マガジンのカバー画像

『ファ~トンいきもの記』

48
いろいろな「いきもの」の様子を紹介しています。『「ファー」ブル昆虫記』と『シ「ートン」動物記』を組み合わせたような「いきもの」紹介です。日本・シンガポール・ラオス・インド・ネパー…
毎週2回ほど記事を新たに投稿しています。
¥1,500
運営しているクリエイター

#生物

『ファートンいきもの記』【34】

今日の「いきもの」は≪Rum Tum Tugger(ラム・タム・タガー)≫である。 奴は風の吹くまま気の向くままに生活している。熱しやすく冷めやすいのか、没頭しているかと思いきや、次の瞬間には全く興味を示さなくなるような気まぐれである。あまのじゃくな部分もあり、普通ならば人間が近づけば、それを意識するものだが、わざと知らんぷりで、ずっと尻尾をフリフリするのである。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「唯我独尊」である。 ミュージカル『CATS』のRum Tum Tuggerの「

¥100

『ファートンいきもの記』【33】

今日の「いきもの」は≪スキンダイバー≫である。 奴は常夏のシンガポールで暮している。自らの生計を立てるというのが主目的であるが、常夏なので日中の暑さをしのぐというもう一つの目的のために、奴はいつもスキンダイビング(素潜り)で魚を捕まえている。奴の漁場はマリーナベイ付近である。奴と遭遇したのはエスプラネードの辺りで、仲間とともに素潜り漁に励んでいた。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「ワイルド漁師メシ」である。 奴は素潜り技術もさることながら、漁の途中で仲間にふるまう料理の腕も

¥100

『ファートンいきもの記』【32】

今日の「いきもの」は≪手なずke無視≫である。 インドの山奥で昔から暮している奴にとって、ボランティアでここを訪れる人間など取るに足らない存在なのだろう。作業の休憩のとき、座っていると足の上を奴が悠々と歩いていた。せっかくの出会いなので、私は奴とコミュニケーションをとることを試みたが、残念ながら奴は私のことなどお構いなしの「無視」を決め込んでいた。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「ぶらり散歩」である。 奴の日課は山の中を気ままに散歩することである。散歩コースが決まっているわ

¥100

『ファートンいきもの記』【31】

今日の「いきもの」は≪イースト・サイDOG≫である。 奴は「ジェット団」というグループを作ってラオスの首都ビエンチャンで幅をきかせている。しかし、この街にはもう一つ「シャーク団」というグループがあり、2つのグループはいつも抗争を繰り広げている。かつてニューヨークのウエスト・サイドで、同じように2つのグループが対立し、歌やダンスを交えながら争う出来事があったが、奴らはラオスを拠点としているので、アジアのイースト・サイドでの争いということになるだろう。奴らの縄張り意識は強く、特に

¥100

『ファートンいきもの記』【30】

今日の「いきもの」は≪小田氏治≫である。 奴は、鎌倉時代から続く名門の家柄であり、自らの城を持っていた。そんな輝かしいステータスでありながら、奴は戦上手かと言われると残念ながら、むしろその逆の戦下手だったのである。そのため、楽勝と思われる戦でも負ける始末で、奴は何度も自らの城を追われ、敵に奪われてきたのである。私も今年に入って奴と3度戦ったが、そのたびに奴は敗北し、城を追われ、捕虜となった。だが、奴は粘り強く捕虜としての生活を続けるので、その姿に圧倒され、解放しようという気持

¥100

『ファートンいきもの記』【29】

今日の「いきもの」は≪脱走兵≫である。 シンガポールに住んでいたとき、コンビニと同じくらいお世話になったスーパーとして、Sheng Siong(シェンション、昇松)がある。住んでいたコンドミニアムの近くの店舗は、かなり遅くまで開いていた記憶がある。ジャパ中の一年目は、終バスの後の時間に学校を後にすることが結構あり、そのときタクシーで帰るときに、「シェンションまで」と行先を伝え、夜中に買い物をしてから帰宅していた。そんな遅くまで開いているシェンションの厳重な警備を潜り抜け、奴は

¥100

『ファートンいきもの記』【27】

今日の「いきもの」は≪ピースメーカー≫である。 奴が住んでいる街では「20年前のこの日に悲しい出来事」が起こってしまった。ここには金融の中心地ウォール街だけでなく、セントラルパークもあり、人為の世界と自然の世界が共存していて、自然が持つ再生力は20年前に人為が生み出してしまった傷口にも影響を及ぼし、少しずつだが修復は進んでいる。奴はこの街の歴史を見守り続け、この街が自然においても人為においても平和であるように尽力している。しかし、最近はコロナの影響もあって、この街の平和が揺ら

¥100

『ファートンいきもの記』【26】

今日の「いきもの」は≪ご機嫌斜メクジ≫である。 奴はロンドン郊外にあるBurnham Beeches (バーナムビーチーズ)という国立自然保護区で生活をしている。修学旅行の引率でイギリスを訪れたとき、私が担当する班の中に生き物を探究テーマにしている生徒がおり、その生徒の希望で班行動の行先の一つがこの場所になった。私たちは、自然溢れるこの場所の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、内側から洗われたような気分になれたが、日本からの修学旅行生などめったに来ないのだろう、奴は私たちの足

¥100

『ファートンいきもの記』【25】

今日の「いきもの」は≪東洋リベンジャーズ≫である。 奴が所属する不良グループは、ラオスを拠点としながら、東洋全域に勢力を広げている。しかし、対抗する不良グループも巻き返しを狙って、常にグループ同士の抗争が絶え間なく続いている。奴は、ビエンチャンの守りを任されているようで、タイからメコン川を渡って攻め込んでくる敵との戦いに明け暮れている。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「釘バット」である。 常に敵の来襲に対応できるようにと、奴は武器を肌身離さず持ち歩いている。奴が持ち歩いてい

¥100

『ファートンいきもの記』【24】

今日の「いきもの」は≪Jennyanydots(ジェニエニドッツ)≫である。 奴はミュージカル『CATS』では仲間から「Gumbie Cat」と呼ばれている。このネーミングは「Gum(ガム)」に由来していて、床にくっついて、はがそうと思ってもへばりついてなかなか剥がせないくらい動かずに過ごしている様子が、まさにGum(ガム)のようでそのように呼ばれているのである。奴は日中、階段や窓枠や敷物の上などでゴロゴロしている。そうして座って座って、寝そべって寝そべって、奴は「Gumbi

¥100

『ファートンいきもの記』【23】

今日の「いきもの」は≪ケガトカゲ≫である。 奴はどこかで強力な敵と戦ったのだろう。奴の後ろ足の一方は指が大きく曲がってしまっていて、もう一方は指がない状態であった。そして、そのケガを温暖なシンガポールで癒そうと思ったようだが、それだけでは回復が期待できないと考え、人間の医学の恩恵にあずかろうと見つかりやすい場所にいたのである。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「我慢強さ」である。 見つかりやすい場所で人間を待つということは、他の動物に発見され攻撃されてしまうというリスクが高い

¥100

『ファートンいきもの記』【22】

今日の「いきもの」は≪Spaローマ≫である。 ラオスで出会った奴は、昼間からスパ(風呂・温泉)に入ってきたばかりだったのか、身体全体がまだ乾ききっていない状態だった。奴がスパをこよなく愛しているのは、古代ローマの伝統に憧れていることが関係しているらしく、古代ローマ人の社交場であったテルマエ(大浴場)のように、ラオスのスパを活用していたのである。奴と出会った時期はちょうど乾季で、多少濡れたままスパ(テルマエ?)から出てきたとしても、しばらく散歩すればあっという間に乾いてしまうか

¥100

『ファートンいきもの記』【21】

今日の「いきもの」は≪孤アラ≫である。 オーストラリアのパースの動物園で独り寂しく過ごす奴の背中には哀愁が漂っていた。元来、奴はそれほど集団行動を好むわけではないのだが、かといって本当に独りぼっちになってしまうと、それも嫌であるという面倒くさいタイプである。 奴の「とくしゅ(特殊能力)」は「ふて寝アピール」である。 奴はそんないわゆる「かまってちゃん」の状態のため、動物園に来る人たちにもそのアピールを欠かさない。そのため、来園者が近づいてきても、愛嬌のある動きは見せず、背中

¥100

『ファートンいきもの記』【20】

今日の「いきもの」は≪ボウHula‐Hula‐Dance≫である。 ネパールの山奥でボランティア活動をしていたとき、作業場の近くに放置されていたポリタンクの中では、世界水泳やISL(International Swimming League)に引けを取らない激しい戦いが行われていた。ポリタンクにはいつ降ったのか分からない水が溜まっていた。シンガポールでこのようなものが庭先などにあったりしたら罰金であるが、ネパールはそうではないのだろう。その結果、ポリタンクという常設プールを使

¥100