見出し画像

日経ビジネスのインタビュー バックナンバー Vol.064




日経ビジネスのインタビュー バックナンバーVol.064



ここに掲載している内容は、管理人・藤巻隆が携帯サイトで運営していた当時のコンテンツです。

2007年1月8日号からスタートしています。1カ月分毎にまとめてあります。

途中、数件記事が抜けている個所があります。データを消失してしまったため再現できません。



✪ 2012.04.02 (No.1)<264>
失敗なくして変革なし
橋本 孝之(はしもと・たかゆき)氏
[日本IBM社長]

日本市場そのものが伸びなくなり、従来のビジネスモデルの延長に将来はない、ということが明確になってきました。結局、改善活動という形ではなくて、非連続なイノベーションを起こさないともうダメじゃないかと。

コストを下げるための一番良い方法は標準化です。今は複雑。例えば子会社がたくさんあると、別々のシステムを使っていることが多い。標準化して、統合して、賃金の安い地域に持っていく。これらを実行できれば、ぐっとコストは減るわけです。

中小企業は2つのタイプがあります。1つは下請け型で、先ほどのスマイルカーブの真ん中にいる会社です。こういう会社は厳しい。もう1つは左側か右側にはっきりと寄っている企業。驚くくらい規模は小さくても、30カ国でビジネスを展開して、売り上げを伸ばしているところもあるわけです。こうした企業は地方にあったりしますが、東京を見ていない。このような会社にもっと学んだ方がいいと思います。

先を見越して、様々な分野に投資してきました。成功と失敗を選り分けながら、飛び石の投資はしない、技術の陳腐化が速いものには手を出さない、消費者向けよりも法人向けといった、生き方を見つけていったのです。


✪ 2012.04.09 (No.2)<265>
規模よりもブランドを優先
張本 邦雄(はりもと・くにお)氏
[TOTO社長]

(住宅が増えない時代に、住設機器を売り続けることができるのですか、という質問に対し)リフォームという成長市場をいちはやく捉えることができたからだと思います。住設メーカーで、エンドユーザーに直接、接触し始めたのは当社が最初だと思います。象徴的なのが、ショールームの整備です。

新築の場合、住設機器は備品という感覚に近いのですが、リフォームは違います。リフォームは、水回り備品が全体の6~7割を占めるため、住設機器が耐久消費財と意識され、顧客の目が厳しくなる。だからこそ、ショールームの整備と、顧客と接するアドバイザーが重要になってきます。

ショールームに常駐しているアドバイザーは、商品知識がとても豊富です。しかも、他社製品についても、よく勉強しています。「この機能はA社の商品が優れています。残念ながら当社では同じ機能は提供できません」といったことまでお伝えしています。

サプライヤーを買収していく住生活グループのやり方は王道でしょう。でもTOTOがやるかといったら、やりません。当社のDNAに規模の拡大は合わないからです。

トイレを極めるのが何より大事なのです。トイレを極めれば極めるほどに、技術がついてきます。製造業ですから技術が他社に劣っていたら、何も強みがないのと同じです。うちの最大の強みは技術力です。営業出身の社長が言うんだから間違いありません。


✪ 2012.04.16 (No.3)<266>
コスト競争は大の苦手
吉永 泰之(よしなが・やすゆき)氏
[富士重工業社長]

我々は自動車メーカーとしては小ぶりですから、選択と集中が欠かせない。どこで戦うか明確に絞り込む必要がありました。

前身である中島飛行機以来、安全を含めた安心への高い意識や基準が、社内に脈々と受け継がれています。そこには言葉は必要ありません。アイサイトも、航空機開発の過程で生まれた技術です。

トヨタから「ポルシェと富士重しか持っていない水平対向エンジンでスポーツカーを作りませんか」と言われて、やらないという選択肢はありませんでした。2008年のことでした。

選択と集中を進める中、水平対向エンジンの登録車に経営資源を集中投下することを決めています。

水平対向エンジンのおかげで、足元の販売は順調です。ただ、将来やってくる電動化時代への準備をしなければなりません。


✪ 2012.04.23 (No.4)<267>
ITの複雑さを解消する
マーク・ハード(Mark Hurd)氏
[米オラクル社長]

現在の地球上のデータ量は、2005年に比べ8倍に増えていると言われます。

企業が革新するには、新しいアイデアや活動に投資しなければなりません。このコストを、今のITシステムにかかっているコストを削って捻出すべきです。

エンジニアドシステムとは、顧客が求めるソフトウェアとハードウェアを統合した製品です。

使いたいソフトとハードが統合されていて、電源を入れれば、必要なサービスを利用できる。こうした点で、エンジニアドシステムは、米アップルの「iPad」に似ているとも言えるでしょう。パソコンと基本ソフト、ネットワークの接続機器を別々に買って、組み合わせる必要はないんです。

私はリーダーには3つの仕事があると思っています。戦略を策定する。戦略を遂行するための仕組みを整える。そして様々な仕組みを整えるために最適な人材を配置するということです。この3つをきっちりとできたならば、ビジネスはうまくいくわけです。

重要なのは、最終的にビジネスで結果を出すことになります。投資しつつ合理化を進める。「どちらか」を選ぶという選択肢はありません。


✪ 2012.04.30 (No.5)<268>
「顧客中心」が革新を生む
ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏
[米アマゾン社長]

「地上で最も顧客中心の会社」が私たちのビジョンです。そして、望んでいるのは、全く異なる業界からもアマゾンが手本にされるようになること。

アマゾンの顧客中心主義は3つの「ビッグアイデア」に基づいています。1つ目は顧客を出発点にしてそこからさかのぼるというアイデア。2つ目は発明と革新を進め、先駆者になることを目指すというものです。3つ目は長期的な視野に立つこと。この3つの組み合わせがあるからこそアマゾンは特別な存在になり得ています。

我々は市場シェアを自分たちで決めることはできないと常に思っています。最高の顧客経験を提供することに重点を置いてビジネスを展開するだけ。あとは顧客がアマゾンのシェアを決めます。

最大の変化の1つはモバイル端末の普及でしょう。つまり、スマートフォンやタブレット端末です。これらは長い期間にわたってEC(注:藤巻 電子商取引)に影響を及ぼすでしょう。確実にアマゾンと顧客、双方にとって機会が生まれます。

出版社や著者にとって、電子書籍の最も素晴らしい点は、「いつも適量がある」ということです。これは大きな利点でしょう。もう1つは、ロジスティックスの流れがないことです。

出版社でも、卸業者でも、小売業者でも、あるいは編集者でも、仕事が何であってもいい。常に読者と著者の両方と強調すべきなのです。



🔷 編集後記


この元記事をアメブロに投稿したのは、9年前のことです(2014-02-02 00:58:10)。

読み直してみますと、「こんなことも書いていたのだな」「この個所に関心があったのだな」ということが思い出され、当時の自分の心境に思いを馳せています。

それだけ歳をとったのだと実感しています。

編集長インタビューの記事を読み返してみると、当時の経営者の心意気・信念・余裕・揺るぎない自信といったものが伝わってきます。

月日が経ち、自分だけでなく身の回りにも、環境にも変化があります。

しかし、経営に限らず、物事の本質は変わらないものです。

今回のインタビューの中から興味深い言葉を拾い出してみます。

吉永 泰之(よしなが・やすゆき)氏
[富士重工業社長]


の言葉から。

水平対向エンジンのおかげで、足元の販売は順調です。ただ、将来やってくる電動化時代への準備をしなければなりません。

🔴「将来やってくる電動化時代への準備をしなければなりません」

2012年の段階で、すでに「電動化」(モーターやバッテリー駆動)への意識がありました。EVの開発へ着手していたのかもしれませんが、具体的な青写真(古い表現で)が描かれていたかどうか?

現実にはどうでしたでしょうか? 現社名はSUBARUと変更になりましたが、SUBARUのEVはまだ一般にあまり知られていません。

現状を確認してみましょう。次の記事が見つかりました。

「経営資源をバッテリーEVに集中」スバル、2030年に世界販売60万台をバッテリー電気自動車に 水平対向エンジン亡き後のスバルどうなる?

どうやら7年後の話のようです。2012年から数えると18年後のことです。
SUBARUといえば、アイサイトや水平対向エンジンが有名です。

SUBARU(スバル)が2030年に電気自動車(EV)を年間60万台販売し、世界販売120万台に占める割合を50%にするという高い目標を発表した。
2026年末までにEVのSUV(スポーツ用多目的車)を4車種、28年末までにさらに4車種を発売し、EVのラインアップを8車種にするという。いったいスバルから、どんなEVが生まれるのだろうか。

「SUBARUという会社の舵をバッテリーEVに切り、経営資源をバッテリーEVに集中します」

2023年8月2日、スバルの大崎篤社長が記者会見で明らかにした新経営体制の方針は、スバルが国際競争で生き残るため、電気自動車メーカーに生まれ変わることを明確に宣言した。

ここで言う電気自動車とは、プラグインハイブリッドカー(PHEV)などを含まないバッテリーEV(BEV)のことだ。

(中略)

現在、スバルが販売するBEVは、トヨタと共同開発した「ソルテラ」しかない。これを2030年までに8車種に増やすということは、スバルの規模から考えると、全車種をBEV化するに等しい。

(中略)

スバルがBEVに舵を切り、経営資源をBEVに集中する以上、失うものがあるということだ。それは、スバルの魅力であり、安定性の高い走りを生み出す水平対向エンジンに他ならない。

スバルはラインアップの少ない中堅メーカーだが、他社がまねできない水平対向エンジンを核にレガシィ、インプレッサ、フォレスター、レヴォーグ、BRZなど個性的なクルマをそろえ、人気を得てきた。

大崎社長は記者会見で「BEVになってもスバルらしさを出していきたい。スバルらしい走りのよいBEVにしたい」と述べたが、果たして可能なのか。
BEVへの方針転換で、存在意義が問われるのはスバルのような個性的な中堅メーカーに違いない。

「経営資源をバッテリーEVに集中」スバル、2030年に世界販売60万台を
バッテリー電気自動車に 水平対向エンジン亡き後のスバルどうなる?
JCAST会社ウォッチ 2023年08月15日19時45分


一抹の寂しさを覚えるのは私だけではないでしょう。
SUBARUのパーパス(存在理由)は薄らいでしまわないでしょうか?



1回の投稿ごとに1カ月分にまとめたインタビューの概要を掲載します。

2007年1月8日号からスタートし、2013年7月までの6年7カ月分のバックナンバーだけで79件あります。

途中、数件記事が抜けている個所があります。
データを消失してしまったため現時点では再現できませんが、日経ビジネス電子版では「2011年10月から最新号まで」のバックナンバーが閲覧できるようですので、抜けている個所に該当する部分が見つかれば、追記します。

⭐ 『日経ビジネス』の電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で2022年9月12日号 No.2157 から定期購読をスタートしました。


「日経ビジネス 電子版使い方ガイド」(全24ページ)を見ると
「雑誌『日経ビジネス』のバックナンバーの閲覧について」で、
閲覧できるのは2011年10月から最新号と書かれています。

そのため、2008年8月18日、25日分の記事は確認できません。
しかも紙の雑誌は、はるか昔に処分しています。


『日経ビジネス』の記事を再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。

自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


クリエイターのページ


日経ビジネスのインタビュー(バックナンバー)


日経ビジネスの特集記事(バックナンバー)


日経ビジネスの特集記事


サポートしていただけると嬉しいです。 サポートしていただいたお金は、投稿のための資料購入代金に充てさせていただきます。