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戦争を学ぶ

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戦争を学びたい人のためのマガジンです。軍事学のテーマを中心に、戦略、戦術、兵站、戦史などに関する記事を収録します。
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記事一覧

なぜ戦間期の英国はドイツとの対立を避け、宥和に動いたのか? The Ultimate Enemy(19…

1933年にアドルフ・ヒトラーが新政権を発足させてから、ドイツは将来の戦争を見据え、軍備を積…

論文紹介 なぜソ連は1979年にアフガニスタンに侵攻したのか?

1979年12月、ソ連は国境に集結させた部隊をアフガニスタンの領域に侵攻させ、アメリカを含めた…

日中戦争で中国が仕掛けた交通基盤の破壊工作にどのような効果があったか?

日中戦争(1937~1945)で中国共産党を率いた毛沢東は、日本軍の脅威に対して遊撃戦として知ら…

論文紹介 中東欧に構築されたソ連式の兵站システムの長期的影響

軍事思想を読み解く上で、兵站は二つの側面において重要な意味を持っています。第一に、兵站は…

メモ 訓練と経験が部隊の戦闘力に及ぼす影響:ラ・エ・デュ・ピュイの戦闘(1944)

1944年7月3日、北フランスのノルマンディー地方に上陸し、内陸方面に向かって前進を開始したア…

殺戮や破壊ではなく、精神的な衝撃の軍事的な重要性を強調したThe Human Face of War(…

イギリス陸軍軍人ジム・ストー(Jim Storr)は戦闘における奇襲の意義を改めて確認し、その効…

メモ 2021年のクーデターで一変したミャンマーの政治情勢

東南アジアのミャンマーでは2021年2月1日に軍部がクーデターによって権力を掌握しました。しかし、軍部の支配に抵抗する少数派民族は武装闘争を開始し、2024年2月1日現在に至るまで内戦が続いており、終わりが見えない戦いが続いています。 2020年11月8日に国連の支援で選挙監視が実施される中で投開票が行われた結果、アウンサンスーチーが率いる与党の国民民主連盟が連邦議会の上院で85%、下院で81%の議席を獲得しました。軍部を基盤とする連邦団結発展党の獲得議席は上院で7、下院で

メモ なぜ中国はベトナム戦争に介入したのか?

1965年、中国は北ベトナムに戦闘支援部隊を派遣することを決定しました。当時、北ベトナムはソ…

第一次世界大戦におけるフランス軍の戦略と作戦を分析したPyrrhic Victory(2008)の紹…

第一次世界大戦(1914~1918)でフランスは西部戦線の作戦で中心的な役割を果たしました。フラ…

論文紹介 19世紀の長い平和の後で英国海軍の戦術能力が大きく低下した理由

イギリス海軍はナポレオン戦争(1804~1815)を通じて数多くの戦闘に参加し、その能力の限界に…

論文紹介 冷戦時代の欧州で軍事バランスはどのように分析されていたのか

冷戦の主要戦域と見なされていたヨーロッパでは、アメリカを中心とする北大西洋条約機構(NATO…

論文紹介 なぜ英国は1982年のフォークランド侵攻を予見できなかったのか?

1982年4月1日、イギリスが統治する大西洋の離島フォークランド諸島にアルゼンチン軍の部隊が上…

メモ クーデターを警戒する国家の指導者は、軍隊の能力を低下させる傾向にある

非民主的な政治体制の指導者は、合法的な手段で地位を追われることはあまりありませんが、その…

論文紹介 戦争のエスカレーションから抜け出せない指導者の心理を読み解く

研究者は戦争に関する意思決定過程を考えるとき、その戦争を即座に中断したとしても取り戻せない埋没費用(sunk cost)の大きさが重要であることを指摘しています。心理的アプローチで戦争の原因を考察する研究が進展したことによって認識されるようになった知見であり、例えば以下の論文は成功の見込みが乏しいにもかかわらず、指導者が戦争をエスカレートさせる理由を説明したものです。 Taliaferro, J. W. (1998). Quagmires in the periphery: