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胎動~中国の仮想通貨とブロックチェーン~、ビットコインの未来

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)に対するワクチンが各国で導入開始のニュースが聞かれるようになった現在、仮想通貨であるビットコインの値上がりもまた世界的な話題になっている。

筆者は約20年間、日中ビジネス界隈で活動しているが、この視点から、中国のアフターコロナにおける仮想通貨とブロックチェーンについてお伝えする。

なお、ここでいう中国とは香港、マカオ等を除く、いわゆる中国本土に限定する。

中国では2013年から現在まで、一貫して仮想通貨の流通が抑制・禁止

まず、先に事実を述べておくと、中国では2013年から現在まで、一貫して仮想通貨の流通が抑制・禁止されている。

規制の初動は、2013年に「仮想通貨は法定通貨のような価値の根拠がないのでリスクが高く、通貨として流通させてはいけない」と公表して、金融機関等の仮想通貨の取扱いを禁止。

中国には仮想通貨に関する法律がない為、財産として認めることはできない

中国の民法では、仮想財産の意味合いについては具体的な規定をしておらず、仮想財産の保護については法律で定めなければならないが、現在、中国には仮想通貨に関する法律がない為、財産として認めることはできないというロジックだ。

2017年9月には、当局がすべての仮想通貨取引所に業務停止を要請し、9月14日から取引所が次々に閉鎖を発表すると、ビットコインの価格は、その日だけで14%も下落した。

中国のビットコイン取引高は、2017年9月以前は世界最大だったが、現在はゼロである。

非公式な形で取引するトレーダーがどれくらい存在するかも不明で、その数も顕在化していない。

仮想通貨の取引を国家レベルで規制しているが、仮想通貨の採掘(マイニング)はOK

一方、このように中国は仮想通貨の取引を国家レベルで規制しているにも関わらず、仮想通貨の採掘、即ちマイニング行為については禁止していない。

これについては日本でもあまり認知されておらず、中国ではマイニング行為も禁止だと誤解されがちだ。

全世界のマイニング、中国が6割以上のシェア

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全世界のマイニングによる採掘量ついては、現在、中国が6割以上のシェアを握っている。

ビットコインのマイニング事業者(以下、マイナー)の過半数が、電力コストの低い中国に多く存在している事実からも、その取引やICOについては規制があるにも関わらず、中国の世界的な仮想通貨市場への影響力は大きい。

香港で仮想通貨は欧米同様に扱われているが、いつまで続くかわからない。

なお、香港については、これまで述べてきた中国(本土)とは別に扱われている。

香港証券監察委員会の情報サイトでは、ICO規制および、仮想通貨取引の取引禁止などの通達文は掲載されていない。

中国で2017年9月に通達された、中国における仮想通貨の禁止に関する文書においても、「香港のICO企業は香港政府に申請し、ライセンスの取得をすることが可能である」との通達書が掲載されており、中国(本土)とは区別されている。

中国が仮想通貨を禁止する理由はマネーロンダリング等による不正資金の流出リスク

そもそも中国が仮想通貨の禁止とした理由は、法律の未整備は表の事情であり、その本質は、中央銀行がコントロール出来ない暗号資産がもたらす金融リスクに対しての懸念によるものとされている。

わかりやすく言えば、マネーロンダリング等による不正資金の流出、流入リスクだ。

ただ、香港は中国における欧米のアイデンティティでもあり、ここでも仮想通貨の取引を禁止することは香港国内外での大きな反発を生み出すことは必須である。

香港のポジションを中国本土である海南島に実質的にシフトさせる中、無理せずに敢えてガス抜きにしている印象さえある。

この香港からの「海南島シフト」については別の機会に詳しくお話ししよう。

世界で新たなイノベーション分野が生まれると、中国固有のものとして模様替えされて展開

なお、筆者の経験上、中国では新たなイノベーション分野に対しては当初は規制を行わず、一定程度自由にする。

その後、市場における適合性や課題を把握、分析しつつ、ある段階から規制や制度化を行うことが一般的。

そうして最終的には、中国固有のものとして模様替えされて展開されることが多い。

中国ではGoogle系のサービスは全てアクセス出来ないし、世界的に有力なSNSもほとんど使用できない。

ただし、単に禁止しているわけではなく、それに置き換わるサービスやSNSは存在し、それも独自に中国国民に対して利便性を高めたものであり、多くの人々に受け入れられている。

中国のBATは米国のGAFAに相当

その流れの中で、BAT(バット)と呼ばれる、中国の大手IT系企業3社と呼ばれる、Baidu(百度、バイドゥ)、Alibaba(阿里巴巴集団:アリババ)、Tencent(騰訊:テンセント)のような企業が成長してきた。

また、既にその次のグループとしてToutiao(今日頭条:トウティアオ)、Meituan Dianping(美団点評:メイトゥアン・ディエンピン)、Didi Chuxing(滴滴出行:ディディ)の呼ばれる急成長中の企業群もある。

その全てが、中国の独自サービス、プラットフォームとして、中国国内では圧倒的なシェアを占めている。

仮想通貨、暗号資産は将来的には解放される

なお、仮想通貨、暗号資産に関してもこの流れに沿って解放されていくと思われるが、一方、その運営に不可欠なブロックチェーン技術については、元々、規制どころか全く逆である。

ブロックチェーンは、その安全性や改ざん防止の観点から、様々な分野に応用可能な技術であり、中国も特定の国にコントロールされている分野にて、主導権を取り戻せるツールとして、当初から現在に至るまで、むしろ重要視されている。

次回、中国におけるブロックチェーンについて述べてみよう。

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