43条但し書き道路に接道する収益物件
原則、敷地が建築基準法上の道路に2m接道していない場合は、建物の再建築ができません。
しかし、43条但し書き道路に接道している敷地に関しては、建築審査会の許可を得ることができれば再建築が可能です。
43条但し書き道路に接道した物件は、それほど多くありません。私が携わった案件もこれまで2,3件程度です。
実例を元に解説します。
前面道路を複数の所有者が保有しているケースです。
敷地延長のようにも見えますが、31-6の通路部分は2mの接道を満たせないほど細いです。
建築基準法上の道路ではなく通路です。
建築基準を満たすには4m以上の道路幅員が必要ですが、基準を満たしておらず、さらに42条2項道路でもありません。
42条2項道路の申請をすれば許可が下りるかもしれません。
43条但し書き道路には注意点があります。
1.評価額が低くなるため、融資がつきづらい。
2.セットバックが必要になることもある。
3.戸建てか二戸建て長屋しか建てられない(自治体による)。
※横浜市は100㎡以下の延床であれば、共同住宅OK。
4.再建築の度に建築審査会の許可が必要。
5.分筆が難しい。
融資がつきづらいとよく言われますが、住宅ローンはそれほど減額になるということはないようです。
借地もそうですが、融資が全くつかないということはありません。
一方で、アパートローンは結構厳しいです。
もちろん立地や建物の築年数などにも左右されますが、LTV60~70が標準と思っておいた方がいいです。
2~4は他の記事でもよく見る内容なのでここでは省略します。
5については、三鷹市の案件の相談を受けた際に知りました。
100坪程度の敷地で二戸の長屋にするにしては規模が大きすぎるため、分筆して2棟の長屋を検討したのですが、市役所に確認したところ、43条但し書き道路に接道する敷地の数が増えると管理が大変と言われました。結論、分筆は不可という回答でした。
借地同様投資家には嫌煙されやすい43条但し書き道路接道敷地ですが、収益物件として検討する場合は、投資分析次第です。
立地が良ければ賃料水準も高く、空室リスクが低いです。
但し書き道路かどうかは入居者には全く関係ない話ですから、賃料も相場並みにとれます。
融資がつきづらいとは言え、「このエリアの物件がほしい!」という好立地ならではの需要もあります。
さらに言えば、グロスがそれほど大きくなければ頭金をだしてでも買う投資家がいます。売れるかどうかは、立地、グロス、利回りのバランス次第です。
一昔前に未接道物件を投資家に買わせ、接道義務を満たしてから売却なんてことを売りにしている業者がいましたが、接道義務を満たせるかどうかははっきり言って運の要素が強いです。
そんな簡単に交渉が上手くいくなら、元の所有者がやってるはずですから。
こういった投資趣向を否定するつもりはありません。
どちらかといえば好きな方です。
注意すべき点は、ギャンブル性が強い案件は成功した時の利益に目を向けがちですが、失敗した時のリスクヘッジと損失の最小化をどうするかの方がよっぽど大切ということです。
(おまけ)
なぜ42条2項道路の申請をせず、43条但し書き道路のままなのか?
三軒茶屋の案件です。
42条2項道路の申請すると両脇の土地の所有者はセットバックが必要になります。
セットバックにより自身の土地が減ってしまうため所有者が納得しなかったのではないかと思います。
確認をとったわけではないので推測です。
道路幅員が約3.5mですのでセットバックは0.25m(×2)程度と思われます。
接道幅は約15mですから、セットバック面積は0.25m×15m=3.75㎡です。
このエリアは坪300万(㎡単価約90万)程度しますから、セットバック部分だけでも3.75㎡×90万=3,375,000円の価値があるわけです。
道路になってしまえば価値はゼロですから、所有者はその分価値が減少してしまうと考えるでしょう。
さらに再建築する際に3.75㎡だけ建物を建てる面積が減少しますから、セットバックを嫌がる土地の所有者は結構多いわけです。
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