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オッペンハイマー(2023)

クリストファー・ノーラン監督「オッペンハイマー」を北米版4K UHDで見て、とても満足しました。結果的に核兵器を生み出すことになった1人の学者の人生を追う、完成度の高い重厚な伝記映画。

ただ、淡々と彼の人生を追いかけるのではなく、ノーラン監督得意の時系列を巧みに入れ替えるテクニックで、観客を飽きさせない作りになっています。

第二次世界大戦後に上院で行われたオッペンハイマーがスパイ容疑などをかけられた公聴会の場面、その前に実施されたオッペンハイマーへの密室聴聞会の場面、そこで語られる証言の数々と絡めながら、学生だったオッペンハイマーがやがて教鞭を取る立場になり、さらにマンハッタン計画に誘われて原爆開発チームのリーダーとして原爆を完成させるまでの経緯を描くという構成。

やがて、自分が作ってしまったものの恐ろしさから水爆開発に反対し、赤狩りのターゲットとなって公聴会にかけられる。研究熱心な学者が英雄として称賛され、その後売国奴扱いされる人生。

全ての役者の落ち着いた演技に隙がなく、過剰にドラマチックに描かずとも飽きさせない画作りと編集が見事で、見終わって早速もう一度頭から見たいと思った映画でした。

来年の劇場公開が楽しみです。

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