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他の法律事務所による事務所理念の剽窃について

今般、他の法律事務所のホームページにおいて、法律事務所アルシエンの「しなかやな解決力」という事務所理念の一つを含めてアルシエンのホームページの記載を丸々コピペされているというが発覚しました。
※私たちがこれを認識したのは2021年6月21日でした。

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××法律事務所へ依頼する理由

しなやかな解決力で安心感を与え続けます。
相談に来られる方々は、法的な知識や形式的な回答を得るために相談に来られているわけではありません。あくまで、困りごとを解決するためにご相談にいらしていただいています。
私たちはこの点を強く意識し、形式的な法律による回答ではなく、相談者の根本の問題は何か、実質的な解決は何かを考え、ベストな解決をご提案・実行します。

「××法律事務所へ依頼する理由」という事務所のウリに関する説明という根幹部分が、以下のとおり丸々アルシエンの事務所理念のコピペでした。

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また、法的手続に関する説明についても以下の対照表のとおり多数の箇所の文章が一致しています。法的手続についての説明であれば一定程度類似してしまうことはあり得るとしても、事務所理念に始まり手続の流れまで文章のほとんどが一致していることから、偶然に一致したなどということは考えらません。

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理念の剽窃は私たちの思いを踏みにじる行為です

理念に関する部分の文字数はたったの175文字に過ぎません。

しかし、このたった175文字を書くのにどれだけの苦労、工夫をしているのかの想像はできないものなのでしょうか。

そもそも、今回剽窃されたしなやかな解決力という言葉は造語です。
以前も書いたとおり、アルシエンのキャッチコピーを決める際に所内公募し、その結果日高先生が考えてくれたものを皆で選んだものです。
当然、事務所キャッチコピーとして採用した時点でネット検索をして他の事務所が使用していないことを確認しています。
※本記事を掲載した時点で完全一致検索をすればアルシエンと××法律事務所しかヒットしませんでした。

事務所のキャッチコピーとしてホームページにも使い、採用活動にも使い、事務所に掲げている書にも一番目に書いてもらっています。

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そして、ホームページの記載も、私が、どのように記載すれば事務所みんなで選んだしなやかな解決力という事務所理念の意味することがホームページを見てくれた方に簡便に伝わるかを一生懸命考えて書き上げています。ライターに頼むわけではなく、私自身が業務の合間を縫って考えに考え抜いた文章です。

事務所の理念は、事務所の根幹部分でありライターに適当に書いておいてと頼むようなものではなく、事務所みなで作り上げたものなのです。

そして、その理念に共感して集ってきた仲間たち、その理念に共感して私たちを選んでくれた多数の依頼者のおかげで法律事務所アルシエンは成長してきたのです。

今回、先方の法律事務所が、自身の事務所が選ばれる理由として、アルシエンのメンバーみなで作り上げた事務所理念そしてその説明文をそのままコピペしたという行為は、その苦労を踏み躙るものであり、到底許せるものではありません。

また、ネット上の誹謗中傷対策を謳う弁護士でありながら、自身の事務所が選ばれる理由を、競合相手といえる清水が共同代表を務めるアルシエンの事務所理念や記載されている手続の流れに関する説明をほぼそのままコピペするという行為は怒りを通り越し、呆れるしかありません。

権利のために闘います

私たち弁護士は権利を侵害された方たちに寄り添う仕事です。

ひとたび私たちの権利が侵害されれば、当然全力で戦いますし、そのために費用がかかることは惜しみません。

ましてや今回は著作権侵害を伴う事務所理念の剽窃です。
ここで戦わなければ事務所理念に共感して集まってくださった仲間たち、事務所理念に共感して数ある法律事務所の中からアルシエンを選びご依頼いただ依頼者の方たちを裏切ることになってしまいます。

ということで、被害を知った当日に弁護士に依頼し、即日、削除と謝罪を求め通知文を出してもらいました。

※アルシエンには著作権を得意とする河野先生もいるのですが、プロといえども自分たちのことを冷静に自分たちでやるのは難しいので他の事務所の先生にお願いすることにしました。

今後、どのような結果になるかは分かりませんが、私たちは私たちの理念を踏み躙った相手と戦っていく所存です。

2021/7/6追記

追記① 

顛末と本noteを投稿した経緯について

通知書は、6月22日午前中に先方に到達しましたが、その日は先方からの連絡がありませんでした。私どもも代理人弁護士も、先方の弁護士にHPがアルシエンの剽窃であることを伝えればすぐに対応してもらえるかと思っていたのですが、そのような結果ではありませんでした。そのため、まず本noteを作成し投稿しました。
noteの内容も代理人弁護士に監修をしてもらいました。被害に関する私たちの気持ちを伝えることは尊重いただきながらも、理念やキャッチコピーのみの剽窃では著作権侵害とはならないことから、法的な説明部分も極めて酷似していることを触れておいた方がよいなど、適切なアドバイスをもらいました。なお、通常はnote記事は投稿すると投稿した旨の告知をするのですが、本noteについては一切告知はしておらず、ほとんどビューはありませんでした。

そして6月23日になり、弁護士本人ではなく先方の法律事務所のスタッフから代理人弁護士宛に連絡がありました。
曰く、HPの修正はするが業者に依頼するので時間がかかるとの回答で、特に謝罪等もないようでした。

この回答について代理人弁護士からは、「責任ある弁護士が事態を正確に認識すればそのような悠長な対応になることはないと思うので、正しく事態を把握しているのか不安である。」との意見をいただきました。
その上で、「早急に対応をしてもらうにはスタッフレベルではなく代表弁護士に正しい認識をもってもらうことがよい。弁護士としては事務所理念に込めたこちらの思いも理解してくれるはずだ。クローズなSNSでnoteを告知してみたら知り合い経由でこちらの想いも届くのではないか。」というアドバイスをもらいました。

そのため、私と清水がFacebookのみで本記事について言及するという方法を採りました。

この点、他の告知方法として、北や河野など弊事務所に所属している他の弁護士のFacebookやtwitterで投稿をしてもらうという方法もあり得たので、告知の方法についても、代理人弁護士に相談しました。
代理人弁護士からは、こちらの事情を理解してもらうための方策なので(業界外への)発信力が強い北や河野は投稿しない方がよいという回答をいただきました。
そのため、事務所内連絡ツールを使い、これから武内と清水で剽窃被害についてFacebookに投稿するが、代理人弁護士の指示により本件には言及しないで欲しいとお願いをしました。

Facebook投稿後にある程度情報も広まり、結果として先方の代表弁護士の方から直接代理人弁護士宛に連絡があり、即日、HPは修正対応がなされ、謝罪もいただきました。

それ以上の情報の拡散を防ぐべく、HPの修正を確認した時点で代理人弁護士の指示により、本noteをいったん非公開にするとともに、拡散した情報を基にnoteのリンクを辿ってきた方に解決に向かっていることを告知するために短文投稿をするという措置をとりました。また、Facebookについても当該投稿を非公開にしました。

※本顛末はこちら側から見た経緯であり、先方の認識している経緯とは必ずしも一致しません。

追記② 先方の謝罪文掲載について

7月2日時点で先方のサイトに謝罪文が掲載されていることを確認しました。

弁護士法人アルシエン様の記事の無断盗用疑惑について

もっとも、先方のホームページのトップページにリンクはなく、「お知らせ」にも掲示がないので、到達が困難な方も多いと想います。先方も盗用の事実をお認めいただいたことや、盗用の経緯についての説明のために、こちらで先方の謝罪文のURLについても報告することにしました。

※なお、「弁護士法人アルシエン」とありますが、法律事務所アルシエンは弁護士法人ではありません。(※7/7追記:事務所名についてはご修正いただいたようです。ご修正いただきありがとうございました。)


追記③ 中澤先生への謝辞

本件で、私たちは中澤佑一先生(弁護士法人戸田総合法律事務所)に対応をお願いしました。

中澤先生はHPの剽窃をたまたま見付けてくれた先生であり、ネット上の誹謗中傷対策分野において清水のライバルであり盟友と言える先生です。

ただ、HPの剽窃を発見してくれたからとか清水の盟友だからという理由で中澤先生にご依頼をしたわけではありません。

本件では後述する理由により弊事務所が被害にあったこと、そして被害回復をしたことを周囲に告知する必要がある案件と考えており、そのためにはHPやSNSなどでの告知の仕方や告知する内容まで含めてアドバイスをいただきたいと考えていました。
被害者本人である私や清水では冷静な判断ができない可能性があることから、SNSでの告知方法や告知文の内容まで見ていただくには中澤先生がベストだと考えて、ご依頼することにしました。

上述のとおり、本件では投稿の内容や投稿のタイミング、拡散の程度まで含めて細かくご指示いただき、その結果すぐに解決に至りました。
また、当然、追記についてもご確認いただいており、本noteにより弊事務所のレピテーションへの影響も最小限に抑えられたと考えています。

中澤先生は、本件の対応の相談をしてからわずか6時間で電子署名で私との委任契約を済まし、侵害の対照表を作成し相手方への通知文を発送してくれました。

そして、感情的になっている私に対して、冷静にかつ頻繁にご指示をいただき、そのおかげで少しは冷静になることができました。

自分が被害者になって外部の弁護士に依頼するということは初めてだったのですが、自分のことになるとこんなに冷静ではいられないものだということを思い知りました。

被害が発覚してから先方がHPを修正するまでの3日間は、怒りとストレスで眠れないし食欲もでないし、本当にイライラしていましたが、代理人が就いているとこんなにも心強いのだなと思いました。

そして、中澤先生のプロフェッショナルな仕事振りをみて、自分の仕事に対する姿勢の甘さを見直す良い機会になりました。

中澤先生は清水のライバルなので余り宣伝しない方がアルシエンにとっては良いのかもしれませんが、中澤先生からはSNS対応も含めて極めて適切なアドバイスをいただきました。

中澤先生、この度は本当に本当にありがとうございました。

追記④ 本投稿を残し続けている理由について

解決したのだから本投稿は削除すればよいではないかとお考えの方もいるかと思いますので、最後に本投稿を残し続けている理由についても記載します。

パクり被害の本当の恐ろしさ

著作権侵害の一番の恐ろしさは、オリジナルのものが逆に模倣だと思われることなのではないかと思います。

模倣した側が有名になった結果、本来はオリジナルであったものが、世間からは模倣した側だと思われてしまう可能性があるのです。
ただ表現物を見ている人にとってはどちらがオリジナルでどちらが模倣だという判断は付かないのですから、先に見た方や有名な方がオリジナルだと考えてしまうことはやむを得ないことだと思います。

本件では、私たちがホームページの剽窃に気が付いてからは数日で解決ができました。
しかし、当たり前のことですが、剽窃に気がつくまでの間はずっと剽窃された状態で先方のホームページが公開され続けていました。

先方のHPはこちらの調査では遅くとも2020年11月29日には存在していたので、半年以上公開され続けていたことになります。
それまでの間、何人の方が先方のホームページを閲覧したかは分かりません。

私たちのホームページはいわゆるコーポレートサイトであり、広告による流入はありません。他方で先方のホームページはいわゆるランディングページでした。おそらく広告による流入があり、閲覧者数は先方のページの方が圧倒的に多い可能性があります。

ましてや先方のホームページの内容はネット上の誹謗中傷対策であり弊事務所の取扱分野と競合する内容です。
想定する閲覧者はネット上の誹謗中傷の被害にあい弁護士を探している人であり、両ページとも共通です。

このような場合、先方のホームページを閲覧したことがある方が今後も当方のページを閲覧する可能性があります。
その際、先方のホームページと当方のホームページの表現が同一、しかも手続きに関する説明だけでなく「しなやな解決力」を提供するという事務所理念に関する表現まで同一であれば、これは一般の方にとっても容易に区別可能な表現ですので、先に先方のホームページを見た閲覧者としては当方のホームページが先方のホームページの表現を剽窃したと誤信してしまう可能性があります。

このように、模倣された表現が一度世の中に公開されてしまうと、表現物を見た方の記憶を消せない以上、いつまでもオリジナルが模倣品であると誤信されるという危険性が付き纏うのです。

そのようなことを防ぐためにも、当方のホームページの表現が剽窃されたのであり、オリジナルはこちらであることは告知し続ける必要があると考えます。

法律事務所アルシエンには、表現者の権利を守る業務を取り扱う弁護士が複数名います。

表現の模倣による権利侵害は模倣表現を削除すれば直ちに被害がなくなるものではないということをしっかりと伝えることが、次の被害を防ぐことに繋がると考えます。

もう消したのだからよいではないかとなあなあで済ますことなく、剽窃被害にあったことを告知し続けるという姿勢が、表現者の権利を守る業務を取り扱っている法律事務所としてあるべき姿だと考え、本noteの公開を続けています。

事務所のレピテーションを守る必要がある

弊事務所の清水陽平弁護士はインターネット上のトラブルを解決する専門家として周知されていると思っています。現に清水は著作権、肖像権などの知的財産権の侵害を理由にネット上の匿名加害者に対する責任追及を業務として扱っています。また、清水を顧問弁護士にすることでネット上の被害に遭いにくくなるのではないかと考えて、清水に法務顧問を依頼してきている方も多数います。

また弊事務所の河野冬樹弁護士は個人クリエイターの権利保護を主たる取扱分野としており、多数の個人クリエイターの方の法務顧問を務めています。
河野は河野が法務顧問に就任していることを周知することで個人クリエイターの権利侵害を抑制するという役割を担っています。そして、現に多数個人クリエイターの方が河野を信頼して法務顧問を依頼し、そのことをツイートしてくれています。

そうでありながら、今回、清水、河野が所属する法律事務所の表現が剽窃されるという被害にあったのです。

これはつまり、清水、河野両弁護士が弊事務所に所属しているということが何ら抑止力になっていなかったということです。弊事務所がこのような被害にあったこと自体、弊事務所のレピュテーションが相当程度傷つけられたと考えています。

図らずも事務所のレピテーションを傷つけられたしまった私たちにできることは、毅然とした対応を取り早急に被害を回復すること、そして毅然とした対応を取ったことを告知して、アルシエンは現時点では抑止力にはなっていなかったが被害に遭えば毅然とした対応を取れる事務所であることを知ってもらい、次なる被害を防ぐこと以外にありません。

以上の理由から、本投稿は削除することなく、今後も残し続けるという判断をしています。

※先方の事務所名でのネット検索に引っ掛からないように法律事務所名については、本文からは削除しました。


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