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【大人の流儀 伊集院 静 心に響く言葉】 Vol.27

大人の流儀

 伊集院 静さんの『大人の流儀』から心に響く言葉をご紹介します。私は現在『大人の流儀』1~10巻を持っています。このうちの第1巻から心に響く言葉を毎回3件ずつご紹介していこうと考えています。全巻を同様に扱います。

 時には、厳しい言葉で私たちを叱咤激励することがあります。反発する気持ちをぐっと堪え、なぜ伊集院さんはこのように言ったのだろうか、と考えてみてください。しばらく考えたあとで、腑に落ちることが多いと感じるはずです。

 帯に自筆で「ちゃんとした大人になりたければこの本を読みなさい」と記しています。

 ご存知のように、伊集院さんは小説家ですが、『大人の流儀』のような辛口エッセーも書いています。



「愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々」から

伊集院 静の言葉 1 (79)

 
 人間は己ではどうしようもできないことが一生で起こり得るし、そうなった人を見守ることは使命というか人間は当り前に手を差しのべるのだと想うようになりました。 故郷に戻って、後輩の野球部の指導をしたりしましたが、日々やっていたことはギャンブルと酒でした。これに時間と体力の大半を使っていました。金もそうです。よくあれだけの金を賭け、その借金ができたものだと感心します。

大人の流儀 1 伊集院 静                               




「愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々」から

伊集院 静の言葉 2 (80)

 
 彼女の死後、七回忌が終わってから、今の妻に出逢いました。思わぬことで再婚しましたが、同じ女優ということで戸惑いもありました。けどこちらが恨まれることはどうでもいいと思いました。彼女も一人でさまざまなことを切り抜けてきていたのでしょう。よく面倒を見てもらっています。

大人の流儀 1 伊集院 静                               



「愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々」から

伊集院 静の言葉 3 (81)

 
 これまで雅子に関して執筆の依頼がたくさんありましたが、再婚した時、今の妻である博子のご両親に、雅子のことはいっさい取材を受けませんと話しました。心配でしょうし、それにこれまでお断りしたのは特別な理由があったわけではなく、冷静に文章を書けなかったのが本当のところです。

大人の流儀 1 伊集院 静                               



出典元

『大人の流儀 1』
2011年3月18日第1刷発行
2011年7月14日第11刷発行
講談社



✒ 編集後記

『大人の流儀』は手元に1~10巻あります。今後も出版されることでしょう。出版されればまた入手します。

伊集院静氏は2020年1月にくも膜下出血で入院され大変心配されましたが、リハビリがうまくいき、その後退院し、執筆を再開しています。

伊集院氏は作家にして随筆家でもあるので、我々一般人とは異なり、物事を少し遠くから眺め、「物事の本質はここにあり」と見抜き、それに相応しい言葉を紡いでいます。

🔷 『大人の流儀 1』の最後の章愛する人との別れ~妻・夏目雅子と暮らした日々についてお伝えします。

しばらく続きます。

「人間は己ではどうしようもできないことが一生で起こり得るし、そうなった人を見守ることは使命というか人間は当り前に手を差しのべるのだと想うようになりました」

経験があって初めて口から出てくる言葉だと思います。
いくら頭で考えても、経験がないと出てくる言葉は皮相的になります。
上っ面な言葉で語っても、説得力がありません。

「人生には三つのサカがある」とよく言われます。

上り坂、下り坂、そしてまさかです。
私は60有余年の人生で、三つのサカをすべて経験しました。

できれば「まさか」は経験したくなかったのですが、「人間は己ではどうしようもできないことが一生で起こり得る」ということを実感しました。


夏目雅子さん ガールズログから





🔶 伊集院静氏の言葉は、軽妙にして本質を見抜いたものです。随筆家としても小説家としても一流であることを示していると私は考えています。


<著者略歴 『大人の流儀』から>

1950年山口県防府市生まれ。72年立教大学文学部卒業。

91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。

作詞家として『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』などを手がけている。





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