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小説

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2022年6月の記事一覧

駿介

駿介

よそん家のにおいがした。俺ん家なのに。もとは彼女ん家だったこの部屋にくらして半年たつ。はじめの頃は気になっていた匂いにも慣れて感じなくなっていたのに。
「ただいま〜」
玄関で靴を脱ぎながら左手でネクタイをゆるめながら右手で脱いだ靴下を脱衣カゴに放る。
裸足で廊下を進むと彼女がキッチンの床に座り込んで泣いていた。
「え?どしたん?」
「っく…食器…あたしが洗うって…言ったのに…」
「へ?」
今朝俺が

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