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我楽多だらけの製哲書

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日常の出来事と哲学を掛け合わせた考察をつれづれなるままに綴っています。先哲の思想は、昔のことだし抽象的で近寄りがたいと思っている人がいるかもしれませんが、実は、現代においても日常…
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2022年4月の記事一覧

★我楽多だらけの製哲書(66)★~唐辛子の破壊力とジェームズ~

(2016年の出来事の回想である) 沖縄に来てからようやく3週間くらいが経つわけですが、以前に沖縄に来たことがない私にとって、この沖縄の地は当然のことながら未知の土地なわけです。 これまでならば、休日は無難に同じようなカフェを利用して、読書したり音楽を聴いたりと規則的な生活に終始するところですが、シンガポールにいてほとんど観光らしい観光をせず、結局シンガポールを去るときに大きな後悔をしたという同じ轍を踏まないように、沖縄では、できるだけ異なるお店に入ってみるというチャレンジ

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★我楽多だらけの製哲書(65)★~沖縄料理とレヴィ=ストロース~

(2016年の出来事の回想である) 沖縄に来てようやく一週間が経ちました。新しい学校、新しい街、新しい人間関係、新しい家などあらゆることが新しく、それを十分に受け止め切れていない感は否めないですが、とにかくまずは初心に帰り、今までの教員経験にあぐらをかかずに積極的に動いてみようと思います。それをしなければ、私はもう成長できず、教員としては限界に達し、あとはレベルダウンしていくだけになってしまいます。 そんな激動の一週間でしたが、年度が始まったばかりで皆さんも忙しいはずなの

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★我楽多だらけの製哲書(64)★~3年前の挑戦の場とゴータマ・シッダールタ~

(2019年の出来事の回想である) 私は今、お正月休みの余韻の中にいる。 お正月というと、日本ならば1月1日周辺のイベントであり、中華文化圏ならば旧正月というとこで、毎年1月末から2月初め辺りに設定されるイベントを思いつくが、今は4月であってそのどちらにも当てはまらない。 英語が得意なわけではないが、国外で旅行をしたり生活をしたりするとき、これまで英語のおかげでコミュニケーションが曲がりなりにもとれていたことを痛感する今日この頃である。 現在、私が住んでいる国は、英単語さえ

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★我楽多だらけの製哲書(63)★~捏造された夜空に広がる罪深さとギロビッチ(The sinfulness that spreads in the forged night sky and Girovic)~

月と太陽は、古来より様々な形で対比されてきた。太陽は、日中に現れるため「主役のような存在」として扱われることが多く、またその光の強さや光が及ぼす熱量から、「支配者」「絶対的権力者」の象徴のようにもなってきた。各地の神話でも太陽を司る神は中心的地位を占めている。古代ギリシアの哲学者プラトンも、イデアの中でも最高のものとして「善のイデア」を取り上げているが、その比喩として太陽を用いている。 これに対して月は、夜という限られた時間帯に登場する「主役ではない存在」として扱われること

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★我楽多だらけの製哲書(62)★~「ただいま」とハイデガー("I'm home" and Heidegger)~

人間は自分との繋がりが強い場所(それは単に地理的な空間という意味ではなく、自分の存在意義にとっても不可欠な精神的な拠り所として、ハイデガーのいう「故郷」といえると考える)から離れると大きな喪失感を抱くものである。 Human beings are greatly connected to themselves (I think that it is not just a geographical space, but a spiritual base that is indi

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★我楽多だらけの製哲書(61)★~実は「人生初」だった出来事と梶井基次郎~

(1年前の出来事に関する投稿です) 私くらいの年齢になると、なかなか「人生初の」という出来事に関わることは少なくなってくる。 ただし、「日本人メジャーリーガー、内野手として『初』の二塁打」とか、「新型コロナウイルス感染症、県内で新規感染21人、10代男子高校生1人、県内『初』確認」とかのように、統計上で色々な角度から捉えれば、私の場合についても、いくらでも「人生『初』の」というものは捻り出せるだろうが、シンプルにそうであると感じる出来事については少なくなっているはずである。

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★我楽多だらけの製哲書(60)★~見慣れない通貨と松下幸之助~

バンコクに住み始めてからもうすぐ3週間くらいになる。タイの通貨バーツもようやく使い慣れてきた。紙幣は数字がはっきり見えるので、最初から戸惑うことはなかったが、硬貨の方はどれがいくらなのかよくわかっていないので、とりあえず紙幣で支払いを済ませてしまって、硬貨がどんどん増えていくという状態であった。 そうして慣れてきたバーツの中で、あるお店でお釣りを受け取ったときに見慣れないものと遭遇した。 「ポリマー製の20バーツ」である。 これまでラオスに住んでいたときも何度かバーツは

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★我楽多だらけの製哲書(59)★~一切衆生の財産である自由とリンカーン(Freedom, a property for all living beings, and Lincoln)~

タイ・ラオス・カンボジアなどでは、「徳を積む(タイ語では「タンブン(ทำบุญ)」)」ことが、自分のほか家族の現世における幸せになるだけではなく、来世を幸せに過ごすことにもなると信じられている。 タンブンの中でも代表的なものが、僧侶や寺院に食べ物や寄進をすることである。托鉢といって、早朝に僧侶が家々を回り、食べ物の施しを受けるのが有名である。地域によっては、この托鉢自体がイベントのように扱われ観光資源の主なものになっていたりもするが、本来これは、僧侶にとっては喜捨を受ける修

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★我楽多だらけの製哲書(58)★~バンコクの空に張り巡らされている秩序とサン=テグジュペリ(The order in the sky of Bangkok and Saint-Exupery)~

ラオスほどではないが、バンコクの街の頭上にはたくさんの電線が張り巡らされている。電気を各地へ伝えるというのが電線の本質的な役割であり、換言すれば「質的価値」ということになる。そして、電線が地上にあると、ぶつかって事故が起こったり、強風などで切れて危なかったりする。さらに頭上にゴチャゴチャと電線があるのは邪魔なので、送電するという「質的価値」を重視した場合は、シンガポールのように地下にあった方が良いように思えてしまう。 しかし昨日の文字の質的価値と量的価値の話と同じように、電

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