取り締まるのを控えるくらいが
 丁度良いと私は思います。

 理想を言えば、そのような状況になって、
 かつてのスティーブ・ジョブズのような人材が
 生まれてくれれば最高です。

 しかし今の日本の状況を見ると、規制撤廃を敢行し
 新しい産業を生み出すのは、まず不可能です。

 ゆえに以前から私は別の方法で景気を回復することを
 提唱しているのです。

 それが「心理経済学」です。

 新しい産業を生み出せないなら、今ある1500兆円の
 個人金融資産が市場に流れてくるような方法を考えるべきでしょう。

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 この大前研一のメッセージは3月10日にBBT557chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。

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✅KON457のキーワード

1(銀行が抱える不良債権を別のどこかへ)「飛ばして」(しまうこと)

この文脈における「飛ばし」(含み損が生じた資産を市場価格よりも高値で第三者に転売することによって損失を隠すこととは、不良債権をどこかに紛れ込ませたり、隠蔽し、問題を先送りすることです。有耶無耶にしてしまうのです。だれも責任を負いたくないからです。

2「規制撤廃」

規制撤廃の元の英語は deregulation です。

deregulationとは規制撤廃[解除](による自由化)だったのですが、規制緩和に変更されました。

規制撤廃は規制を完全になくすことですが、規制緩和は規制を緩めることです。規制そのものは残しておくことです。全く意味が異なります。

なぜ規制緩和にするのかと言えば、権力者が自分の権限を残しておきたいからです。

似たような例として、リストラがあります。リストラの語源はrestructuring(リストラクチャリング)です。元の意味は事業の再構築でした。

事業がうまくいかなくなって、その事業を縮小したり、売却したり、コストを削減したりします。コスト削減の中には人件費も含まれます。

つまり、人員削減も含まれています。しかし、人員削減は最後の手段です。

ところが、日本ではリストラの本来の意味を変更し、人員削減(解雇)と意味を限定してしまいました。

大前研一さんが「規制撤廃」と指摘しているのは、そういう意味なのです。


KON458【震災復興と電力問題~俯瞰的な視野であらゆる可能性を考える】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013年3月22日(金) 8:26

🔴メルマガ全文


┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『震災復興と電力問題~俯瞰的な視野であらゆる可能性を考える』
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 大規模災害対策 「大規模災害復興法」を4月上旬にも閣議決定
 震災復興 避難生活者 約31万5000人
 避難者対策 居住者向け放射線量の安全指針づくりに着手
 太陽光発電 再生可能エネルギーの価格政策を見直し
 発電燃料 火力発電の燃料価格が高止まり
 電力問題 今夏も節電要請の方針

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 ▼ リーダーシップを発揮し復興計画を立案し実行することが政府の役割
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 政府は大災害時の対応を迅速にするため、大規模災害復興法を
 4月上旬にも閣議決定し、今国会に提出する方針を明らかにしました。

 今後、想定される南海トラフ巨大地震や首都直下地震に備える考えです。

 つまり、地方自治体を超えて直接政府が指示をしていくということです。

 東日本大震災の際には、当時の菅首相が直接現地に乗り込んで
 指揮しようとしましたが、結局そういう制度がなかったために
 機能せずに終わってしまいました。

 大規模災害の際には、都道府県間、県・市区町村間のコーディネート
 などもあるので、政府が全責任を追って対応するのは極めて重要なこと
 だと思います。

 東日本大震災から2年を経て、仮設住宅などで避難生活を送る人は
 なお約31万、福島第1原子力発電所事故の影響で福島県から
 県外へ避難した人は5万7135人にのぼります。

 この事実から見れば、2年間にわたって日本はある意味において
 無政府状態だったと言わざるを得ないでしょう。

 私は震災の一週間後には復興計画案を発表しました。

 高台移住の提案、津波プレインの制定も含め、福島第1原発から
 5キロ圏内の居住できない旨をいち早く通達し、
 人生の計画を早めに立て直せるようにすべきだと述べました。

 いち早くこうした計画を立てて責任を持って実行するのが
 政府の役目だと思います。

 関東大震災のときは、短期間で対策案をまとめたと言います。

 当時よりも、日本の復興対策ブレーンの力は衰えたと言われても
 仕方ないでしょう。

 また未だに30万人の仮設住宅居住者がいるという異常事態に
 何とも感じていないことにも、私は驚いてしまいます。

 日銀人事やアベノミクスも大切かもしれませんが、
 その前に優先すべき事項があるということを自民党にも
 改めて認識してほしいと思います。

 自民党は避難者対策として居住者向け放射線量の安全指針づくりに
 着手したそうですが、これは早急に進めて欲しいところです。

 現在は長期的な除染目標の「年間積算線量1ミリシーベルト以下」を
 参考値としていますが、これは厳しすぎます。

 もっと現実に合わせた安全指針を策定し、一刻も早く
 帰ることが出来る人に戻ってもらえるようにするべきだと思います。

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 ▼ 何が何でも再生可能エネルギーではなく、石炭も検討の余地あり
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 政府は太陽光発電の急拡大を支えてきた再生可能エネルギーの
 価格政策を見直すとのことで、買い取り価格を2013年度から
 約1割下げる案を決定しました。

 当時の民主党政権が一部の業界に煽られて、20年間の固定買取制度を
 決めてしまったのですが、明らかに勇み足でした。

 かつてドイツやスペインでも20年間の固定買取を決定したことが
 ありましたが、最近になって価格を下げる方向で修正をしています。

 再生可能エネルギーの買取価格を高いままで固定していたら、
 おそらくゆがんだエネルギーミクスになるでしょう。

 太陽光、風力によって得られるエネルギーは気まぐれの要素が強く、
 それを貯めておくためのバッテリーをどう用意するのか?
 といった問題も解決されていません。

 さらに太陽光発電についてはあまりに高価格で買取価格を
 固定してしまったため、参入業者が増えすぎて困っている状況です。

 この程度の展開を予想することさえできなかったのは残念です。

 自民党は一刻も早く是正してほしいと思います。

 また再生可能エネルギーに固執する必要はなく、
 他のエネルギーについてもしっかりと検討することが大切です。

 例えば、火力発電に使う液化天然ガス(LNG)や重油の価格が
 高止まりしています。

 LNGのスポット価格は東日本大震災前に比べ9割上昇し、
 重油も6%上がっています。

 原子力発電所が相次いで停止したのに加え、中国や南米など
 新興国で発電燃料の需要が拡大しているためということもあります。

 もっとも、そもそも再生可能エネルギーの価格が高すぎる
 というのが問題なのです。

 2013.03.11号のBusinessweek誌でも記事になっていましたが、
 再生可能エネルギーの価格が高止まりしているのに対し、
 化石燃料の価格は下がってきています。

 二酸化炭素の排出という問題はありますが、カナダのように
 政府が負担を増やして対処するなど、方法を模索することは
 できるでしょう。

 特に石炭火力の発電コストは原子力に匹敵するほど低価格です
 (原子力:8.9、石炭火力:9.5、LNG火力:10.7、石油火力:36、
 それぞれ円/1キロワット時当たり、2010年の価格)
 から、これを利用しない手はないと思います。

 日本は歴史的に石炭に対するアレルギーがあります。

 世界的には発電量に占める石炭の割合は約40%ですが、
 日本は30%弱に過ぎません。

 中国は約80%、韓国、米国、ドイツも40%を超えています。

 日本は意識的に石炭を避けて比較的クリーンなLNGに傾いていましたが、
 ここに来て価格は高止まりしています。

 確かに石炭には二酸化炭素の問題がありますが、最先端の技術を
 利用することで、排出される二酸化炭素をクリーンなものに
 変えることも可能な時代になりつつあります。

 夏の電力需給のため東京電力が石炭火力発電所を新設する計画に、
 環境省が反対の姿勢を示していましたが、先日自民党によって
 ひっくり返されました。

 自民党は民主党に比べて現実的な判断を下したと言えるでしょう。
 盲目的に「再生可能エネルギーが良い」と考えるのではなく、
 様々な可能性を検討していくべきだと私は思います。

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 この大前研一のメッセージは3月17日にBBT557chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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✅KON458のキーワード

1「復興計画案」

大前研一さんは理屈を述べるだけの人物ではありません。すぐに行動に移す人物です。

世の中に「意見を言うだけ」の人はごまんといます。しかし、自ら実践する人はほとんどいません。

次の動画をご覧ください。大前さんが実践する人ということが納得できると思います。

地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録


2「石炭火力発電所」

石炭火力発電所は、石炭がコスト面で有利ですが、二酸化炭素排出量が多いというマイナス面もあります。そのため二酸化炭素排出量を抑制技術が日本でどこまで進んでいるか、調べてみました。

最初にBing AIに尋ねてみました。

🔴質問
石炭火力発電所はコスト面で有利と考えられますが、二酸化炭素の排出が問題になっていると思います。 二酸化炭素排出量を最小限に抑える技術はどこまで進んでいますか?

🟦回答
石炭火力発電所は、確かにコスト面で有利ですが、二酸化炭素の排出が問題になっています。日本の石炭火力発電所は、SOxやNOxの排出量が非常に少なく、欧米と比較してもクリーンなレベルを誇っています1。しかし、二酸化炭素排出量を最小限に抑える技術については、私の検索結果からは明確な情報を見つけることができませんでした。


そこで、今度はBardに同じ質問をしてみました。

🟡質問
石炭火力発電所について詳しく教えてください。コスト面では有利と考えられますが、二酸化炭素排出が問題となると思います。二酸化炭素排出量を抑制する技術は日本ではどこまで進んでいますか?

🟥回答
石炭火力発電は、石炭を燃やして蒸気を発生させ、その蒸気によってタービンを回して電気をつくる発電方式です。石炭は、世界で最も多く採掘されている化石燃料で、価格が安く、燃えやすいという特徴があります。そのため、石炭火力発電は、発電コストが低く、安定した電力供給が可能です。

しかし、石炭火力発電は、二酸化炭素を大量に排出するという問題があります。二酸化炭素は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスです。そのため、石炭火力発電の二酸化炭素排出量を抑制することは、地球温暖化対策の重要な課題となっています。

日本では、石炭火力発電所の二酸化炭素排出量を抑制するために、いくつかの技術開発が行われています。例えば、石炭を燃やす前に水素を吹き込むことで、二酸化炭素の排出量を削減する技術や、二酸化炭素を回収・貯留する技術などです。これらの技術は、まだ開発途上ですが、今後の普及が期待されています。

石炭火力発電は、コスト面では有利ですが、二酸化炭素排出量を抑制するためには、技術開発や政策的支援が必要です。

結論として、大前さんが9年前に指摘した石炭火力発電所には、二酸化炭素排出量を抑制する技術はまだ確立されていないことになります。


KON459【TPP・米韓FTA・自動車認証基準~関連性を理解しながら情報を集める】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013年3月29日(金) 8:26

🔴メルマガ全文


┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『TPP・米韓FTA・自動車認証基準~関連性を理解しながら情報を集める』
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 TPP コメ部分開放、対策費6兆円超
 米韓FTA 発行後1年間の米国向け輸出1.4%
 自動車認証基準 安全、環境性能などEUと基準統一へ

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 ▼ 農業対策費に税金を投じるなら、成果を見せるべき
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 日経新聞は24日、
 「ウルグアイ・ラウンドではコメ部分開放、対策費6兆円超」
 と題する記事を掲載しました。

 1986~94年の
 関税貿易一般協定・多角的貿易交渉(ガット・ウルグアイ・ラウンド)
 の際、農業対策費では8年間に6兆円を超える予算が投じられたものの、
 農業の大幅な競争力強化にはつながらなかったと指摘。

 今回のTPP交渉参加に向けた対策について、自民党幹部は
 「具体的な事業の積み上げ方式を徹底し、バラマキを抑える」
 と強調していると紹介しています。

 私に言わせれば、農業・コメへの影響について
 日本は騒ぎ過ぎだと思います。

 発効1周年を迎えた米韓自由貿易協定(FTA)ですが、
 韓国では関税引き下げの恩恵を受けた工業品の対米輸出が伸びる一方、
 懸念された輸入急増による国内農業への打撃は限定的だったとする
 統計を公表しています。

 韓国でも日本と似たような懸念が強くありましたが、
 結局、国内農業への影響は大きくなかったのです。

 日本でも、かつて市場開放されたピーナッツ、さくらんぼ、
 牛肉、オレンジなどを見ると全く同じだと分かります。

 千葉県のピーナッツ、山形県のさくらんぼなどは、
 米国から輸入品が入ってきて、むしろ値段が高くなったほどです。

 またコメについては、再びミニマム・アクセスを適用する
 可能性が高いでしょうが、これは全く無駄なことです。

 コメの国内生産量と消費量の推移を見ると、
 この50年間で日本人の消費量は約半分に減少しています。

 高い関税を課して、身代わりに食べもしないコメを輸入するとは
 馬鹿げていると思います。

 コメも市場開放してしまえば良いのです。

 質の良いコメを求めて日本人は国内のコメを買い続けると思います。

 もちろん、そうではない部分には外国産のコメが
 入ってくると思いますが、それはしょうがないことです。

 かつて農業対策費で6兆円も投じたのに、
 全く効果は見られませんでした。

 私に言わせれば、お金が欲しいがゆえに騒ぎ立てていると感じます。

 今回、政府はTPPではバラマキを実施しないと言っていますが、
 まず信用できません。

 今騒ぎ立てている人たちを黙らせるには、お金という解決策が
 最も簡単な手段だと自民党は考えていると思います。

 一般国民からすると、税金を使うなと声を大にして
 主張したいところです。

 税金を使うのなら、その資金によってどのくらい競争力が
 増したのか証明するべきです。

 ウルグアイ・ラウンド以降、多額の資金がつぎ込まれたのに、
 日本の農業の生産性は高くなっていないし、
 競争力も増していません。

 きちんとした成果を出していないのだから、
 税金を使うべきではない、というのは真っ当な主張だと思います。

 この点をあいまいにしたまま、再び自民党がバラマキをするのなら、
 結局のところ「騒いだ者勝ち」ということです。

 一般国民からすると、踏んだり蹴ったりといった状況でしょう。


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 ▼ 米国車が売れないのは、非関税障壁が理由ではない
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 政府が自動車の安全や環境性能の認証基準を欧州連合(EU)
 などと統一する方向で検討に入ったことが分かりました。

 日本とEUは25日に東京で首脳会談を開き、経済連携協定(EPA)交渉の
 開始で正式合意しますが、日本側は焦点の自動車分野で市場開放に
 取り組み、EUに関税撤廃を求める方針です。

 これは日本にとっても大きなメリットがあると思います。

 自動車について言えば、米国とはこれほど話がスムーズに
 進まないでしょうから、まず欧州から始めるのは賛成です。

 日本の自動車産業について米国は、「市場が公平ではない」
 「軽自動車が優遇されている」など、色々と批判をしています。

 しかし、本音ではもし25%(ピックアップトラック)の
 関税が完全に撤廃されてしまったら、
 米国の自動車産業の首を絞めることになると理解しています。

 だから、TPP交渉でも自動車については、
 米国からハードルを設けたいという希望が出てくるはずです。

 未だに「非関税障壁のせいで米国車が日本で売れない」と
 主張する米国人もいますが、これは全くの見当違いです。

 米国車に競争力がないから、日本で売れないのです。

 その証拠に、欧州車は日本でも売れています。

 非関税障壁が理由であるなら、米国車と同様に
 欧州車も売れないはずです。

 結局、米国車が日本人にウケていないのです。

 これからTPP交渉が始まるわけですが、
 交渉官にはこのような事実についても米国側にはっきりと
 伝えてほしいと思います。

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 この大前研一のメッセージは3月24日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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✅KON459のキーワード

1「バラマキ」

バラマキは、昔から政策に反対する者にお金を与え、黙らせる手段として使われてきました。ところが、最近と言ってもここ数十年のことですが、首相が海外を歴訪した際に、多い時には数千億円の支援(円借款のことが多い)を約束するケースがあります。これもバラマキです。時の首相が訪問国に良い顔を見せたいからです。まさか、裏取引はないと思いますが……

2「競争力がない」

日本企業は海外へ製品を販売する場合、その国の人たちが求める仕様に変更します。クルマで言えば、排気量を大きくするとか、ボディの剛性を高めるとかします。

ところが米国の自動車メーカーは、日本の需要に対応した製品づくりを長らくしてきませんでした。実情を理解しようとしてきませんでした。

大きすぎるボディや、輸出する前にハンドルを左から右に変更しなかったり、車内の静粛性に対する配慮がされてきませんでした。さらに高価格。

こうしたことが競争力がないということだったのです。日本は確かに外圧に弱いという歴史があります。ブラフ(脅し)に屈してきたことは事実ですが、消費者はダメなものはダメとはっきり意思表示します。


⭐今回のメルマガ(1ヵ月分)についての感想

いかがでしたでしょうか?

大前さんの目のつけどころ、分析力、問題解決の具体策の提示、歯に衣着せぬストレートな言葉に快感を覚えます。

経験と実績に裏打ちされた言葉には、揺るぎない「力」があります。
メルマガは書籍と異なり、限られた文字数の中でポイントを絞り、いかにして自分の主張を解りやすく読者に伝えるかが重要です。

ただし、嘘を書いたり、奇をてらった表現は一時的に注目されることがあっても、同じことを続けていると信頼されなくなります。

大前さんはそうしたスタンドプレーは決してしません。する必要がないのです。


✒ 編集後記

「メルマガ 大前研一 ニュースの視点」を読み返してみると、当時のことが断片的に思い出されてきました。10年という歳月が流れましたが、ところどころ記憶に残っていた個所があり、またその後の経過を確認することができています。

当たり前のことかもしれませんが、不正を行っていればいつか公になり、罰せられるということは肝に銘じておかなければなりません。

大前研一氏の先を見通す力や発想力、構想力、分析力、発信力、その他にも多数ありますが、私には何一つ追いつけるものはありません。

それでも、大前氏をグル(「指導者」「教師」「尊敬すべき人物」「師匠」)と仰ぎ、書籍や動画などを通じて、これからも間接的に指導を受けたいと思っています。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)

大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

MITで原子力工学の博士号を授与されています。原子力の専門家でもあり、世界的に著名な経営コンサルタントでもあります。

世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


「大前研一 ニュースの視点」というメルマガに登録したのは10年前のことです。毎週金曜日に配信されます。

2013/03/03 0:28
〓〓「大前研一《ニュースの視点》」に登録いたしました!〓〓

この度は、無料メールマガジン「大前研一《ニュースの視点》」に
ご登録いただきありがとうございました。
 


🟡メルマガについて

メルマガに登録して、最初のメルマガが配信されたのは2013年3月8日(金)のことでした。

大前研一 ニュースの視点の通し番号にKON・・・となっています。
KO は Kenichi Ohmae です。N はナンバーです。


さて、私に最初に配信されたメルマガのタイトルは下記のようになっていました。

KON456【北方領土問題と韓国の新大統領~長期的な時間の流れで考える】 ~大前研一ニュースの視点~

通算で456件目だったのです。そのため、1~455のメルマガを読むことはできません。

ところが、調べてみたところ、2006年3月24日(当時は#106)以降であれば読めることがわかりました。

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