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■第12回 「全体最適」が一向に進まない本当の理由

1 重要性が語られながら、一向に進まない「全体最適」問題

 「部分(局所)最適ではなく、全体最適を目指そう」という言葉は聞いたことがある、いや何度も聞かされているという方は多いのではないでしょうか。

 自部署、自部門が最適状態でも、全社的な視点、顧客や社会の目線に立つと最適状態とはいえないことが往々にしてある、もっと視点を上げて考え、行動しようという文脈で語られます。私もずいぶん以前からこの言葉を耳にしていますし、仕事でさまざまな企業のコンサルティングに関わる中で、課題に挙げるものの容易には解決できない、まさに組織にとっての“あるある”問題のようです。

 「部分最適ではなく、全体最適を目指そう」という話は、昨今始まったことではないでしょう。

 なぜここに来て声高に叫ばれるようになってきたのでしょうか。1つには社会や顧客のニーズが変化するスピードが速くなり、グローバル化と相まって多様化もしていること。またAIやロボット、IoTといった最新テクノロジーの導入によって、提供する製品やサービスの価値が飛躍的に変わる可能性が出てきたこと。

 こうした変化によって、「今現在、全体最適かどうか」が常に問われるようになってきたからではないでしょうか。一言で言えば競争の激化です。勝ち負けは「部分最適」の合算ではなく、「全体最適」として会社が提供できる最終価値の大小で決まります。

 今現在とは言いましたが、必ずしも直近の売り上げや利益といったものだけを指しているのではありません。数値化できない将来価値も含めて今現在どうあるべきかを判断するべきでしょう。「全体最適」は、最近では生産性向上と労働時間削減のための働き方改革とセットで語られることもあるようです。

 今回は「部分最適」ではダメだと会社から言われて誰もが理解していながらも一向に進まない「全体最適」を、どのように実現していけばよいか。

 その本当の理由を探るとともに、打つべき対策についてお話ししてみたいと思います。

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