バルセロナで日本でしかしないはずの匂いがした・・・

ちょっと一息

（特に中身はない）

ㅤ

ㅤ

４人目も無事３ヶ月を迎えようとしていて、ワイワイワイフも順調に産後の肥立ちを過ごしている中、突然我が家のお風呂場の天井から水漏れは始まった

ㅤ

築70年以上とは言え、とにかくトラブルの絶えないヨーロッパの物件。特に水回りの問題が多いが、今回はうちが下の階にもたらしていたのと逆パターン。上の階に初めて訪ねて行ったらブラジルのサルバドール出身だった。良い人だったがお決まりのように「俺たちは何もしてないよ」からスタート。それは分かってる。壊れてるのはお風呂場の下の水道管だ。保険があるはずだから心配するな！

ㅤ

なんとオーナーは同じビルの８階に住む、よく挨拶するおばさまだった。コロンビア時代のおばさまたちを彷彿とさせるマシンガントーク勃発。マタドールのように交わしながら会話を繰り広げる日本人スキンヘッド。翌日は祝日。保険会社から派遣される業者が来るのは３日後になった。

ㅤ

それでもやっぱりシャワー浴びちゃうブラジル人一家

夏だから仕方ないとは言え、天井から水漏れするたびに仕事を中断してモップで応戦するスキンヘッド四児の父

「うちの家のシャワー使っていいよ！」

と伝えても使い続ける。匂いがすごい

ㅤㅤ

ㅤ

祝日が明けて業者がオーナーと来た

「ところでタケ。あなたは仕事何してるの？」

「腰痛や肩こりとかだけじゃなくて、ガン、鬱など精神疾患、妊娠されたい方を”治す”じゃなくて、”自分で治す”方法を伝えてる。日本の昔からの方法を交えて・・・」

ㅤ

いや・・・言う前から分かってたが、おばさまの目の色が変わり身の上話が始まった。3年前のパンデミックの時に旦那さんを亡くしてからずっと精神安定剤を飲み続けている。ここでは書けないこともいくつかあり、夜も眠れないらしい

ㅤ

このビルで３部屋も貸しているから家賃収入だけで暮らしていると思ったら60人ぐらい登録しているスタッフを抱えて、バルセロナ中のエアコンの修理やメンテナンス、設置のサービスをやってるらしい。この仕事が思ったよりもハードだ

5時半に起床

6時半にオフィスへ

7時にはスタッフのほとんどに「今日はここへ」のチケットを渡す

そこからほぼ毎晩20時か21時ぐらいまで

ㅤ

ハードだ

精神科に行くたびに「薬をもっと強くしますか」と提案されるが、強すぎて仕事ができなくなるから拒否しているらしいㅤ

「今夏の売り上げはどうなの？」

実は今年のバルセロナは例年よりそこまで暑くない（我が家はエアコンをつけることはまずないが、今年は扇風機もほぼつけてない）から気になって聞いてみたら

ㅤ

「今年はかなり良いわよ！地元の人たちはみんなお金があまりないから、旅行に行かずに8月なのに自宅にいるでしょ。そうなるとエアコンの修理やメンテナンスが多くなってる。いつもよりこの辺りも歩いてる地元の人多いでしょ？」

ㅤ

確かに！

そう言えば、今年はこの辺りを歩いている人が多い。もちろん観光客もいるが、そうではない雰囲気の人たちが大半だ。地元の人たちは景気が良いわけではない。

ㅤ

観光客も戻ってきたが、2019年の頃は年間１億人は来てたと言われるバルセロナ。それに比べたら風通しはかなり良い。中国人の団体観光客を見ないのも一因だろうが、もっとも観光客が多い通りへ行っても歩く隙間がなかった前ほどではない。

ㅤ

ㅤ

弁護士騒動に、通常の仕事をこなしながら、できるだけ家事もやらせてもらって、新しく生まれた娘の登録のための書類を集め、住民票は２年で更新だからその予約やら書類も集めて、その最中に天井から水漏れが始まり、自由に身動きが取れなくなり、痺れを切らして毎月参拝をしているバルへ昨日は家族で出かけたㅤ

ㅤ

ㅤ

初めて家族でバルセロナへ訪れたときにうますぎて、バーテンのおじちゃんたちも最高すぎて、感動しすぎてからバルセロナに来るたびに通い、引っ越してからは毎月「神社」と呼んでご参拝「ノーマルの黄金のビール、黒ビル、その前に黄金と黒を混ぜたハーフアンドハーフの３種類を飲み干すことを”ご参杯”」と呼んでいる行事はずっと続いている。嫁も子供たちもここへご参拝に行くぞ！というとツマミが最高なので全員飛び跳ねて喜ぶ

ㅤ

ㅤ

昨晩も最高だった

行くたびにバーテンの皆さん総出で迎えてくれる

最高の焼き方がいる夜だった

無敵のレア気味のミディアムレア！

完璧

6月にグルメな大先輩方をお連れした時に、初めて頼んだメニューも絶好調

うまみの塊

長州力よろしく「飛ぶ」

ㅤ

ㅤ

そう言えば、まだ上の子二人が今の下の子二人ぐらいの年齢の時に来たんだなー、と夫婦で感慨深くなり

子供が生まれるたびにここに来ては祝杯をあげ

その度にバーテンのおじちゃんたちは満面の笑みで祝福してくれる

ㅤ

ㅤ

このお店に向かう前にまた上階のブラジル人がシャワーを浴び始めたら過去最高に水漏れが始まって家から出られなくなった。嫁が先に着いているから早く出たいのに、出られない。娘に上の階のチャイムを担当してもらい、ひたすらモップで水を吸い上げる。全然やめてくれないシャワー。後からわかったが「もう直った」と思ってたらしい。10分早く出かけてたら我が家はアルシンドになってたよ

ㅤ

ㅤ

嫁が先に席を押さえてくれてた店にやっと辿り着いた時に、謎の瞬間は訪れた

ㅤ

いつもの扉を開けた瞬間に、あの匂いがしたのだ！

そう

日本の地元にある、お寿司屋さんの匂いだ

食べログとかで高得点を取るようなお寿司屋さんじゃない

一つの町に、一つの駅に、一つは必ずある、あのアットホームなお寿司屋さんの匂いだ

鼻をちょっと涼しい風がつついてくる、日本の地元のお寿司屋さんのあの独特の匂い

ㅤ

ㅤ

なんでここでするんだ！

ㅤ

ㅤ

イワシの酢漬けはあるが、酢飯はない

タパスは並んでいるが、お寿司のネタが並んでいる冷蔵のケースはない

冷房のかかり具合はそっくりだ

ㅤ

ㅤ

最初だけかと思ったら入って2、3分しても、鼻呼吸するたびに入ってくるあの地元の寿司屋さんの匂い

ㅤ

ㅤ

ㅤ

これは、あれだ

通い続けると醸し出されるようにこの惑星ではプログラミングされてるに違いない

ㅤ

ㅤ

俺が一人で突っ立って驚いていたら、昔から通ってるであろう地元のおじちゃんたち３人ぐらいが一斉に親指立てて合図を送ってきた

ㅤ

ㅤ

どうも受け入れられたらしい

ㅤ

ㅤ

いつもより美味しかったなー

ㅤ

ㅤ

ちなみに最後にいつも頼んでるデザートがなくて、初めてハイパーうまいチーズケーキが出てきて驚いた

「いや、これもう一個でしょ」

とソッコーで平らげながら振り返ったら、もうバーテンのおじちゃんが頼んでもいないのにフタ皿目持って立ってるとか！ㅤ

ㅤ

ㅤ

「もちろん！わかってるよ！」

ㅤ

ㅤ

カンペキ

さ、仕事しよ
早く天井直してね
（とにかく、またカビないでくれ！）