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【ASMLとは何か?(3)】

🔷 半導体業界でオランダのASMLの存在感が日々増大しています。

ASMLとは何か?(3)

ASMLは「2020年(令和2年)現在、世界唯一の極端紫外線リソグラフィ(EUVL)装置メーカー」(Wikipediaから)です。

ASML

🌟 ASML

過去記事はこちらです。

🌟 ASMLとは何か?(1) 

🌟 ASMLとは何か?(2)


最初は2回で終了するつもりで、「ASMLとは何か?」というテーマで投稿しましたが、書きたいことの7割程度しか書けませんでした。

そこでもう少し補足してお伝えしようと考えました。

特に次の記事はぜひ読んでいただきたいという気持ちが強くなり、今回「ASMLとは何か?(3)」として投稿します。


半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか

🔶 テーマはズバリ「半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか」です。

3年半以上前(2018年03月02日 11時00分 公開)の記事ですが、上記テーマを詳細に分析しています。

🌟 半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか


半導体露光機とは何か

まず、半導体露光機とは何かについて説明しています。

半導体露光機は大きなガラス板に複雑で微細な電子回路のパターンを描いたフォトマスクを、極めて高性能なレンズで縮小して、シリコンウエハーと呼ばれるシリコンの板の上に塗布した材料(フォトレジスト)に強いレーザー光を照射して感光させる装置だ。内部は光学、機械、化学、ソフトウェアなどのハイテク要素技術が統合され『半導体製造の工程で最も重要な部分を担っている』(田路氏)ともいわれ、2トントラック程度の大きさがある」

🔶 とても重要な部分であることが分かりますね。


半導体露光機メーカーは世界で3社

半導体露光機メーカーは世界で3社しか残っていないそうです。

現在、半導体露光機メーカーとして残っているのは、日系企業であるニコンとキヤノン、そしてオランダのASMLの3社である。ニコンとキヤノンは世界的にも有名なカメラメーカーであり、一方のASMLは、1984年にオランダのフィリップス(Philips)の1部門とASM International(ASMI)がそれぞれ出資する合弁会社として設立された」


ASMLとニコンの戦略的な違いが勝敗を分けた、4つの要因

ASMLとニコンの戦略的な違いが勝敗を分けた、4つの要因は下記のとおりです。

① [シンプル]対[複雑なデザイン]

② [使いやすさ]対[差別化]

③ [主に外注、コア部分は自社で担当]対[ほとんどを内製化]

④ [共同論文]対[単独論文]

「ニコンがメイン顧客とするインテルは、マイクロプロセッサを生産しているが、その製品は複雑なデザインとなっている。(中略)それに比べて、サムスン電子やTSMCはDRAM、ASICなどのより汎用的な製品を生産しており、差別化よりも使いやすさや、統一されたパフォーマンス(どの工場でも同じ製品をつくれなければならない)が重要となった

ニコンの製品は投影レンズ系、照明系、制御ステージ、ボディー、アライメント、ソフトウェアまで、光源以外は自社で調達している。ASMLは投影レンズ、照明系はZeiss(カールツァイス)で、制御ステージはフィリップスなど、コンポーネントの全てを外注しソフトウェアだけ自社で担当した。

「20年分の学会論文の著者分類を行ったところ、ASMLは共同論文が多く、外部のサプライヤーだけの論文が多数みられる。ASMLに関する論文を外部企業が発表することは、自律的に開発分担したことを示している。一方、ニコンは単独論文が多く、共同論文、外部だけの論文はASMLと比べて大幅に少なかった

🔶 つまり、「個別の顧客対応よりも汎用品プラットフォーム作りを進めたことが見える」という言葉が多くを語っていると思います。


iモードとガラケー

半導体産業の話とは異なりますが、これら一連の話で思い出しませんか?

そうです!

1つはドコモが開発したiモードであり、もう1つはガラケー(ガラパゴス携帯)です。

古い話ですね。知らない人が多いかもしれません。

どちらも日本国内だけで完結するサービスや製品で、最初から世界中で使ってもらおうとする発想がなかったことが敗因です。

2回で終わりにするつもりでしたが、ここまで来たら納得するまで書いてやろうと思い、一気に書き上げました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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