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「5年後も、僕は、生きています。④僕のガンを作り出した“生き方”」

 第4回「僕のガンを作り出した“生き方”」

2017年8月5日、入院や治療の生命保険支払い関することで、僕が加入していた生命保険会社の担当の浅川さんと、近所の喫茶店で会いました。

「大変でしたね」

浅川さんは人なつっこい顔の眉毛を八の字にして深刻そうに言いました。

「ええ、まあ。でも、浅川さんも大変みたいだったですね」

「まあ、刀根さんほどではないですけど、私も今回はちょっときつかったですね」

浅川さんも僕と同時期に風邪から気管支をこじらせて肺炎になり、長期の入院をしていたのでした。

「いや~刀根さん、本当によかったですね。私もうれしいです」

浅川さんが卓上の書類に示した金額を見ると僕の予想よりかなり上回る数字が記載してありました。

「予想よりもかなり多いんですが…」

「ええ、そういうふうに査定されたようです。まあ、保険屋としてはこういうときこそお役に立たなきゃ意味がないですからね」

「退院後に南伊勢に静養に行ったんですが、その旅費がこれで出ました。助かります」

想定外に出て行った支出が、想定外のところからちゃんと入ってきていました。

流れに乗っているときは、こういうことが起こるんだろう、と僕は漠然と思いました。

「静養ですか、いいですね~、私も行きたいです。私も3週間ほど入院していたんで、体力ががた落ちですよ」

確かに、浅川さんは以前会ったときよりも、ずいぶんと痩せていました。

僕も答えました。

「入院するとやることがないので、筋肉が落ちますよね。僕なんか体重が50キロまで落ちましたもん」

「50キロですか、それはそれは…」浅川さんはそこで一度口を閉じると、真剣な目で言った。

「本当に大変だったんですね…で、刀根さん、その後の体調はいかがですか?」

「ええ、まあ声はこの通り、まだぜんぜん出ていません」

「それと、まだまだ体力が戻ってないので、すぐに疲れますね。ステロイドを止めてから身体がすごくダルいです。でも入院する前は30m歩くと息が切れしましたが、今は歩いて息切れすることはなくなりましたよ。まだ走れないですけどね」

僕は聞いた。

「浅川さんの体調はいかがです?」

「私は過労からくる肺炎って言われました」

「過労ですか…。僕も今回の件で思ったんですけど、病気っていろいろ考えさせられますよね」

「ええ、確かに」浅川さんがうなづく。

「生き方とか、働き方、みたいのものとか」

「生き方、ですか?」

「ええ。僕の場合、心理的なところも大きかったんじゃないかと思います」

「心理的なところというと?」

「僕はね、完全主義者だったんですよ」

「完全主義者、ですか?」

「ええ、そうです。なんでも完全・完璧にやらないと気がすまないって、やっかいなやつですよ」

「でも、それって仕事とかではいいことなんじゃないですか?」

浅川さんが不思議そうに聞き返す。

「確かにそうですね。確かに仕事ではいい評価を受けることもありましたよ、まあ全部じゃないですけど。でもね浅川さん、完全主義者は自分のことが許せないんですよ」

「許せないっていうと?」

「常に完全・完璧を求めるがゆえに、そうじゃないと、完璧じゃないと、自分にダメ出しをしちゃうんです。

それからね、なんにでも完璧を求めちゃうんです。

さらにやっかいなのが完全であることって、滅多にない、というか、ほとんどないんです。

ですから自分にダメ出しばっかでした。気づきませんでした、

ガンになるまで、こんなに自分にダメ出しをしている自分がいたなんてことに」

「…」

「ガンになる前、僕は自分に自信がありました。

自信があったつもりです。

自己肯定感も結構高かったと思います。

でもね、僕が自信を持っていた自分、自己肯定感が高かった自分っていうのは、そうやって一生懸命完璧を求めて、そして、その結果を出している自分だけだったんです」

「…と、言いますと?」

「つまり、頑張ってない自分、完璧じゃない自分はダメなんです。

そういう自分を感じたくないがゆえに、必死になって頑張って、なんとかクリアして、他人よりも実績を上げたり評価を受けたりして、

やっと自分にオッケーを出していたんですね。まるでシンクロみたいですよ」

「シンクロって言いますと?」

「水面では笑顔だけれど、水面下では必死に泳いでいる、みたいな」

「なるほど…」

「沈まないように、必死で足を動かしているんです。

沈んだら、ダメな自分になってしまうから。

でも、そういうことをしていることにすら、気づいていないんです。

そういう生き方が無意識に身についてしまったから。

ガンはね、それを教えてくれたんですよ」

「そうなんですか…」

「ねばならない、ねばならない、すべきである、すべきである…

こういう生き方が僕のガンを作ったんだと思うんです」

「ねばならない、べきである…確かにそうやって自分を縛ったり、自分にむち打ったりすること、よくあります」

浅川さんは神妙にうなづいた。

「僕は常に完全を求めて自分に鞭を打ち続け、身体にも無理をさせ続け、

そしてそれをクリア出来ない自分にダメ出しをし続けて、

その結果、ガンになったんだと思います。

浅川さん、ガンの遺伝的な確率ってどのくらいかご存じですか?」

「家族がガンだと、遺伝するってやつですか?」

「ええ、そうです」

「そうですね、そういう話は良く聞きますから…50%くらいですか?」

「いえ、ひとけた違います。実は、たった5%なんですよ」

「えっ、5%なんですか?」

「そうです。ガンはほとんどの場合、生活習慣病なんですよ。食生活、生活習慣、思考習慣…つまり、生き方の歪みってやつがガンを創り出すんです」

「へぇ~知りませんでした」

「僕なんかいい例ですよ。

身体が『もう無理、休みたい』って言っているのに、身体の声をまったく聞いてない。

まだ大丈夫、もっとできる、もっとがんばれ、まだやれるとか自分に言い聞かせて無理をしてしまう。

それが積み重なってどこかで身体の限界値を超えたとき、ガンという病気が現れたんじゃないかと思うんです」

「う~ん、そうかもしれませんね。私も入院するまでは、かなり忙しくしていましたから。私も自分の働き方をちょっと考えなきゃですね」

「病気って、身体からのメッセージのような気がするんです。もっと自分を大切にしてよ、自分の人生を生きようよ、とか、そういう」

「メッセージ…ですか」

「ええ。だから、仮にガンが消えても、それを創り出した生き方が変わってなかったら、再発したり別のところがまた何かの病気になったりするんじゃないでしょうか」

「そうなんですかね~…深いですね」

そう、人生が示唆してくるものって、本当に深いんです。

遺伝性のガンは5%くらいしかないと言われています。

では、何がガンを作り出すのか?

それは生活習慣です。

では、その生活習慣を作り出しているものは、なんなのか?

それは「思考習慣」」です。

「思考」が「行動」生み出し。「行動」がパターン化して「習慣」となる。

つまり、そのひとの「生き方」「生き様」みたいなものが、ガンを作り出してい可能性があるのです。

昨年ご一緒に講演させていただいた船戸クリニックの船戸崇史先生はこういわれていました。

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(船戸先生とベストセラーのご著書)



ガンになりやすい人は、3G

・がんばる

・がまん

・がんこ


みんな「G」

あるいは、どの言葉にも「が」と「ん」が入っています。

生き方が病気を作る。

ではでは、病気から脱出する生き方は?

その逆を生きる!

・がんばらない=無理しない

・がまんしない=すぐに手放す

・がんこをやまる=すなおになる

おお、これはまさに「サレンダー」の生き方ですね!


第5回へつづく。

★2021年12月新刊「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」

読んでいて、泣けてくる人が多いそうです。

僕も泣きながら書きました(笑)

3章まで無料公開しています。


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