見出し画像

スパークス・ブラザーズ/アネット(2021)

レオス・カラックス監督「アネット」は、ミュージシャン「スパークス」がストーリー仕立てのアルバムとして構築していた物語が原案で、楽曲は彼らが担当している。

では、そもそも「スパークス」とは何者か? それを知るのにピッタリなのが、エドガー・ライト監督のドキュメンタリー映画「スパークス・ブラザーズ」だ。

兄ロンと弟ラッセルのメイル兄弟が1960年代に結成した「スパークス」は、デビュー以来、実験精神あふれる先進的な楽曲とライブパフォーマンスを展開し、たまに売れても次回作ではまた新たなチャレンジのために作風をガラリと変えてしまうので売れ続けることはなく、それでも熱心なファンの支持を集めながら半世紀以上も活動を続けている謎に包まれた唯一無二のバンド。

売れることより、新たな音楽の世界を切り拓くことに軸足を置いた彼らの軌跡は、僕みたいにスパークスを知らない人が観ても面白い"創造"に向き合う内容で、「芸術性と商業性」なんてことを少しでも考えたことがある人にはオススメの作品です。

この「スパークス・ブラザーズ」の中で彼らの子供時代からの映画への思い入れや、音楽や映画への新しい挑戦を観てからの映画「アネット」への流れはとても自然で、「アネット」の冒頭で兄弟が演奏している姿には微笑ましくさえ思ってしまう。同タイミングで公開された日本で立て続けにこの2作をスクリーンで観ることが出来たことは幸せだった。

スパークスの兄弟の音楽と映画への思い入れを知った後で観る「アネット」は、感慨深い。逆にその前提がなければ、もっと理解不能だったと思う。

そう、このヘンテコで斬新でチャレンジングなスパークス兄弟と、同じく普通じゃないレオス・カラックス監督が作り出した「アネット」は、奇妙奇天烈なロックオペラとして独特の世界を見せてくれるのです。一般的にはちょっとオススメしにくいですけどね…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?