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淘汰が進む賃貸管理会社

不動産業務に従事して10年以上が経ちましたが、不動産業界は大きく様変わりしました。これまでブラックボックスだった業務の内部がインターネットにより情報の共有が進み、さらに業務効率が改善されたことで不動産会社に依存しなくても個人ができるビジネスの範囲が大きく広がりました。

保証会社の躍進

インターネットとは別ですが、不動産業を行うにあたり最も手間がかかる業務の一つが滞納督促です。保証会社がなかった時代は管理会社やオーナーが直接入居者の家に行き督促をしていました。当時は携帯電話もなく連絡がつかなかったり、やっと会えたとしてもまともにコミュケーションをとることができない人もいて、大変な労力がかかるものでした。

これが保証会社の増加、保証内容の拡充とともに保証会社へ滞納督促という面倒ごとを丸投げができるようになったのです。保証会社が増えた要因として2020年の民法改正が一つのきっかけとなりました。ここでは詳しく説明しませんので、気になる方は下記のサイトをご参照ください。

営業力の均一化

10年以上前の話ですが、集客力のある賃貸店舗には最低一人はトップ営業マンと呼ばれる人物がいました。繁忙期には一人で月20件以上契約、月の売上が300万を超える(タワマンなどの高額物件ではない)強者もいました。しかし昨今ではこういったトップ営業マンは影を潜めています。広告サイトの充実化コンプライアンス制度により営業力の差別化がしづらくなったことが背景にあります。

つまりどの管理会社、賃貸店舗に依頼しても客付け能力にそれほど差が現れなくなってきています。

管理会社はサバイバル戦に突入

生き残りをかけて大手管理会社は様々な商品を提案しています。
・無料インターネット → 賃借人が単独で加入するよりも安価
・保証会社 → 管理会社独自商品を開発。サービスは他と同等以上で保証料が安い。
・設備補償 → 月々数百円で入れる設備補償。
・キャッシュレス → さらにポイントがつく。
・ペーパーレス → SDGsを推奨しCSRをPR。コマーシャルにも。

一定数の事業規模がないと採算があわない商品も多くあり、中小の管理会社は簡単に追随できません。このように中小の管理会社はこれ以外のところで他社と差別化のために独自のアイディアが求められます。未だに紙媒体で営業している時代遅れの管理会社はそう遠くない将来消えていきます。最近では後継者がいないことも相まって管理会社M&Aが増えています。

オーナーの利益追求は止まらない。

大手管理会社が有利かといえば必ずしもそうとは言い切れません。オーナーは常に利益最大化を求めています。ある程度コスト削減(管理料の下落)が進んだ後は、付加価値が高い会社を選ぶ傾向に移ると思います。

空室対策、賃料増額交渉、立退き交渉、建築etc

このように不動産と相関性が高いビジネスから派生していき、将来的には確定申告や決算報告など会計処理を不動産会社が一括で引き受けるところがでてくると予想します。

不動産事業の拡大には管理、会計、融資の3ポイントが重要です。不動産会社は税務が分かっていないし、税理士は不動産が分かっていないことが多いです。相続対策一つとっても税理士の提案で相続税は圧縮できたが、不動産売却で損をしたという話が本当にあります。

管理運営だけでなく、融資を伸ばせる会計処理をしてくれる管理会社であれば、それは大きな差別化になります。ただ不動産実務と税務が分かっている人ははっきり言って0に等しいので、新規参入のハードルは相当高いと思います。

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