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GUNDA/グンダ(2020)

ヴィクトル・コサコフスキー監督の「GUNDA」を観てきた。

93分にわたり、家畜として育てられている豚の親子の日々を(ときたま鶏や牛も登場する)何の演出もなく、ナレーション、字幕、音楽も一切なしのモノクロ映像で見せる。

そのまんま、豚の日常。自然音と豚の鳴き声だけが聴こえる。

いろいろ理屈をつけようと思えば出来るのだが、「制作者の感情を排除し、動物たちの息遣いや、どうコミュニケーションを取るのかを見せたかった」という明確な意図があって撮られている映像に解釈は無用。

ただただ、監督の意図した通りに、そこにあるものをそのままに受け止めたい。

そんな内容だけに、「この映画を劇場で観るぞ!」と決意するにはちょっと勇気がいるけど、逆に劇場という逃げ場のない空間で、黙ってその自然の世界に耽溺してこそ価値のある作品ではある。

【ネタバレ追記】
でもまぁ、そんな余白だらけの映画なので、お母さん豚のお乳を飲もうと場所取り合戦する子豚たちの姿を延々と見たり、だいぶ育って農場の中をわちゃわちゃと歩き回る子豚たちの姿を延々と見ていると、どうしても余計なことを考えちゃうわけですよ…

この映画、このまま平和理に終わるのか? もしかして、最後に人間の食卓の風景で終わったりしないだろうかと冷や冷やモノで。怖い映画を見過ぎて、いつどこで恐ろしい展開になっても大丈夫なように先読みする癖がついちゃってるのでね。

そこまでの展開にはならなくて良かった。

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