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部品創世記 ケイレツ崩壊後の新勢力図 2013.7.22 #16 2014-02-21 22:26:24

【『日経ビジネス』の特集記事】 #16  初出 2014-02-21 22:26:24 <バックナンバー>

⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所重要と考えた個所を抜粋しました。

⭐ 当面は、Ameba(アメブロ)に投稿していた記事を再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、「バックナンバー」と表示し投稿します。

⭐ 1つのテーマについて複数回投稿している場合(ほとんどが該当しますには、1つにまとめて投稿します。タイトルの後の日付は雑誌の発行日で、最後の日付は投稿日を表わしています。

⭐ 一方、新規で投稿した記事については、異なる壁紙を用意し、本文内に「タイトル」「雑誌発行年月日」を表示します。


再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。

自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


2022年6月14日現在、週刊誌『日経ビジネス』を購読していませんが、新たに電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で今年の7月以降に定期購読する予定です。



日経ビジネスの特集記事 #16


部品創世記 ケイレツ崩壊後の新勢力図 2013.7.22 1/3 2014-02-12 20:07:07

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>


ゴーンショック再び

「1999年、日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEO(最高経営責任者)は、鋼材や部品の調達価格引き下げを断行。部品調達の『ケイレツ』は崩壊した」

今や「ケイレツ」という言葉は英語化され、日本独特の商慣習は欧米の経営者に
知られています。

その「ゴーンショック」から14年後の今年、ゴーン社長は再び「ゴーンショック」を部品メーカーの「ケイレツ」に与えました。

今回は「モジュール開発」という概念を提示し、「ケイレツ」に大きな衝撃を与えたのです。

詳しく見ていくことにしましょう。

日産が標榜する「CMF(コモン・モジュール・ファミリー)」と呼ばれる、新方式が採用されました。

「(第1弾の)CMF1として順次導入する14モデル、年産160万台分を、コストや品質、供給能力を厳しく審査したうえで、まとめて発注した」そうです。

この話だけ聞くと、台数が多いなというだけの話で終わりそうですが、実は部品メーカーにとってはショックを隠せない内容だったのです。

「部品によっては発注量が従来の10倍、納入期間もぐんと延びて10年に達するものもあった。受注に失敗すれば、経営の屋台骨が揺らぎかねないほどの衝撃となる」

さらに衝撃波はそれだけにとどまらなかったのです。

「今や九州では、2次メーカーまでが韓国や中国のメーカーと同じ土俵で、直接対決を強いられている」

日本国内の2次メーカー同士の熾烈な競争だけでなく、外国のメーカーとの生き残りを懸けた競争が激化しているのです。

CMF1は、もう一つ大きな変化をもたらしました。

日産の部品メーカーは関東に集中していました。

ところが、
「日産はCMF1で、吸収を中心にした地場調達率を9割超に高めた。その『地場』の定義には、韓国や中国も含まれている」
のです。

コストに含まれる部品の運送費は大きいし、時間もかかる。

となると、部品工場は九州に近いことが前提となります。

さきほど、日産の部品メーカーの多くは関東にあると、お話しました。

そうすると、九州に工場を移転しなくてはならなくなります。

現実問題として、工場移転は簡単に決断できることではありません。

日産はこうまでしてCMFを推進していこうとしているのでしょうか?

「日産は世界市場を攻略すべく、多様なクルマを矢継ぎ早に、かつ安価に供給しようとしている。CMFを導入し部品共通化を始めたのは、そのためだ」

日本の部品メーカーは韓国や中国のメーカーとの競争で予断を許さない状況になっています。

「CMF1では、部品の約4割を中国や韓国から調達している。

日産の山内(康裕)常務は、『関東から九州に運ぶ部品は撲滅する』と断言しており、国内部品メーカーには九州進出を迫っている」

国内部品メーカーも、こうした状況に手をこまねいているわけにはいきません。

地位低下を食い止める方法を、日経ビジネスは提示しています。

「地位低下を食い止める1つの方法が、M&A(合併・買収)だ。

(中略)

M&Aの狙いは2つ。モジュール開発を見越し、幅広い技術と製品を手中に収めること。もう1つが、欧州など海外の自動車メーカーと取引実績にある企業を買収し、取り込むことだ。

そこで躊躇していては、規模に勝る世界の大手に飲み込まれかねない」

「モジュール開発」は世界で勝つためには必然である、という事実が世界の自動車
メーカーの共通認識になっています。

「日産はCMF導入によって、新型車の開発コストを3~4割、削減するという」

次回は、「日系部品VW(フォルクスワーゲン)殺到の舞台裏」と「スマホ各社、下請けに」をお伝えします。




日経ビジネスの特集記事 #16


部品創世記 ケイレツ崩壊後の新勢力図 2013.7.22 2/3 2014-02-21 22:42:08

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>


日系部品、VW(フォルクスワーゲン)殺到の舞台裏

前回は、日産が「ケイレツ」に衝撃を与えた、CMF(コモン・モジュール・ファミリー)を
中心にお伝えしました。

今、自動車業界ではVW(フォルクスワーゲン)の勢いが日増しに強まっています。

「同社(VW)は12ブランド・280超の車種を抱え、2018年にはトヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズを抜いて世界トップになると宣言している」

こうしたことからもVWの意気込みと漲る自信が伝わってきます。

VWの納入部品に対する基準はそうとう厳しい、という現実があります。

「ある部品メーカーの社長は『最もシビアだと思っていた日本の自動車メーカーよりも、基準が厳しい項目もある』と指摘する」

VW流の独自の手法があります。

「車種ごとに部品メーカーが固定化しがちな日本のクルマと違い、モデルの途中でも『良いモノがあれば変更する』のがVM流だ」

具体例として、優れたコイルばねメーカーとして知られるニッパツがあります。

「調達先を見直す過程で、ニッパツに白羽の矢が立った。今は『試用期間』だが、納期や品質の安定性で認められれば、中国など他の地域での受注に広がる可能性もある」

アップルの業績が鈍化した、と最近報道されました。

iPhoneの売上が縮小し、営業利益が10数%減少したということでした。

しかしながら、スマホ業界はまだ活気があります。


スマホ各社、下請けに

ケータイ時代とスマホ時代で大きく変わったことがあります。

それは、「部品供給の流れ」です。

ケータイ時代には、サムスン電子やノキア、日本の端末メーカーが「自社が設計し部品を発注」する一方で、米クアルコムや台湾のメディアテックなどのLSIメーカー、村田製作所やTDK、アルプス電気、シャープなどの部品メーカーが「新しい部品を提案」するという部品供給の流れがありました。

スマホ時代になるとガラリと変わりました。

部品メーカーのメンバーであった、米クアルコムや台湾のメディアテックの元々のLSIメーカーに中国のスプレッドトラムなどが加わり、この集団が部品メーカーに「スマホの設計図も併せて提供」し、サムスン電子やファーウェイなどの端末メーカーは
村田製作所やTDK、アルプス電気などの部品メーカーに、低級機には「設計図通りに部品を発注」し、高級機には「差異化部品のみ個別発注」という流れになっています。

つまり、LSIメーカーが力を持つようになり、「スマホ開発の根幹とある設計図を外部調達するスマホメーカーは、いわばLSIメーカーの下請け」となったということです。

部品メーカーが生き残る道はもうこれしかない、と言えるかもしれません。

「部品メーカーにとって、LSIメーカーに選ばれることこそがスマホメーカーに部品を納入する近道と言える」

次回は、そうした厳しい状況にある部品メーカーの中にあって、村田製作所はダントツの強さを発揮している秘密をお伝えします。




日経ビジネスの特集記事 #16


部品創世記 ケイレツ崩壊後の新勢力図 2013.7.22 3/3 2014-02-21 22:53:28

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>


強さを点から面へ

京都には世界的に知られた日本企業が集まっています。京セラ、日本電産、オムロン、島津製作所、堀場製作所、ロームなどなど。

スマホに絞ると、何と言っても村田製作所が、最初に名前が挙がります。

村田製作所の強みはどこにあるのでしょう。


スマホ部品の世界で存在感を高めている代表選手、村田製作所。

コンデンサーなどが主力商品だったが、今、開発資源を集中投入しているのが通信用モジュールだ。

スマホメーカーとLSIメーカーの勢力図が大きく変化したとしても、この分野だけは主導権を握り続けられるよう、伏線を張っている。

日経ビジネス 部品創世記 ケイレツ崩壊後の新勢力図  P.37                    


スマホは地域ごとに周波数帯が異なるので、周波数帯を切り替えるスイッチが重要になります。

スイッチに限らず、周辺部品をモジュール化しているのは、村田製作所だけなのです。


地域で違う周波数帯に対応するためには、受信信号を切り替える「スイッチ」、特定周波数の信号を取り出す「SAWフィルター」、信号を増幅する「パワーアンプ」、ノイズを減らす「コンデンサー」など一連の部品が必要だ。

村田が2011年、ルネサスエレクトロニクスからパワーアンプ事業を買収したのは、それらの部品をモジュールとして供給できるようにするためだ。

買収の結果、上記のすべての部品を持つ企業は世界で村田だけになった。

日経ビジネス 部品創世記 ケイレツ崩壊後の新勢力図  P.38                    

  

その結果、どういうことになったのでしょうか。


調達先がどう変わろうと、端末メーカーは村田に頼らなければスマホを作ることができなくなったのだ。

日経ビジネス 部品創世記 ケイレツ崩壊後の新勢力図  P.38                   

  

さらに強みを強化した理由があります。


単品ではなく、複数の部品を組み合わせたシステムとしてブラックボックス化すれば、設計を牛耳るLSIメーカーとも対等な力関係を維持できる。

日経ビジネス 部品創世記 ケイレツ崩壊後の新勢力図  P.38                   

 

村田製作所が部品を供給しなくなったら、サムスンはギャラクシーシリーズを販売することができなくなるのです。




🔷編集後記

当時から村田製作所は、スマホの製造に重要なキーパーツを供給する企業であることは関係者に認識されていました。

ただ、村田製作所は完成品を提供する企業ではないため、一般の人たちにはあまり知られていませんでした。

村田製作所に関して、noteに投稿しましたので、ご覧ください。

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