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盛田昭夫 『21世紀へ』(014)

盛田昭夫 『21世紀へ』(014)

盛田さんの著書『学歴無用論』をタイトルだけで判断し、誤解する人たちが多かったようです。

学歴以外に、学校歴という表現がありました。○○大学(□□学部)以外には採用しない、という企業が、私が就活した35~6年前には存在しました。
学校閥を社内で維持するためでした。

今から考えてみると、くだらないことです。
同じような発想しかできない学生を大量に採用し、会社の理念を叩き込むにはそれなりに機能していました。

人と違う発想を認めない、画一的な人間を作り出してきた、と言えるでしょう。

現在は、人と違う発想をする人、ある意味でオタクな人が、社会を変革していくかもしれません。

人と違うことはデメリットではなく、メリットであるという、考え方がもっと広まっていくとよいと思います。

あなたはどう思いますか?


『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック

目次

はじめに

第1章 経営の原則

第2章 人材の条件

第3章 マーケットの創造

第4章 国際化への試練

第5章 経済活性化の原理

第6章 日米関係への提言

第7章 変革への勇気

第8章 日本国家への期待

第9章 新世界経済秩序の構築

あとがき



第2章 人材の条件

「こんな社員は願い下げだ」(1966年)から


入社後も、自分の特長をはっきり見きわめて売り込める能力がなければ、いまのビジネス界では通用しないだろう

 入社後も、自分の特長をはっきり見きわめて売り込める能力がなければ、いまのビジネス界では通用しないだろう。

 自分の特長を売り込む能力がない人間は、だから当然のようにコネを使いたがる。私にいわせれば、コネでは会社は儲けられない。血みどろの競争にコネが通用するわけがない。私自身も、コネのための紹介状はいっさい書かないし、書かれたものも認めない。

21世紀へ 盛田昭夫 040 p. 72 



自由競争の経済界で生き抜くためには、物ごとを計る尺度が要求される

 自由競争の経済界で生き抜くためには、物ごとを計る尺度が要求される。

 “経済観念” である。といっても、家計のやりくりをするような経済観念とは質を異にする。会社という自由企業のなかで、自分を計る物差しと思っていただきたい。

21世紀へ 盛田昭夫 041  p.73 



人それぞれが独自の物差しを持てばよいのである。いくら札束を積んでも買えない無形の報酬もあることを忘れてはいけない

 人それぞれが独自の物差しを持てばよいのである。ただ、繰り返すようだが、金銭だけに物差しを当てるのは近視眼的だ。技術発展に伴う知恵までも計るべきである。いくら札束を積んでも買えない無形の報酬もあることを忘れてはいけない。
この ”経済観念” は見方によれば、会社のなかでの自分の存在を確かめる基準ではないだろうか。この基準がないと、永久に「おれはちっぽけな歯車にしかすぎない」というコンプレックスから抜けきれない。

21世紀へ 盛田昭夫 042  p. 74  



盛田昭夫公式ウェブサイト



➳ 編集後記

『21世紀へ』を読み返して感じたこと

『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田さんが、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという悲痛な気持ちが伝わってくる本です。

盛田さんの「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。

この警世の書に書かれていることの多くが当たっています。
盛田さんの慧眼は本当に素晴らしいと思いました。

アマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。

その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられることでしょう。



🔴「人それぞれが独自の物差しを持てばよいのである。いくら札束を積んでも買えない無形の報酬もあることを忘れてはいけない」

この言葉は示唆に富む言葉だと思います。人真似をしても、「本家本元」を越えることは難しい。そうであれば、自分の「武器」はコレだというものを定義し、強みをさらに強化していくことが大切なことだ、と考えています。

他人の物差しで測っても、自分の実像を捉えることはできません。
それよりも、「過去の自分」と「現在の自分」、「現在の自分」と「未来の自分」を比較し、成長してきているかを確認するほうがよほど有益です。

つまり、他人に振り回されてはいけない、ということです。

ただし、自分が目標としている人がいたら、その人をベンチマークして頑張るということまで否定するものではありません。

努力することは決して無駄ではありません。



盛田さんは、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンでもありました。表現がダサい? 古い?



⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)


ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。

ここ数十年で業態を変えてきたことは、世の中の変化に素早く対応できることを示しています。

ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。

極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。

ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。

スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。



⭐『21世紀へ』について

『21世紀へ』に関するこのブログを最初に投稿したのは、アメブロで9年前(2014-07-10 20:47:46)のことでした。

note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。

『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。

本書は、井深大と並ぶソニー株式会社のファウンダー(創業者)盛田昭夫によって、1960年代から90年代にかけて執筆された論文の集大成である。

21世紀へ 盛田昭夫 p.1  



ソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。



✑ 盛田昭夫氏の略歴

巻末の「著者紹介」から

盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。


⭐出典元



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